書誌情報

カルテがないC型肝炎患者の闘い─薬害C型肝炎訴訟の記録

カルテがないC型肝炎 東京弁護団[編著]
四六版上製/316頁/2500円
ISBN978-4-8461-2217-1 C0036
★在庫あり

 「三十年も前の手術のことを聞かれても話すことはない。帰ってくれ」
「そこを何とか。先生の手術のおかげで、命は救われましたが、フィブリノゲン製剤のせいで長くC型肝炎に苦しんできた患者さんのためにお願いします」
 そんな対話をカルテがないC型肝炎弁護団の弁護士は何度もしてきた。そんな対話のあとの患者や遺族の落胆・絶望の表情が今も思い出される。
 どうしてこんな中途半端なC型肝炎救済特別措置法になってしまったのかと、憤りを禁じ得ない。
 本書は全国7弁護団の患者と家族そして弁護士たちが、C型肝炎特措法の問題点、限界を克服するべく取り組んできた十年余の苦闘の実態を報告し、何としても現行特措法は単なる延長ではなく適正な法改正がなされるべきであることを、多くの方々、特に国会議員や厚生労働省の担当者に理解いただくために刊行した。(2022.11)


[著者略歴]
カルテがないC型肝炎 東京弁護団
病院のカルテがない患者は救済が受けられないのはおかしい。C型肝炎特措法の一律救済の理念からすれば、本人や家族の証言も含めた様々な事情を考慮して救済されるべきではないか。患者らからのそんな相談を受け、山口広や加藤晋介を中心に発足した弁護団は2010年11月29日に東京地裁に第1次訴訟を提訴した(原告数103名)。その後、全国の弁護士にも呼び掛け、全国の原告総数は766名にのぼった。
 東京弁護団では約12年に及ぶ訴訟活動の中で33名の和解救済(静岡地裁1名含む)を得ることができたが、立証の困難性から取下げざるを得ない原告も多く、2022年7月19 日56名の原告に対して請求棄却。一部の原告は現在控訴中。


■内容構成
絶望と憤りの果ての感激─巻頭言にかえて─ 弁護士 山口広
第1章 薬害C型肝炎とは何か 弁護士 萱野一樹
第2章 原告の声
 1 救済率〇・七%の法の壁 大星修也
 2 お医者様の協力を得る難しさ 辻あゆみ
 3 裁判を振り返って 村上優子(仮名)
 4 病院から協力を断られました 恵裕子(仮名)
第3章 いろいろ尽くしたけれど救済されなかった事例
 1 札幌 やれる限りの立証をしたものの敗訴した(出産) 西村武彦
 2 札幌 控訴審で執刀医の尋問を実施できたものの敗訴(婦人科) 猪原健弘
 3 東京 前置胎盤、帝王切開、出血一五〇〇mlの事案でも駄目(出産) 土田元哉
 4 東京 心肺停止で救命措置したとの原告供述の信用性を否定(出産) 加藤晋介
 5 東京 子宮筋腫でC肝になった患者の苦悩(婦人科) 山口広
 6 東京 忙しいエリート医師に協力を拒否された苦悩(整形外科) 山口広
 7 東京 医師が打合せと異なる証言をしたため救済されず(消化器外科) 奈良泰明
 8 東京 医師が書面尋問に答えてくれたのに認められず(整形外科) 早田賢史
 9 東京 脾臓摘出の緊急大手術で大量出血(整形外科) 早田賢史
 東京 次女母子感染→長女出産時以外に感染原因なし(出産) 只野靖 
 名古屋 担当医師が証言拒絶し和解できない(出産) 北村明美
 名古屋 ベリプラストPでC型肝炎の救済されず(消化器外科) 松澤良人
 大阪 フィブリノゲンの使用経験ある看護師二名の証言も駄目(婦人科) 小野順子
 大阪 胎盤癒着、弛緩性出血、輸血六〇〇mlでも救済されず(出産) 村本純子
 広島 担当医師の手書きメモ、息子医師の証言でも救済されず(出産) 津村健太郎
 広島 主治医の証言が曖昧だったために救済されず(消化器外科) 依田有樹恵
 広島 保険会社宛診断書、主治医の一筆があるのに救済されず(外科) 工藤勇行
 熊本 証明書作成した主治医が亡くなり救済されず(婦人科) 熊本弁護団
 鹿児島 主治医が証言したのに救済されず(出産) 大毛裕貴
第4章 なんとか苦労して救済された(和解できた)事例
 1 東京 医療関係者の高齢化に翻弄された(出産) 高橋宣人
 2 東京 偶然見つけた執刀医になんとか協力を依頼し和解できた例(出産) 高橋宣人
 3 東京 証言嫌がる医師を説得し、証言頂いて投与が認められた(出産) 加藤晋介
 4 東京 別原告の主治医の協力で認められた(婦人科) 山口広
 5 東京 執刀医の先輩医師と後輩医師の協力を得て認められた例(出産) 只野靖
 6 東京 医師の協力によりようやく和解できた例(整形外科) 奈良泰明
 7 東京 胎盤ポリープの危険性の証言を得て和解できた(婦人科) 早田賢史
 8 東京 偶然見つかった主治医の協力を得てなんとか和解できた事例(出産) 土田元哉
 9 東京 手術簿で判明した担当医の協力で和解(整形外科) 清水建夫
 札幌 若い弁護士の誠実な弁護活動と偶然の出会いに恵まれる(出産) 西村武彦
 名古屋 典型的ケースのはずなのに、苦労して和解(出産) 北村明美
 名古屋 敗訴判決後、控訴審で和解(内科) 松澤良人
 大阪 医師に怒られながらもお願いし、尋問できなかったが和解(出産) 小野順子
 大阪 主治医の息子さん医師の協力により和解(出産) 中島光孝
 大阪 頭部外傷手術で予防的に使用したとの証言で和解(脳外科) 村本純子
 広島 医師作成の輸血者リストで救済された(出産) 佐々木和宏
 熊本 何とか協力医を見つけ出して救済された(出産) 熊本弁護団
 鹿児島 医師二人の尋問をしてなんとか認められた(婦人科) 大毛裕貴
 静岡 カルテ及び主治医の証言なしでの和解(出産) 葦名ゆき
 カルテがないC型肝炎訴訟弁護団の和解事例
第5章 各地弁護団の悪戦苦闘
 1 鹿児島弁護団の苦労話─弁護士 大毛裕貴
 2 熊本弁護団の苦労─熊本弁護団
 3 広島弁護団のこれまでの活動─弁護士 風呂橋誠
 4 特別措置法の問題と集団訴訟に特有の問題─弁護士 中島光孝
 5 名古屋弁護団の汗と涙と願い─弁護士 北村明美
 6 北海道弁護団の悪戦苦闘の後日談─弁護士 西村武彦
第6章 東京地裁『所見』の検討 弁護士 高橋宣人・土田元哉
第7章 東京地裁二〇二二年七月一九日判決批判 弁護士 山口広
第8章 C型肝炎特措法の問題点と改正の必要性 弁護士 加藤晋介
終わりに─弁護士 萱野一樹

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