書誌情報

アイヌ共有財産裁判─小石一つ自由にならず

小笠原信之[著]
四六判上製/264頁/2200円
ISBN4-8461-0403-6 C0036

 先住民族・アイヌの大地と生活を根こそぎ奪った明治政府は、狩猟民のアイヌに農業や漁業の授産事業を指導し、涙ばかりの下賜金や下付金を与えた。だが、それらの金や不動産は「アイヌ共有財産」として道庁が管理、アイヌは小石一つ自由にならなかった。しかもずさんな管理の結果 、1世紀後の今に残るは、わずか147万円。時代錯誤の「北海道旧土人保護法」の廃止で返還されることになったが、その権力的な返し方にアイヌの人々の怒りが爆発、民族の尊厳をかけて裁判に立ち上がった。本書はその闘いの克明な記録である。 (2004.3)


■目次
第一部 チャランケ
 「預かっていたお金を返してやる。ただし……」
 アイヌ共有財産の由来
 旧土法の登場と一世紀後の退場
 アイヌとシサム立ち上がる
 原資料の公開を要求
 申請期限直前の激しい攻防
 北海道ウタリ協会の消極的な姿勢
 札幌地裁提訴へ

第二部 「訴えの利益」の壁
 真っ向から対立
 アイヌ語で堂々と陳述
 「水面下」の激しい攻防
 具体的問題を体験まじりに訴える
 旭川近文アイヌ給与地紛争
 「小石一つ、アイヌの自由にならず」
 滅亡に追い込まれた千島アイヌ
 給与地詐欺と裁判で闘う
 求釈明に被告側答えず
 道庁も認めた「教育資金はみんなのもの」
 道外アイヌはカヤの外
 樺太アイヌの悲劇
 突然の結審通告
 アイヌにはアイヌのやり方がある
 漁場を自由に往来
 千島列島を渡り歩く ウタリ協会の変化
 「トンビにやられたネズミより悪い」

第三部 扉をこじ開けた
 ペウタンケの叫び
 新たな論理を組み立てる
 アイヌを国際法主体として認める
 国際法は国内法に優先する
 違法性は承継される
 返還手続きの特殊性
 実体審理の扉が開いた
 インディアン信託裁判
 公告されていない共有財産がたくさんある
 疑惑渦巻く旭川の共有財産
 空振りに終わった反対尋問
 絶妙な連携プレーで、ずさんな反対尋問をあばく
 共有財産を食い物にした管理者
 十勝アイヌが法律を作らせた
 墓穴を掘る反対尋問
 時代錯誤の発言に失笑の渦
 道側調査は原資料に当たっていない
 今度は司法が問われる番だ

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