気候パニック

¥ 3,000 (税別)

書籍内容

イヴ・ルノワール[著]/神尾賢二[訳]
四六判上製/420頁/3000円+税
ISBN978-4-8461-0602-0 C0036

熱暑、大旱魃、大嵐、大寒波――最近の「異常気象」は人々を不安に陥れる。これらの原因は、地球温暖化による気候変動とされ、それに伴う対策が世界的に展開されている。だが、二酸化炭素などの温暖化物質による温室効果=地球温暖化論に対する疑問も出され始めている。
本書は、温室効果と地球温暖化の関係を詳細に分析し、数々の問題点を科学的に検証する。そして気候現象は、大気、海洋、太陽エネルギー、地球の自転などが複雑に絡み合って生まれることを指摘し、「極地移動性高気圧」など様々な要因から、異常気象を解説する。また、「気候クラート」と呼ばれる一部の科学者が政治、企業、エコロジストを巻き込み、気候ビジネスが隆盛していることも、痛烈に批判する。フランスにおいて、出版時から賛否の議論を巻き起こした話題の書! (2006.3)

■目次
はじめに
警鐘
訳者概説 神尾賢二
序文 ロジェ・カン
解説
線条細工と舞台背景

第Ⅰ部 地球とその気候
第1章 天候と気候
第2章 温室効果による砂漠化
第3章 温室効果の外皮を見る
第4章 水上スキーをするモデル、狂ったモデリング
第5章 塵と大気の化学
第6章 氷の貯蔵庫はどこに存在するか?
第7章 海洋のオーケストラ
第8章 空気のように自由自在 風がたどる道
第9章 AMP(極地移動性高気圧)モデル
第10章 嵐は天から降ってはこない
第11章 宇宙的要因 銀河系磁場と放射線

第Ⅱ部 密接な関係にあるが把握しがたい諸変化
第1章 そぐわないモデル
第2章 なんとなんと、北極が冷えている!
第3章 役に立つ摂動
第4章 ダナオスの篩い
第5章 エルニーニョは神か?
第6章 それでも温室効果は存在するか?

第Ⅲ部 気候変化の配当
第1章 トロイの木馬
第2章 科学主義と政治:活動するエコロジー主義
第3章 大きい者はいつも最強である

エピローグ
限界を超えて:歴史は訥弁である

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

書評

やや異なる視点から異常気象を説明

やや異なる視点から異常気象を説明しようというのが、フランスの気候学者による、イヴ・ルノワール『気候パニック』だ。気候や気象は太陽エネルギーの変化やその未解明の増幅作用、大気や海洋など様々な条件が絡み合った結果であるとし、原因を温暖化だけに求めようとする議論は排している。温暖化予測の根拠となっている数値モデルの精度についても懐疑的な見方を示す。 人間の経済活動の影響のない昔から、気候変動や異常気象はいくらでも存在していたわけで、気象の異変と感じられることが、自然変動の範囲内かどうかを見極めるのは難しい。人間は何かに付け原因を求めたがるものであり、今は異常気象が地球温暖化に結びつけて語られがちだ。だが著者によれば、異常気象の根本対策という目的で、温暖化ガスの削減だけに邁進するのは的はずれの対応ということになる。

◉『日本経済新聞』2008年9月17日付より。

レビュー

レビューはまだありません。

“気候パニック” の口コミを投稿します