書籍内容
松本健造[著]
四六判上製/208頁/2200円+税
ISBN978-4-8461-2313-0 C0036
各地で火災が目立ち、犠牲者は一向に減らない。猛烈に噴き出す煙で救出が阻まれ、救出しても搬送先の病院で死亡する。死因は「一酸化炭素中毒」や「焼死」とマスコミで報じられる。だが、死因に猛毒「青酸ガス」(シアン化水素)が関与していることは隠されている。
同一メーカーのバス事故が各地で相次ぐ。ギアがニュートラルで暴走し、曲がりくねった急な坂道を暴走する観光バス。電子制御変速システム「フィンガーシフト」の欠陥が隠されている。
本書は長年、火災事故、バス事故を取材してきた元朝日新聞記者でジャーナリストの著者が、隠されてきた事故の真実に迫る。(2023.12)
■内容構成
第1部 隠された青酸ガス中毒
第1章 京アニ放火事件
▼「こんなにたくさんの人が亡くなるとは思っていなかった」
▼検視の盲点
▼青酸ガスによる急性中毒
▼情報公開請求を拒否する京都府警
第2章 多摩ビル火災の全犠牲者に青酸ガス
▼死因の真相が隠されてきた「からくり」
▼鑑定書に書かれていたこと
▼早い青酸ガスの半減期
▼危険な発泡ウレタン
第3章 奇妙な住宅火災
▼カーペット一平方メートル燃えて焼死
▼最近の火災は、火よりも煙の方が怖い
第4章 青酸ガス解毒剤
▼青酸ガス解毒剤を用意する欧米
▼解毒剤投与で助かる
▼フランスでは救命救急士が解毒剤投与
▼遅れている日本の対応
第5章 火災の青酸ガス中毒に対応できず
▼準備のない日本の病院
▼危険な高気密高断熱の家
▼青酸ガス中毒に備える病院も
第6章 大阪ビル放火現場のトリアージの謎
▼大阪ビル放火現場の謎
▼救出直後は軽症、中等症だったのに
第7章 青酸ガスの発生源
▼消防研究所の研究
▼建材・家財から出る煙の毒性
▼札幌市消防局の燃焼実験
第8章 ダンスクラブ火災
▼ディスコのウレタン火災で大勢死ぬ
▼ウレタン火災のメカニズム
第9章 布団類や車両火災でも大量発生
▼布団類からも有毒ガスが
▼車両火災による青酸ガス中毒
第10章 ホテル大東館火災
▼国会で追及されたホテル大東館火災
▼青酸ガス中毒死と判決
▼「捜査上の秘密」
第11章 業界ぐるみの青酸ガス隠し
▼半世紀前に解剖医が学会発表し業界猛反発
▼ウレタン業界が強く反発
▼報道への抗議に及び腰になるマスコミ
第12章 国内初の青酸中毒死はタンカー火災
▼内装工事中のタンカー火災で一五人死亡
▼長崎屋火災でも青酸中毒隠し
第13章 着衣着火、焼死ではなく青酸ガス中毒
▼着衣着火で毎年一〇〇人の犠牲
▼死者の実態は不明のまま
第14章 住宅用火災報知器は青酸ガス検知不能
▼鳴らない警報機、父娘が中毒死
▼煙より早く屋根裏からガスが流れ込む
▼布切れを水で濡らし、鼻と口にあてる
第15章 建材の有毒ガス分析を怠る建築行政
▼「ザル法」化している建築基準法
▼ウレタンが難燃材料に
▼いい加減な「ガス有害性試験」
第2部 隠されたバス事故原因
第1章 同一メーカーのバス事故が各地で相次ぐ
▼ギアがニュートラルで暴走
▼エンジンブレーキがきかない
第2章 フェイルセーフ欠如のシステム
▼変速ギアがニュートラルに切り替わる
▼ニュートラルは人命よりエンジンを優先
第3章 相次ぐ厳罰判決
▼人為ミスと決めつける警察・司法、メーカーの責任は不問に
▼運転手の緊急行動の是非は問わず、厳罰も
終 章 悲劇を繰り返さない緊急対策
▼青酸ガス中毒の明記、解毒剤の常備を
▼欠陥変速システムの回収・修理を
▼火災の青酸ガスやバス事故から命を守るため、簡単にできる対策は
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