バイオパイラシー―グローバル化による生命と文化の略奪

¥ 2,400 (税別)

書籍内容

ヴァンダナ・シバ[著]/松本丈二[訳]
四六判上製/264頁/2400円+税
ISBN978-4-8461-0210-6 C0036

グローバリゼイションの名の下に、先進国とりわけ欧米諸国は、WTO(世界貿易機関)を媒介に「特許獲得」と「遺伝子工学」という新しい武器を巧みに使って、第三世界を再植民化しようとしている。これはコロンブス以来行なわれてきた植民地政策の究極の形である。グローバル化は、長い時間をかけて世代を通して培われてきた「地域固有の知識」の価値を否定するばかりでなく、生命自体をも植民化しようとしている。市民は生物学的多様性と文化的多様性を守るために立ち上がらなければならない。世界的な環境科学者・物理学者の著者による反グローバル化の思想。(2002.6)

■目次
Introduction 特許戦略による略奪行為:コロンブスの再来

Chapter One 知識・創造性・知的所有権
多様な創造性
知的所有権と知的多様性の破壊
自由交換の弊害としての特許
知識の木の危機
知的共有物の囲い込み

Chapter Two 生命の創造と所有は可能か:生物多様性を再定義する
遺伝子操作と生物学における還元主義の台頭
操作と成長の違い
遺伝子工学の倫理的問題
遺伝子工学の生態学的・社会経済学的問題
生命を称賛・保護する

Chapter Three 種子と大地 生物体という新しい植民地
母なる大地から空白の大地へ
実験室からの種子
知的所有権と農業・植物育種に携わる人の権利
人間を生命操作する
生産境界線と創造境界線
つながりを再構築する

Chapter Four 生物多様性と人々の知識 生物多様性は誰の資源か?
地域固有の知識と知的所有権
生物資源開発と人々の知識
共有できる生物多様性を回復する
生物略奪の合法化

Chapter Five 生命特許の波紋 単一品種栽培の波及
化学汚染の過激化
新しい形の生物学的汚染
保護の倫理をむしばむ
地域権の侵害

Chapter Six 多様性によって平和を築く
グローバル化Ⅰ:植民地主義
グローバル化Ⅱ:「発展」
グローバル化Ⅲ:「自由貿易」

Chapter Seven 非暴力と多様性の育成

原注
訳者あとがき

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

書評

先進諸国の特許制度は一方的だ

インドにニームという樹木がある。2千年以上も前から歯磨きなどの薬用に使われ、神聖な木としても崇拝されてきた。ところが、20 年このかた、ニームに関する伝統的な知識が、歯磨き粉の調合法まで、米国や日本の企業によって特許にされてしまった。 題名は「生物資源の略奪」を意味する。 第三世界の住民が長い間、共有の知識としていたことが、突然、私有財産にされてしまう。先進諸国の特許制度は一方的だ。 インドの女性平和運動家で、物理学者の著者はそう告発する。

◉『朝日新聞』2002年10月12日付より。

レビュー

レビューはまだありません。

“バイオパイラシー―グローバル化による生命と文化の略奪” の口コミを投稿します