浮かび上がる安全性への疑問

◉『消費者レポート』2018年10月20日号 

(…)国際機関の発表や学術論文など1次情報から引き出された事実が、香料の安全性に対する疑問を浮かび上がらせます。香料成分の安全性テストを実施している国際機関はIFRA(国際香粧品香料協会)です。ここでの検査は主に皮膚のみで、香害で問題となっている吸入による暴露はありません。危険成分も指定していますが、あくまで定量的リスク評価、つまり病気一歩手前になるまでにどれくらい暴露できるかということでしかありません。(…)
 そして私が最も恐ろしいと感じたのは、ほとんどの人が毎日使っている合成洗剤は。その主成分の界面活性剤に問題があるだけでなく、「洗い立てのようないい香り」をわざわざ付けるために、内分泌かく乱作用のある合成ムスクを配合しているという事実です。
 (…)絶望的なこの事実を突きつけられながらも、世界や日本で草の根運動が起き、地方自治体が香料自粛の啓発を始めたことに希望を感じます。


(杉浦陽子『消費者レポート』編集長)