書誌情報

原発問題の争点―内部被曝・地震・東電

大和田幸嗣・橋本真佐男・山田耕作・渡辺悦[著]
A5判並製/228頁/2800円
ISBN978-4-8461-1213-4 C0036

 福島原発事故は人類と核が共存できないことを明確に示した。ひとたび事故が起きればコントロール不能となり、破局的事態を引き起こすという現実である。
 ところが政府と電力会社は、福島原発事故をなんら反省・教訓とすることなく、また電力が余っているにもかかわらず、原発再稼働を強行した。原発に依存せず、再生可能エネルギーで社会を作り直せないのかという、市民の希望は打ち砕かれようとしている。
 本書は、福島原発事故による低線量内部被曝の脅威、原発の耐震設計の非科学性と耐震設計が不可能であることを自然科学の観点から考察し、また科学者の責任を問い、さらには東電の懲罰的国有化が必要であること 、子どもたちの未来のために原発によるエネルギー生産を永久に放棄すべきことを提言する。(2012.8)


■内容構成
はじめに

第一章 内部被曝の危険性 大和田幸嗣
 ─チェルノブイリの教訓からフクシマを考える─
 はじめに
 1節 チェルノブイリ原発事故による内部被曝の医学生物学的研究
  セシウム137の体内蓄積量と相関するがん以外の疾病について
    1-1 広範な組織への不均一なセシウム137の蓄積と病態の明確な関係
    1-2 心電図異常と心疾患はセシウム137体内蓄積量と相関する
    1-3 セシウム137の体内蓄積量とともに増加する血圧異常
    1-4 セシウム137の体内蓄積量とともに増加する白内障
 2 節 新食品基準値では放射性セシウム137の内部被曝から子どもの健康は守れない
 3 節 シーベルト神話
    3-1 シーベルトでは内部被曝による健康被害を予測できない
    3-2 汚染食品の飲食によるセシウムの体内蓄積
    3-3 生物学的半減期に支配される蓄積量 食品摂取量、臓器重量を考慮した臓器重量当たりのベクレル数について
    3-4 体内蓄積量を表す式
    3-5 セシウム137の生物学的半減期
 4 節 現在進行形のチェルノブイリの内部被曝
    4-1 自給自足のナーシクさん
    4-2 帰還したデイードバさん
    4-3 心疾患とがんの増加
    4-4 セシウムの豚の臓器への蓄積
    4-5 長期低線量被曝によるミトコンドリア傷害
    4-6 チェルノブイリ膀胱炎はセシウム137の体内蓄積量と相関する
    4-7 チェルノブイリ事故の子ども達の脳への影響
    4-8 先天性欠陥・奇形児の激増と遺伝的影響
    4-9 チェルノブイリ事故の動物への影響
    4-10 植物への影響・44
 5 節 福島原発事故による日本での内部被曝の進行
    5-1 子どもの尿からセシウムを検出
    5-2 甲状腺の異常
    5-3 母乳からセシウムやヨウ素を検出
    5-4 子どもたちにみられるさまざまな症状
    5-5 2011 年秋以降、日本でも報じられつつあるセシウムの体内蓄積
    5-6 生態系での内部被曝の拡大─食物連鎖から生物濃縮
 6 節 低線量被曝の分子基盤: ペトカウ効果とバイスタンダー効果
    6-1 ペトカウ効果
    6-2 バイスタンダー効果
 7 節 複合汚染:低線量放射線と他の健康被害環境因子との相乗効果
    7-1 化学合成された農薬は基本的に毒である。
    7-2 送電線からの超低周波電磁波は子どもの白血病や脳腫瘍を増加させ

    7-3 携帯電話と基地局鉄塔による健康被害
 おわりに
 【参考文献】

第二章 地震と原発 橋本真佐男
 ─地震動の観測結果と地震動予測─
 序 論
 1節 単純ではない観測データ
  (1)余震(M6.1)が本震(M6.8)より強力
  (2)遠くの余震(M 6.5)が近くの本震(M 6.8)より強力
  (3)遠くの地震の方が強力(例1)
  (4)遠くの地震の方が強力(例2)
  (5)同規模で同距離でも地震動に大差(例1)
  (6)同規模で同距離でも地震動に大差(例2)
 2節 観測データと耐専スペクトルの比較
  (1)柏崎刈羽原発と志賀原発の観測データ
  (2)新潟県中越地震の観測例
  (3)岩手宮城内陸地震 本震M7.2─一関西地下観測点のデータ
  (4)岩手宮城内陸地震 余震M5.7─一関西地下観測点のデータ
  (5)能登半島地震本震M 6.9 柳田地下観測点のデータ
  (6)三重地震本震M 5.4 芸濃地下観測点のデータ
  (7)東北地方太平洋沖地震 M 9.0 3・11 の地震
 3 節 原発耐震設計審査指針における地震動の鉛直/ 水平比
  (1)敦賀、湯之谷、志津川の観測データ
  (2)岩手・宮城内陸地震
  (3)能登半島地震のとき志賀原発で観測された応答スペクトル
  (4)能登半島地震 柳田地下観測点のデータ
 4 節 まとめ
  観測地震動とNoda法による地震動予測は大きくずれる
  謝辞
 解 説 応答スペクトル
  1 機器の固有周期
  2 波の性質
  3 速度応答スペクトルのモデル
  4 普通の目盛りのグラフと対数目盛りのグラフ
  5 加速度応答スペクトル
  6 速度応答スペクトルと加速度応答スペクトルの観測例
  付録 耐専スペクトル

第三章 原発に対する科学者の責任 山田耕作
─核エネルギ─の安全な利用はありえない─
 1節 はじめに
 2節 福島事故と物理学者の責任
  会員の声 「福島原発震災に対する物理学者の責任は重い」
  1 はじめに
  2 物理学者の責任
  3 被曝の容認を強制して原子力を推進
  4 終わりに
 3節 「物理学者から見た原子力利用とエネルギー問題」に参加して
  1 はじめに
  2 放射線被曝の影響
  3 柴田氏の報告の問題点
 4節 低線量被曝ワーキンググループ報告批判
  4-1 「放射性物質による内部被ばくについて」批判
  4-2 「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書」批判
  【参考文献】
 5節 社会における科学者と原発
  【参考文献】

第四章 マルクス主義経済学からの原発批判 渡辺悦司
 ─電力の懲罰的・没収的国有化と民主的統制を─
 1節 事故評価の根本問題──原発の本質的危険性
 2節 原発事故としての福島事故の問題点
 3節 チェルノブイリ事故との比較、およそ2分の1の放出量、事故の内容としては福島の方がより深刻
 4節 原発推進勢力の全体像──中核部分だけでGDPの約1割を支配
 5節 民主党政府の事故対応と事故反復を前提とする原発推進政策
 6節 原発推進をめぐる支配層の内部矛盾
 7節 原発をめぐる客観的状況の変化
 8節 原発推進・被曝強要政策の背後にある衝動力
 9節 客観的に求められている要求──懲罰的国有化と民主的統制
 10節 脱原発要求がもつ自然発生的な反帝・反独占的性格

第五章 原発廃棄のために
 1 本書全体のまとめ
 2 二重の欺瞞性──がれきの広域処理と除染による帰郷
 3 おわりに

付録
 I 放射性物質で汚染されたがれき処理の意義と問題点
  ──「第2のフクシマ」を起こさないために── 山田耕作
 II チェルノブイリ原発事故25年の健康被害の実態から学ぶ
  ──長期低線量内部被曝の脅威── 大和田幸嗣

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