書誌情報

世界の環境問題 第10巻 日本

川名英之[著]
四六判上製/692頁/4200円
ISBN978-4-8461-1413-8 C0336

 日本列島は、南北に長く、温帯圏に属するため、四季が明確で、豊かな生物、植生など自然環境に恵まれている。
 しかし、明治の産業革命期には足尾鉱毒事件、戦後高度成長期には水俣病、新潟水俣病、四日市ぜんそく、イタイタイ病の四大公害事件が起こるなど、企業優先の産業政策は深刻な公害病を全国で引き起こした。コンビナートや自動車によって大気が汚染され、光化学スモッグが起きたり、大規模開発による埋立は、自然海岸をコンクリート化し、豊かな自然を破壊した。そして、福島第一原発事故は未曾有の放射能汚染をもたらした。
 本書は、これらの事件を追い、被害者などの闘い、日本の行政、司法の対応の問題点を浮き彫りにした日本の環境・公害史の総括。
(2014.10)


■内容構成
第1章 自然環境の特性と保護
 アジア・モンスーンの影響
 知床・尾瀬・屋久島・白神・熊野・富士山 
  〈知床〉
  〈尾瀬〉
  〈屋久島〉
  〈白神山地〉
  〈熊野〉
  〈富士山〉
 激減した自然海岸・干潟
 志布志湾開発と自然保護
 日本の生物多様性と保全
第2章 足尾鉱毒事件
 近代日本最初の大規模公害
 被害農民の大挙上京請願
 田中正造の必死の闘い
 谷中村の廃村と遊水池化
 戦後の鉱毒被害と新たな運動
第3章 カドミウム、砒素の鉱毒事件
 イタイイタイ病事件
 イ病の公害病認定と裁判
 土呂久砒素鉱毒事件
 松尾鉱山の砒素鉱毒
第4章 水俣病の発生・拡大と訴訟
 水俣病の発生と原因究明
 漁獲禁止を認めない厚生省
 被害の拡大と生活苦から漁民暴動
 政府は高度成長優先・公害対策軽視
 新潟で第二水俣病が発生
 二つの水俣病に「政府見解」
 チッソ社長・工場長に刑事責任
第5章 水俣病の認定問題と訴訟
 初期の水俣病認定制度
 水俣病の病像と認定制度の問題点
 胎児性水俣病の研究
 水俣病訴訟の頻発と動向
 県外移住患者による訴訟
 関西訴訟
 二度の政治決着
 「患者審査見直せ」二つの最高裁判決
  〈関西訴訟〉
  〈溝口訴訟〉
〔コラム〕原田正純医師 患者に寄り添った生涯
第6章 大氣汚染と防止対策の歩み
 発生源は鉱山から工場へ
 別子銅山の煙害
 足尾銅山の煙害
 小坂銅山煙害
 日立銅山の煙害
 大阪・東京の大気汚染
 水島工業地帯の大気汚染公害
 四日市の亜硫酸ガス公害
 高度成長期の大気汚染と対策
 川崎の大気汚染
第7章 水質汚染の激化と防止対策
 水質汚染問題の推移
 日本最初の水質規制法
 湖沼水質の富栄養化と対策
  〈諏訪湖〉
  〈琵琶湖〉
第8章 公害国会と環境行政の展開
 公害の激化と後手続きの行政
 政府対策本部の設置と活動
 環境庁設置までの経過
 環境庁の草創期
 水俣病認定制度の改善
 環境アセスメント法制化を公約
 環境基本法の制定
 工場の塀超えたアスベスト公害
 日本の環境行政の問題点
第9章 自動車公害と防止対策
 排出ガス汚染の増大
 自動車排出ガス規制
 ディーゼル微粒子汚染と対策
 尼崎訴訟判決と東京都の動向
 排出差止め判決の流れ
 西淀川公害訴訟の控訴審
第10章 空港・新幹線騒音公害と訴訟
 大阪国際空港の騒音公害
 名古屋新幹線の騒音公害
 横田基地の騒音公害と訴訟
 厚木基地、嘉手納基地の公害訴訟
第11章 原発行政と福島の事故
 基礎研究抜き、政治主導の開発
 原水爆反対運動と米国による抑え込み
 基礎研究論を退けて原子炉輸入
 続発する原発事故と隠蔽
 福島第一原発の巨大事故
 相次ぐ炉心溶融と水素爆発
 原発ゴミの再処理問題
 汚染された地下水・がれき対策
 日本の原発行政の総括
終 章 日本の公害・環境政策の総括
 有害化学物質公害との苦闘史
 環境庁時代最大の難題・アセス法制定
 ダイオキシン汚染の放置十三年
 循環型社会づくりと問題点
 環境配慮が欠けていた日本のODA
 温暖化が日本の海に大影響
 地球温暖化・再生可能エネルギー対策
 〔コラム〕日独環境史の出来事比較
出典注記
参考文献

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