書誌情報

原発大国とモナリザ―フランスのエネルギー戦略

竹原あき子[著]
四六判上製/208頁/2200円
ISBN978-4-8461-1322-3 C0031

 巨大な中央集権的官僚主義と、利権企業団体が原発を取り巻くフランスと日本。社会党政権になっても原子力発電を継続し、エネルギー政策に異議を唱える環境大臣をすでに2名も解任した。「モナリザ」を筆頭にルーブル収蔵の美術品貸与の見返りに原子炉と核燃料ウランを売り、使用済み燃料処理までをビジネスとし、日本企業と手を組んで中規模出力の原子炉をアジア、アフリカ、中近東にまで輸出をもくろむフランス。
だがもう一方で、ドイツの「エネルギー転換」に学びながら、再生可能エネルギーの生産にも意欲を燃やす。大型原発には問題がありすぎると認識した2007年から、フランスの原発産業は再生可能エネルギー大国をめざして挑戦しはじめた。原発と再生可能エネルギーの両輪 “アレバ・リニューアブル” が廻り始めているのだ。
本書は、原発大国フランスのエネルギー戦略の現状とその転換の実態をルポする。(2013.11)


■内容構成
高木仁三郎氏に捧げる──はじめに

第1章 濃縮ウランの後ろで
 原発セールスマン、オランド
 セールスのルアーは「モナリザ」
第2章 やめられない原発──“成功のモデルはネスプレッソよ”
 アレバの美味しい儲け話
 アレバのモデルはネスプレッソよ──週刊誌『チャレンジ』(Challenges)
 中国はアレバの救世主か──二基契約の代償
 サルコジの失敗──『レクスプレス』(L’Express)二〇一二年十一月四日
 アレバの不安とドイツ、シーメンスの撤退
 脱原発と言えないフランス社会党議員
 解任された環境大臣
 原発をやめられないフランスの本当の理由
 3・11、現場にいたドイツ人技術者
第3章 原発大国フランスのエネルギー戦略
 アレバの再生可能エネルギー戦略
 二〇〇七年から二〇一三年まで
 出遅れたソーラーパネル
 驚かせたシーメンスの決断、原発は過去の技術
 砂漠のエネルギーを狙う──ドイツとフランスの「エコ植民地主義」
 「マスダール」計画
第4章 ヨーロッパの不安
 放射能より海面上昇
 それは二〇〇七年に始まった
 フランスの二〇〇七年
 元副大統領アル・ゴアを招いた「環境グルネル法」
 温暖化の恐怖
第5章 フランスの原発は未来への階段か
 社会党・口にだせないゼロ
 「原発は本当に危険か」クロード・アレーグル
 水が不足したらどうする? ベッペ・グリッロとジェレミー・リフキン
第6章 ヨーロッパは共同でエネルギーに立ち向かう
 ヨーロッパ共同の野心、分散型電源へ
 フランスの蓄電、水素への取り組み
 コルシカ島でアレバの実験。水素で蓄電──ミルト・プラットフォーム
  GRHYD プロジェクト、フランス大手電力産業一〇社で
 ドイツに学ぶ「power to gas(電力からガスへ)」
 パートナーのマクフィー・エネルギー
第7章 ドイツに学んだ「エネルギー転換」
 三〇〇人を招いた円卓会議
 「エネルギー転換」と原発がないオーストリアとドイツ
 ドイツ経済界は「環境保全で正当性がなければ、経済的にも正当ではない」と宣言
 エロー首相、決断の発言
 「エネルギー転換」市民会議
第8章 環境大臣バトーの栄光と挫折
 環境大臣からのメッセージ、文具から照明まで
 フェッセンハイムの廃炉はできるか──コリーヌ・ルパージュの警告
第9章 パリとベルリンが手を結ぶ
 五十年目のエコ共同戦線
 電力が国境を越える時、ネットワークで構築
 エネルギーダンピングの危険
第10章 フランスの再生可能エネルギー政策
 レ・メ村(Les Mees)は一〇〇メガワットをめざす。
 農業と共存する発電所
 ベルギーからの参画
 電力の谷、新風景
第11章 「太陽のトンネル」を緑の列車が走る
 ベルギー国鉄が再生可能エネルギーに挑戦
 偶然のアイディアから
 たった二五キロだが
第12章 元空軍基地とメガソーラー
フライブルグとフェッセンハイムの冷戦の傷跡
 トゥル・ロジエール発電所
 工事はわずか十八カ月
 博物館を併設、観光資源に
 大統領選の最中、サルコジが激励に訪問
 クリュセイ‐ヴィラージュ空軍基地跡地も発電所に
 原発の村にハイブリッド発電所・ロラーゲ
 買い取り価格が逆転してハイブリッドに
 放牧や花の栽培にも活用
第13章 海外技術とのバランスが背景に
 アレバの最悪と最高のニュース
 洋上風力発電、スペインとオランダの技術力が背景に
 生産の現場をよみがえらせる国策
 海外での二十年の実績が日本で花咲くか
 ヨーロッパと共存するメイド・イン・チャイナ
第14章 若い企業が挑む発電
 新型洋上風力発電・イデオル
 浮体の中央に大きな槽を設ける
 製造コストが半分、設置する地域に雇用を
 酪農家ファミリーの発電事業
 発電量を毎時一五〇キロワットに抑えた理由
 投資額は六年でほぼ回収
 生き物とともにあるバイオガス
第15章 パリとリヨンのエコ・カルチエ─
 パリ市営の太陽光発電所、首都圏内で最大規模
 パリ最大の太陽光発電所
 パリのザック・パジョール
 ユースホステルのエコシステム
 リヨンのエコ市街
 見放されていた地区に光が
 リヨン 最大の課題は「光」
 都市計画家と風景の造形家が重要な役割を担う
第16章 国を越えるウランの支配
 国境を越えるウランの支配
 日本のウラン産業

参考文献
おわりに

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