巨大IT産業の問題点告発
◉『北海道新聞』2020年11月8 日付ほか
(…)本書は今世紀に入って急速に成長したデジタル産業を問題にしている。(…)これらの企業は、通常は無視されるような些細なことも記憶していて、その人がどんな食べ物を好むか、どんな映画を見たか、どんなロマンスを望んでいるかを、知っている。そして、それらのセンシティブな情報を、見ず知らずのセールスマンにベラベラと喋ってしまうのである。
著者はフランスで広告業を営む人物である。(…)著者の告発は、抽象的な言い回しを用いながら、ときに非常に生々しいものだ。それは熾烈な競合に敗れてきた者が、間近で見てきたGAFAの姿である。
EU諸国は、この巨大企業の暴走に規制をかける取り組みを始めている。それはアメリカ企業から自国の産業を保護するためというだけではない。ここには、新興のIT産業によって人間の倫理観が根本から損なわれてしまうのではないかという危機感がある。
矢部史郎(ライター)
- GAFAという悪魔に¥ 2,200 (税別)