書籍内容
レベッカ・エリス[著]、大森正之[訳]
四六判上製/332頁/3600円+税
ISBN978-4-8461-2402-1 C0045
農業生産は、ミツバチを含むハナバチの送粉活動に大きく依存している。しかし、現代の資本制農業システムは数えきれないやり方で、ハナバチに害を及ぼしている。実際、農薬を多用する農業は、野生のハナバチにおける生息数の減少の主な元凶であり、人に管理されたミツバチの健康をも損なっている。
本書は送粉に関する政治生態学として、ミツバチと野生のハナバチが、現代農業からいかなる危害を被っているかについて、批判的に検討し、それを乗り超える道筋を明らかにしている。(2024.4)
■内容構成
解 題
謝辞
第1章 はじめに:グローバルな送粉動物の危機と人間の農業
ハチ問題の背景/ミツバチの飼育化と農業社会の出現/資本制農業とグローバルな送粉動物の危機/まとめ
第2章 資本新世のハナバチ
資本新世、すなわち資本の時代/入植-植民地主義と北アメリカのミツバチ/資本新世と北アメリカのランドスケープの単純化と標準化/資本新世における欠乏状態に陥ったランドスケープ/まとめ
第3章 ミツバチ産業複合体:生命と活動の商品化
営利目的の移動養蜂の隆盛/営利目的の移動養蜂とミツバチの脆弱性/セイヨウミツバチのグローバルな普及と大規模な営利目的の養蜂
第4章 花々の有毒化と不確実な科学:殺虫剤とハナバチ
農薬:戦争と農業と昆虫学/ネオニコチノイドの危害と複雑性と不確実性/資本新世の毒性を帯びる花々/不確実な科学と相反する専門家の考え方
第5章 ハチに優しい振りをする:農薬会社とネオニコチノイド闘争
強まる農薬会社の支配力/ネオニコチノイドとの闘い/農薬会社がハチに優しい振りをする/農薬禁止のための闘争における成功と失敗から学ぶ/ネオニコチノイドを越えて
第6章 どのハチを守ればいいのか:ミツバチは野生のハナバチに有害か?
野生の在来種のハナバチはミツバチから危害を加えられてきたか?/野生の在来種のハナバチと営利目的の養蜂/ある特定の種が侵略的であるとは、どういう意味か?/ミツバチは、資本制下の工業化された農業のランドスケープにだけ従属しているのか?/気候変動とミツバチの役割/ハチを中心に考える養蜂と健康なミツバチ/欠乏状態に抗う:豊かなランドスケープの創出
第7章 送粉を支援する人々:都市部で多くの種が繁栄する可能性
北アメリカの芝生/都市部で送粉動物を支援する人々の出現/送粉動物を支援する人々とハナバチの繁栄
第8章 資本制農業に立ち向かう運動の構築
資本制農業との闘いにおける連携/資本主義崩壊の中の豊かさ/農業生態学と豊かなランドスケープ/豊かなランドスケープとしての多様な種からなるコモンズ
索 引
訳者あとがき
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