鬼検事が森友学園問題の疑惑に肉薄

◉『日刊ゲンダイ』2018年3月31 日付

 [本書では] 国有地売却の不当性を徹底検証。裁判官・弁護士の経歴を持ち、国会の鬼検事との異名を持つ参院議員の著者が、数多くの資料や国会答弁をもとに、政府説明のでたらめを明らかにしている。
 昨年2月9日の朝日新聞の報道を受け、翌10 日に財務省が、地下に廃材と生活ごみが埋まっているという理由で、評価額9億 5300 万円の土地を1億 3400 万円で売却したことを公表。これがすべての始まりだった。しかし、値引き理由のごみなど存在しないことは容易に証明できると著者は言う。2014 年 10 月に、森友学園の依頼でボーリング調査による地盤調査が行われており、3.05 メートル及び 3.10 メートルの深さで沖積層が形成され、それより深くには埋設物はないことが確認されていたためだ。
 これに対し政府は、苦しい説明に終始している。(…) 問題は調査の目的や方法ではなく地下埋設物の情報が得られるか否かであり、国有地は河川などではなく細長いため池だったことも明らかになっている。いずれもでたらめで本質からずれた答弁であることは明白だと本書。
 この問題に関わる近畿財務局や大阪航空局というお堅い役所が、ありもしないごみをあると間違え、自主的にごみの撤去費用を算出した、などと考えるのは無理がある。本書では、疑惑の焦点である安倍総理大臣と昭恵夫人について、森友学園といかに密接な関係だったかを、過去の講演や書簡から明らかにしている。行政がここまでねじ曲げられた責任の所在はどこにあるのか。今回の証人喚問で真実は明らかになったのだろうか。