書誌情報

放射線被曝の争点—福島原発事故の健康被害は無いのか

渡辺悦司/遠藤順子/山田耕作[著]
A5判上製/252頁/3000円
ISBN978-4-8461-1606-4 C0036

 福島原発事故から5年。甲状腺がんをはじめ様々な健康被害が拡大している。だが、政府・東電・専門家・マスコミは被害を放置し、隠蔽し、世論を操作している。規制値を大幅に緩め住民を危険な汚染地域に帰還させようとしている。チェルノブイリ事故でも見られた被曝の過小評価と隠蔽が、国際原子力ロビーや国際放射線防護委員会(ICRP)とも連携し、日本でも展開されているのだ。
 本書は、放射性微粒子の危険性と体内に入ったセシウムやトリチウム(三重水素)等の影響を明確にすると同時に、汚染水問題や「健康被害はない」と主張する学界への批判を通して、原発事故の恐ろしさを検証する。
(2016.4)


■内容構成
いつまでも心に突き刺さる原発事故
序文
第一章 福島原発事故により放出された放射性微粒子の危険:その体内侵入経路と内部被曝にとっての重要性
 はじめに
 第1節 放出された放射性微粒子に関する主要な研究成果
  1 福島原発での事故過程の中でどのように放射性微粒子が形成されたか
  2 観測時期ごとの研究の概観
  3 以上から導かれる結論
 第2節 放射性微粒子の人体内への侵入経路
  1 住民の被曝経路全体の中での放射性微粒子による被曝の位置
  2 タンプリン、コクランの問題提起
  3 1969 年の日本原子力委員会(当時)の報告書
  4 内科学および薬学の教科書による肺内沈着の説明
  5 肺内に沈着した放射性微粒子による内部被曝の危険
  6 とくにナノ粒子の危険
  7 放射性微粒子による内部被曝の特殊性、集中的被曝とその危険
  8 放射線の直接の作用と活性酸素・フリーラジカル生成を通じた作用(「ペトカ
ウ効果」)
  9 内部被曝と放射性微粒子による健康影響─医学の各分野・疫学・生理学・分
子生物学・社会科学など各分野を結合した総合的研究の必要性
 第3節 再浮遊した放射性微粒子の危険と都心への集積傾向
  1 福島など高度の放射能汚染地域における疾患の増加
  2 東京圏における放射性微粒子による汚染
  3 東京圏への汚染集積の諸要因
  4 東京圏住民の健康危機の兆候は現れ始めている
  5 精神科医の見た原発推進政策の病理
 おわりに
第二章 トリチウムの危険性:原発再稼働、汚染水海洋投棄、再処理工場稼働への動きの中で改めて問われる健康被害
  はじめに
 第1節 トリチウムの生成と性質
 第2節 トリチウムの福島事故による放出と原発や再処理工場からの日常的放出
  1 福島原発事故による汚染水の危険性
  2 原発や再処理工場からの日常的放出
 第3節 トリチウムによる健康被害について
  1 ICRP の線量係数とその仮定の誤り
  2 低濃度のトリチウムの人間への影響
  3 世界各地の再処理工場や原発周辺で報告されている健康被害
  4 日本の核施設周辺で認められること
 おわりに
第三章 福島原発事故の健康被害とその否定論:児玉一八、清水修二、野口邦和著『放射線被曝の理科・社会』の問題点
 はじめに:『放射線被曝の理科・社会』の主な内容
 序節 低線量・内部被曝の影響とメカニズム──概説
  1 放射線とは?
  2 放射線量を測る主な単位について
  3 閾値(しきい値)とは? 集団線量とは?
  4 LNT モデル(直線閾値なしモデル)とは?
  5 内部被曝とは?
  6 自然界に存在する放射性カリウム40 と人工の放射性セシウムとの違いは?
  7 内部被曝は局所的被曝であり、シーベルトでは評価できない
 第1節「低線量被曝をめぐる論争を検証する」について
  1 「LNT(直線閾値なし)仮説は真実というより公衆衛生上の慎重な判断」とい
う著者たちの評価は正しいか?
  2 「ベータ線はガンマ線より危険なのか」という彼らの問題提起の危険性
  3 特定の臓器への蓄積とミトコンドリア損傷の関連性─バンダジェフスキー氏
による説明
  4 放射線によるイオンチャンネル系の阻害・損傷がもたらす可能性のある広範囲
の健康障害
  5 「ホットパーティクルは危険なのか」(42 ページ)と放射性微粒子の真実の危険
  6 「放射線被曝のリスクを考える」と隠されたリスク
  7  放射線のリスクに関する最近の研究結果
 第2節「『福島は住めない』のか」と避難の必要性の否定について
  1 「美味しんぼ問題が浮き彫りにしたもの」─「福島県民の被曝線量では、被曝
が原因の鼻血は出ない」という主張について
  2 「『分かっていること』と『分かっていないこと』」という論議の本質─「確率的影響」全体を否定すること
  3 「『美味しんぼ』の最大の問題は福島には住めないの扇動」という決めつけ
  4 「どんな放射能がどれだけ出たのか」──福島事故の放射能放出量
  5 「除染は無駄なのか」という問題のすりかえ
 第3節 「『福島の食品は危ない』のか」について
  1 「福島の食品検査体制と検査結果─食品の基準値をめぐって」
  2 「安全な食のための方策」について
  3 胎内被爆者のがん発生率(放射線影響研究所ホームページより)
  4 遺伝的影響における原爆と原発事故の本質的な相違、それを同一視する方法上
の誤り
 第4節 「福島の今とこれから」について
  1 被曝線量はチェルノブイリに比べて「はるかに少ない」という主張
  2 モニタリングポストやガラスバッジの過小検出はないという主張
  3 「県民健康調査で何がわかったか」(151 ページ)─「福島で見つかっている小児甲状腺がんは放射線被曝に起因するものではない」という主張
  4 「がんになる人が目に見えて増えることはない」という主張について
  5 『理科・社会』は政府・環境省専門家会議「中間取りまとめ」と基本的に同じ立場に立っている
  6 健康影響は現実に「目に見える」形ですでに現れている
  7 健康被害調査は住民の「恐怖を過度にあおる」こと になるか
  8 避難は本当に「健康被害を生む」だけで何の効果もないのか?
  9 支配層中枢は本当に「健康被害は出ない」と信じているのだろうか?
 第5節 「原発住民運動と放射線問題」─その根本問題と運動の権威
と名誉を著しく傷つける発言について
  1 被曝の問題では原発推進勢力と「科学的見解を共有する」という見解
  2 脱原発運動をめぐる現下の根本問題
  3 福島県住民による『理科・社会』的見解への厳しい批判とそれへの清水氏の反
論─脱原発運動が「奇形児の誕生を待ち望むような傾向」をもっているという暴言について
  4 『理科・社会』的傾向の客観的な社会的性格─国際的原子力推進勢力への屈

 おわりに
補章 内部被曝を軽減するために:放射性物質の排泄を促し抗酸化力を高める食品とレシピ
 はじめに
 第1節 体内に入った放射性物質の影響をできるかぎり少なくする
  1 放射性物質を吸着し(キレート作用を含む)体外への排泄を促す成分
  2 過剰な活性酸素を抑える(抗酸化作用)成分
 第2節 体内に取り込まれた放射能の除去を促すレシピの例
  1 玄米と味噌汁(ワカメ入り)を1 日1 回はとる
  2 糠(ぬか)ふりかけをとる
  3 アルギン酸をとる
  4 ペクチンをとる
  5 キトサンをとる
  6 体を温めて体温を下げない
  7 ヨウ素の摂取とヨウ素剤(iodine tablet)
あとがき

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