先進諸国の特許制度は一方的だ

◉『朝日新聞』2002年10月12日付より 

 インドにニームという樹木がある。2千年以上も前から歯磨きなどの薬用に使われ、神聖な木としても崇拝されてきた。ところが、20 年このかた、ニームに関する伝統的な知識が、歯磨き粉の調合法まで、米国や日本の企業によって特許にされてしまった。
 題名は「生物資源の略奪」を意味する。
 第三世界の住民が長い間、共有の知識としていたことが、突然、私有財産にされてしまう。先進諸国の特許制度は一方的だ。
 インドの女性平和運動家で、物理学者の著者はそう告発する。