書誌情報

電力改革の争点―原発保護か脱原発か

熊本一規[著]
四六判上製/204頁/2200円
ISBN978-4-8461-1709-2 C0036

 電力改革先進国では「再生可能エネルギー100%の社会」もそう遠くない。日本でも2016年4月の電力全面自由化をはじめとした電力改革により、既存の電力会社のシェアが次第に低下し、原発も次第に不要になっていく。ところが経産省は、原子力村からの要請に基づき「電力システム改革貫徹」と称する原発保護政策を画策している。
 本書は、「電力システム改革貫徹」がいかに違法、かつ有害無益な「電力改革妨害」策であるかを、また、膨大な「放射能で汚染された廃棄物・土壌」の処理をめぐる国の政策が、国民の健康への脅威を計り知れないものにする、とんでもない放射能拡散政策であることを明らかにする。(2017.6)


■目次
 はじめに
第1章 電力改革とは何か
 1 電力自由化の進展
 2 垂直統合型から構造分離型へ
 3 規制料金と自由料金
  (1) 地域独占の根拠は「規模の経済」
  (2) 規制料金は総括原価方式に基づいて算定される
 4 電力改革の工程
 5 イコールフッティングと非対称規制
  (1) イコールフッティングには非対称規制が必要
  (2) 新電力の供給力不足とその対策
 6「改革貫徹」のための委員会等の設置
第2章 「改革貫徹」を批判する──その1 託送料金への上乗せ
 1 託送料金上乗せは違法である
  (1) 託送料金上乗せは電気事業法に違反する
  (2) 原発保護策の代償措置がまた原発保護策になる
 2 賠償費の託送料金上乗せを批判する
  (1) 中間とりまとめの論理
  (2) 中間とりまとめの論理を批判する
 3 廃炉費の託送料金上乗せを批判する
  (1) 中間とりまとめの論理
  (2) 中間とりまとめの論理を批判する
第3章 「改革貫徹」を批判する──その2 市場の創設
 1 容量市場はなぜ必要か
  (1) ミッシングマネー問題
  (2) 再生可能エネルギーの導入には調整電源が必要
  (3) メリットオーダー効果
  (4) レントによる固定費回収
  (5) 容量メカニズムと容量市場
  (6) 容量市場は必要である
 2 ベースロード電源市場は必要か
  (1) ベースロード電源とは何か
  (2) ベストミックス論
  (3) ベースロード電源市場とは何か
  (4) ベースロード電源市場は不要である
  (5) ベースロード電源市場はベストミックス論を前提とした原発保護策
 3 非化石価値取引市場は必要か・105
  (1) 非化石価値取引市場とは何か
  (2) 非化石価値取引市場は温暖化対策を口実とした原発保護策
  (3) 高度化法が非化石価値取引を可能にする
  (4) 高度化法はエネルギー基本計画に反している
  (5) 非化石価値取引市場は原発保護策としての効果も少ない
第4章 原発は不要になっていく
 1 原発は高コストの失格電源
  (1) 原発はベースロード電源としても失格
  (2) 「原発の電気が高い」は証明済み
  (3) 「原発の電気が安い」との試算のカラクリ
  (4) 経産省「二〇一五年試算」の検討
 2 原発による火力の出力抑制は不経済である
 3 原発は再生可能エネルギーを圧迫している
  (1) 九電ショック
  (2) 原発の供給力の過大見積もりにより接続可能量を抑制
 4 電力改革が原発を不要にしていく
  (1) 卸電力市場を通じた供給が基本になる
  (2) 原発はメリットオーダー効果により市場から押し出されていく
  (3) 自給からグリッドパリティへ
 5 調整電源の火力も不要になっていく
  (1) 蓄電池の活用
  (2) 連系線の活用
  (3) コンバインド・パワープラント
  (4) パワー・トゥ・ガス
第5章 放射能拡散政策を批判する
 1 放射能拡散政策の経緯
  (1) 震災がれきの広域処理
  (2) 除染
  (3) 特定廃棄物と特定一般廃棄物・特定産業廃棄物
 2 難航する中間貯蔵施設
  (1) 中間貯蔵施設の経緯
  (2) 難航する地権者と環境省との交渉
  (3) 揺らぐ最終処分
 3 汚染土の公共事業利用は放射能拡散・東電免責につながる愚策である
  (1) 逆有償の汚染土壌は廃棄物である
  (2) 除去土壌は東電の排出した廃棄物
  (3) 除去土壌の処分基準は未制定
  (4) 土壌中の再利用は不法投棄と同じ
  (5) 放射性物質による土壌汚染の基準・規制も未制定
  (6) インセンティブ付けは東電免責につながる恐れ
  (7) 棄民化政策から被災者救済最優先の政策への転換を
あとがき
索引

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