書籍内容
大沼安史[著]
四六判並製/364頁/2000円+税
ISBN978-4-8461-1503-6 C0036
3.11から4年……安倍政権は福島原発事故が「アンダー・コントロール」されていると世界に宣言して、東京オリンピックの誘致に成功した。
しかし事態は深刻化するばかり。日本のマスコミは、ほとんどその事実を伝えていない。米原子力規制委員会の水蒸気爆発=核臨界爆発説、米空母「ロナルド・レーガン」水兵の洋上被曝・集団訴訟など、世界では真相究明と被曝補償を求める声が強まる一方、汚染水の海洋投棄を含む事故の長期化と被害の拡大が大問題になっている。
本書は、日本ではいまだ知られざる新事実の集成――ここに海外メディアが報じた、隠蔽できない真実がある……。
(2015.3)
■内容構成
終わらせないためのプロローグ
消された「放射能」
ローマ法王の言葉
情報アンダー・コントロールに抗して
「ヨウ素剤配布」の幻
「さすが日本政府!」
外国大使館には配布を許可
空母の甲板に乗せて
東北自動車道の無制限開放を要求
米CDD、非常時作戦センターを立ち上げ
東電から米大使館にSOSコール
米軍へ7項目の支援要請メール
米軍ヘリでの水投下を要請
米軍へ「沿海・近海での捜索救助」を丸投げ
富士山も7合目までセシウム汚染
第1章 東京オリンピック
東京五輪をドタキャン
札幌五輪も幻に
「トウキョウ、トウキョウ」の大合唱
「アンダー・コントール」演説
東京の土は米国の「放射性廃棄物」
「ニヒト・ウンター・コントローレ」
IOC会長へ独立調査を要請
「恥ずべき収拾作業」
「なぜ尿検・血液検査をしないのか?」
言葉を詰まらせた環境省参事官
まるでドーピング逃れ
日本政府が意図的に誤訳?
「オリンピア」と「フクシマ」
「ものすごい誤り」
「地獄玉」とは「黒い物質」
「トーキョー」対「フクシマ」
東京湾をアスリートたちが泳ぐ?
「核リンピック」
第2章 「安心神話」
「福島の事故でがんは増えない」
第五福竜丸の被曝のあとに
波状的・重層的な広報・報道活動
内部からも激烈な不協和音
チェルノブイリの知見からも後退
怒れるベルギー代表が名指した者たち
IPPNWなどが「批判分析」
データを取捨選択?
東電から受け取ったデータで
胎児を考慮せず
「予防原則」に違反
未来形で「変化なし」と断言
一般大衆には配布されなかったヨウ素剤
福島医大ではヨウ素剤を配布・122 /QOL損失
「無関心を装えるものではない」
「許し難い」と博士は言った
世界の人々への背信行為?
第3章 白い雪
「それは、それは不思議な光景」
郡山・開成山球場の「雪のようなチリ」
南相馬には「銀色の雨」
「1号機の建屋の中は、地震で真っ白になった」
「放射性アスベスト」?
第5福竜丸にも降り注いだ「白い雪」
それは「悪魔の化身」
「水と接触」の共通点
「脱毛」「鼻血」……そして「入院」
第4章 洋上被曝
「金属味の雪が……」
1号機爆発プルームが直撃
二マイル(三・二キロ)まで接近
裁判は八人の闘いで始まった
二三九人の闘いに拡大
いったん却下、再提訴
女性判事、日本への裁判移管を拒否
「神様、ありがとう!!!!!」
「仙台沖」に二日間とどまり離脱、二九〇キロ離れた三陸沖へ
日本の自衛艦も洋上被曝の恐れ
すでに二人の死者 原告のなかには陸上被曝の十代も
シモンズ大尉の被曝受難
第5章 水蒸気爆発
公開された録音会議録
「爆燃とは見ていない」
「格納容器内での水蒸気爆発です」
「先ず光って衝撃波を放ち……」
2号機「コアが溶融して水に落ち水蒸気爆発」
3号機、MOX燃料炉で水蒸気爆発!
第6章 核のテロリズム
核の自爆テロとしてのフクイチ
「ハーグ・サミット」でのバーチャル・ゲーム
「対策がお粗末な国」を批判
「六ヶ所は核のメガスーパー」
ゲートを守っていたのは年老いた警備員
「この人、ジョーク言ってるの?」
「地下室の核爆弾」一九八〇年代から
兵器級プルトニウム、七〇トン備蓄説
北朝鮮、サミット閉幕にあわせミサイルを発射
ソウルでの総シカト
「プロトコル破り」をしてまで
「核安保」が「核安全」と結合
テポドン、ミサワ沖を直撃
米国防長官の三沢入り
ミサイル発射を「南」に変更
究極のテロル
出来芝居のテロ訓練
「交戦訓練」なし
「機関銃装備の警官隊が二二の原発を警備」
北朝鮮テロ部隊が原発破壊のため米国に潜入
第7章 フクシマ・ファシズム
ツイートひとつで捜査・送検
「言論ファッショ」の危惧
「国境なき記者団」も批判声明
「安心神話の伝道師」
言論の自由度、世界六一位へ転落
「フクシマ検閲」
特定秘密保護法の脅威
「ナチスの手口に学んだらどうかね」
「ヒトラーを称賛」
「NHKはアベの飼い犬に」
「こちらは国営放送局です!」
NHK海外放送で言葉狩り
東京都知事選での猿ぐつわ
東電社長のニューヨーク・タイムズへの「手紙」
「作業員たちは深く傷ついた」?
「全員が現場に踏みとどまり、勇敢だった」?
「リベラルな声を切り崩そうとする動き」
マッカーシズムの再来
「彼らは脅して沈黙させようとしている」
始まりのためのエピローグ
「最後の人」
「星の王子さま」のキツネの言葉
「エコロジー命法」
アブラムシに奇形
シジミチョウでも
ツバメに白斑
牛たちにも白い斑点
死んだ馬は何を見たか
ニホンザルが血液に異常
いのちを守る最後の生き方
あとがき