書籍内容
高杉晋吾[著]
四六判上製/216頁/2000円
ISBN978-4-8461-1402-2 C0036
浜岡原発の下請労働者・嶋橋伸之さんは、原子炉の底で働いて白血病で亡くなった。死に疑問を持った両親は、白血病が放射線被曝によるものと確信すると、労災認定に立ち上がる。
その浜岡原発は、相良層といわれる軟弱地盤の上に立地し、世界一危険な原発といわれる。しかも、東海道の大動脈に位置し、もし事故が起これば、その被害は日本の致命傷となる。廃炉こそが唯一の選択肢である。
本書は、浜岡原発労働者の死を縦糸に、浜岡原発の危険性の検証を横糸に、そして、3.11 を契機に、経営者の中からも上がり始めた脱原発の声を拾い、原発のない未来を考えるルポルタージュ。
(2014.2)
■内容構成
はじめに─原発=国策、裏の真実
第一章 欺瞞と犠牲──伸之君と現地住民
浜岡原発は一地方の問題か?/浜岡現地へ/原発労働者の死
原子炉に煙突風のもの、これの正体は?
佐倉原発対策協議会リーダー清水さんの話/伸之さんの周辺
菅さん、ここだけは間違っていますよ!
世界一の津浪対策防波堤の防御能力
第二章 原発と労働
命を落とすのは市民。なぜ市民に分からぬ難解語を?
対策協議会懇談会では5号機建設反対論が九七%
息子のお嫁さんを新しい家で!夢を抱いて浜岡へ
「ここに原発を作ってはいけない?」と元浜岡原発設計者!
検査やり直し/今でも胸の奥に秘めたまま沈黙「誘致反対?」
住民の反対意思を表した5号機反対意見書
浜松医大病院に親子三人で行った
ほとんどの住民の反対、5号機についての意見書
原発放浪記の川上武志さん、意見書撤回の事情を証言
浜岡原発が建つ地層/原発の末期症状、ECCS事故
第三章 絶望の労働、爆発招く取水塔
浜松医大「顔がゆがみ、血まみれのベッド」
制御棒駆動装置等がぶら下がる原発の鍾乳洞
威圧感を感じた弔慰金交渉/平井憲夫さんとの出会い
昨日まで「はまち」の養殖、今日は原発運転許可を出す?
平井さんが美智子さんを訪問し、被曝手帳の存在を知る
被曝差別、社員外労働者の被曝量の差
南海トラフの直上に浮かぶ冷却水取水塔
浜岡5号機に連発する重大事故
南海トラフに起因する大掛かりな防災訓練
連続する原発事故と労働者の死が結びつく!
我が家から遠州灘へ「死の疾走」
死んだ後に被曝線量が訂正された不思議
第四章 絶望を克服、戦いへの日々
労災申請に踏み切るころ、労基署にて/放射線管理手帳訂正の謎
事実を公に/宣戦布告、「もう引かない、賽は投げられた」
原発労働現場/労災闘争の勝利、越えがたい相克を乗り越えた道のり
約四〇万筆の署名! 実った共闘/御前崎病院が医者ゼロになった理由・
浜岡原発が伸之さんを放射能で殺し、医療はその共犯者・
第五章 激論・死闘、中部電力対高杉晋吾
世界保健機構(WHO)が示す医療常識/中部電力への質問
中電、対策一年引延ばし。私への回答すべて反故
私は白血病が原子炉内汚染職場に起因する証拠を見落としていた!
伸之さんは年間法定限度の一〇倍被曝していた/脱原発の新しい道
第六章 経営者たちの脱原発171
脱原発の城南信用金庫/小田原から広がる脱原発四〇〇社の発電組織
終 章 全国焦土作戦? 脱原発!
原爆の道を開いた暴挙/原発軍事使用/原発からグリーン発電への道・
参考文献