やや異なる視点から異常気象を説明

◉『日本経済新聞』2008年9月17日付

 やや異なる視点から異常気象を説明しようというのが、フランスの気候学者による、イヴ・ルノワール『気候パニック』だ。気候や気象は太陽エネルギーの変化やその未解明の増幅作用、大気や海洋など様々な条件が絡み合った結果であるとし、原因を温暖化だけに求めようとする議論は排している。温暖化予測の根拠となっている数値モデルの精度についても懐疑的な見方を示す。
 人間の経済活動の影響のない昔から、気候変動や異常気象はいくらでも存在していたわけで、気象の異変と感じられることが、自然変動の範囲内かどうかを見極めるのは難しい。人間は何かに付け原因を求めたがるものであり、今は異常気象が地球温暖化に結びつけて語られがちだ。だが著者によれば、異常気象の根本対策という目的で、温暖化ガスの削減だけに邁進するのは的はずれの対応ということになる。