書誌情報

変貌する世界の緑の党─草の根民主主義の終焉か?

E・ジーン・フランクランド/ポール・ルカルディ/ブノワ・リウー[著]/白井和宏[訳]
四六判上製/460頁/3600円
ISBN978-4-8461-1320-9 C0031

 今や緑の党は世界的な存在となった。1980年前後、政治の表舞台に登場した時には、エコロジーの旗を掲げた小政党と受け止められていた。ところがその後、欧州各国では短期間に連立政権に参加し、今では世界90カ国で活動している。
 しかし、「アマチュア運動家の党」として出発した緑の党も、職業政治家が支配する議会政治という枠組みの中で生き残るためには、自己改革を迫られた。「反政党の党」と称していたラディカルなドイツ緑の党も、自らを「政党システム内のオルタナティブ」と位置づけるようになった。「緑の党は議員政党になった」といった批判もある。
 緑の党が、どのような過程を経て自己改革を進め、政党政治の一画を担う存在となったのか。その過程の中で「草の根民主主義」という原則はどのように変化したのか。本書は、欧米14カ国の緑の党を比較分析することで、その問いに答える。(2013.09)


■内容構成
 執筆者一覧
 はじめに
第一部 序論
 第1章 「アマチュア運動家の党」から「プロフェッショナルな選挙政党」へ?
  ─西欧民主国家における「緑の党」の組織変容について─
  変化した緑の党
  緑の党は従来と異なる政党か?
   四つの政党モデル/「緑の党」の政党モデル/
   「アマチュア運動家の党」は、なぜ、どのように変化したのか?
  仮説としてのシナリオ 「プロフェッショナル化」する緑の党?
  各部の概要
第二部 連立政権に参加した経験をもつ緑の党 41
 第2章 ドイツにおける緑の党の進化
  ─アマチュアリズムからプロフェッショナリズムへ─
  はじめに
  ドイツ緑の党の起源と発展過程
  草の根民主主義と緑の党の組織
  議会政治の受容(一九八三年〜一九九〇年)
  選挙における敗北からの復活(一九九一年〜一九九八年)
  連立政権への参加(一九九八年〜二〇〇三年)
  制度化と危機
  「アマチュア運動家の党」から「プロフェッショナルな選挙政党」へ?
  結論
  結び
 第3章 「フランス緑の党」─制限された状況下で変化した運動家の文化と実践─
  序章
  草創期における組織 フランス緑の党の特殊性
  変化の過程と組織への影響
   変化する選挙情勢、外部からの圧力と戦略
   運動家とリーダーの組織文化と実践、その変容と持続
  「プロフェッショナル化」と「効率的な民主主義」のジレンマ
  組織変化の結果・一九九四年の改革と段階的な順応
  組織の変化と現状
   組織の弱点と課題/組織の運営方法
  結論・現実への適応に向けた努力
 第4章 フィンランド緑の党─オルタナティブな草の根運動から政権政党へ─
  はじめに・フィンランドの政党システム
  フィンランド緑の党の起源
  最初の選挙と草創期の組織(一九七六年〜)
  緑の党「グリーン・リーグ」の結成(一九八八年〜)
  連立政権への参加(一九九五年〜二〇〇二年)
  連立政権からの離脱(二〇〇二年〜二〇〇七年)
  政権への復帰(二〇〇七年〜)
  メンバーと組織
  結論
 第5章 ベルギー 二つの緑の党の類似点と相違点
  はじめに
  「エコロ(Ecolo)」(フランス語系緑の党)
   一九八〇年「エコロ」誕生の遺産
   一九八一年、初の国会議員の誕生と最初の危機/組織の変化
   連立政権への参加とその教訓/二〇〇三年敗北後の改革と二〇〇七年の復活
 「アガレフ(Agalev)」(フルン!)(オランダ語系)
   アガレフの起源/最初の改革・138 /指導部のプロフェッショナル化
   政権への参加/衝撃的な惨敗と党の再建への道
   「アガレフ(フルン!)」の歴史的な進化
  結論 二つの緑の党の比較
 第6章 アイルランドにおける緑の党
  はじめに
  歴史的起源 アマチュア運動家の党
  変化した政治環境
  現在の組織
  結論
第三部 国会議員を誕生させた緑の党
 第7章 スイス「オルタナティブ」と「自由主義」、二つの緑の党
  スイス緑の党の歴史
  連邦制国家における草の根民主主義政党
   スイス連邦制の特徴/スイスの政治制度と緑の党/「スイス緑の党連合」の組織
   「スイス緑の党」の発展
  緑の党内における相違点と変化
  左翼化し、高齢化した、アマチュア運動家の党
  結論
 第8章 選挙に勝つための戦い─オーストリア緑の党における組織の進化─
  緑の党の誕生と発展
  一九八七年、設立段階の党組織について
  組織の変化と改革の要因
  二〇〇四年段階における組織
  結論
 第9章 スウェーデン緑の党 「環境党・緑」
  初めに
  歴史的背景:新たな政党の浮き沈み
  「誰もが何か担えるはず」 当初のオルタナティブな組織(一九八一年〜)
  組織改革に向けた圧力(一九九〇年〜一九九二年)
  「伝統的」な政党組織への発展
  結論
 第10章 アマチュアとプロの運動家の党 オランダにおける二つの緑の党
  はじめに
  二つの緑の党の歴史
   環境政党に変化した社会主義政党「左翼緑の党」/失敗に終わった「緑の党」
  創設時の組織
   設立時における「左翼緑の党」の組織/創設時の「緑の党」の組織
  組織改革
   「左翼緑の党」のゆるやかな変化(一九九〇年〜二〇〇七年)
   「緑の党」の組織改革(一九八八年〜二〇〇七年)
  二〇〇七年における「左翼緑の党」と「緑の党」の比較
第四部 少数の国会議員を擁する緑の党
 第11章 実験的な進化 オーストラリアとニュージーランドにおける緑の党の発展
  [オーストラリア]
   タスマニア州で生まれた新たな政党の構想/コミュニティ活動から誕生した政党/
   一九七〇年代〜八〇年代の落選/一九九二年「オーストラリア緑の党」の結成
 [ニュージーランド]
   無政府状態に陥った新たな政党の実験(一九七三年)
   「バリュー党」の再建(一九七四年〜)/「バリュー党」の波乱と衰退(一九七九年〜一九八八年)
   「緑の党」の結成と「連合党」(一九八九年〜一九九五年)
   初の国会議員の誕生と議席の拡大 (一九九六年〜二〇〇八年)/事務局と活動資金
   オーストラリアとニュージーランド・試行錯誤による組織の進化
   「プロフェッショナルな運動家の党」としての緑の党の未来構想
 第12章 イギリスにおける緑の党 組織の変化と継続性
  はじめに
  イギリス緑の党の選挙の歴史
  イギリス緑の党における組織論争
  「規約のない党」の誕生(一九七三年〜一九七六年)
  「草の根民主主義」による組織の形成(一九七七年〜一九八八年)
  「緑の二〇〇〇」キャンペーンによる「プロ化」の勝利と敗北(一九八九年〜一九九六年)
  「党首」の誕生(一九九七年〜二〇〇七年)
  イギリス緑の党の「特殊性」をもたらした要因
  結論 「党首」がイギリス緑の党を変化させる可能性
 第13章 カナダ緑の党 草の根民主主義からの急速な転換
  カナダ緑の党の歴史
  草創期の草の根民主主義的な組織
   「ブリティッシュコロンビア緑の党」/「オンタリオ緑の党」/「カナダ緑の党」
  分権的な組織が変化した要因
  「ブリティッシュコロンビア緑の党」/「オンタリオ緑の党」/「カナダ緑の党」
  現在の組織
  結論
 第14章 アメリカの緑の党
  アメリカ緑の党の歴史
  初期段階の組織
  全国組織の形成と対立
  「アメリカ緑の党」による独自候補の擁立
  結論
第五部 結論
 第15章 結論 「ケンタウロス」に成長した緑の党
  はじめに
  緑の党の類型
   緑の党は最初から「アマチュア運動家の党」だったのか?
   緑の党は「プロフェッショナルな選挙政党」に変化したのか?
   組織が変化する要因とメカニズム/緑の党と「政党の一般理論」

 参考文献
 訳者解説

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