なぜダムはいらないのか

¥ 2,300 (税別)

商品コード: 0307-2 カテゴリー: , , ,

書籍内容

藤原信[著]
四六判上製/272頁/2300円+税
ISBN4-8461-0307-2 C0036

万一の洪水や渇水から住民を守るため、電力や農業のためといった理由で次つぎと建設されるダム……。しかし建設のための建設、土建業者のための建設といったダムがあまりに多い。地域住民が反対するダム建設はほとんどがそうした代物だ。本書は、脱ダム宣言をした田中康夫長野県知事に請われ「長野県治水・利水ダム等検討委員会」委員などを務め、住民の立場からダム政策を批判してきた研究者による、渾身の労作。(2003.7)

■目次
はじめに

【総論】
第1章 河川行政とダム
第一節 河川行政の変遷
多自然型川づくり/前河川審議会委員高橋裕東大名誉教授の講演より
河川にもっと自由を/「地球の水が危ない」

第二節 河川審議会の答申等
今後の河川環境のあり方について(河川審議会答申一九九五年三月)
二一世紀の社会を展望した河川整備の基本的方向について(同一九九六年六月二十八日答申)
社会経済の変化を踏まえた今後の河川制度のあり方について(同一九九六年十二月四日答申)
河川法の一部を改正する法律(一九九七年五月二十八日可決成立)
流域での対応を含む効果的な治水の在り方(河川審計画部会中間答申二〇〇〇年十二月十九日)
今後の水災防止の在り方について(河川審議会答申同日)
河川における市民団体等との連携方策のあり方について(河川審議会答申同日)
新たな河川整備をめざして――淀川水系流域委員会提言――
ダム事業に関するプログラム評価書(案)について/河川審議会と河川法改正

第2章 基本的課題
第一節 基本高水について
治水計画の考え方/基本高水流量の決定/流出解析/治水安全度と計画降雨量 の問題点
貯留関数法とカバー率の問題点/基本高水神話の崩壊/カバー率の合理的な目安

第二節 森林の公益性と緑のダム
林の効用について/“緑のダム”についての一つの見方/水レターについての見解
森林水文学の面から見た“緑のダム”/森林と水循環――緑のダムと緑の蒸発ポンプ
森林土壌学の面から見た“緑のダム”/pF価による孔隙区分
土壌生成のメカニズムと森林の取り扱い方
長野県の『森林(もり)と水プロジェクト』について/ケース・スタディー
流出解析に基づく流域保水容量の推定/人工のダムより“緑のダム”を

【各論】
第1章 長野県のダム
第一節 「脱ダム」宣言
1 長野県治水利水ダム等検討委員会
ダム建設の中止/長野県治水利水ダム等検討委員会の発足
長野県治水利水ダム等検討委員会の開催/浅川部会、砥川部会の発足
ダムの安全性と基本高水論争/砥川浅川両部会報告/基本高水と治水安全度
具体的な答申の起草にむけて

2 答申起草とその後
起草委員会での作業/答申案の審議/答申と枠組みの乖離
その後の検討委員会の動向

第二節 浅川ダム
1 計画の概要
ダム計画の経過/浅川ダムを推進する理由反対する理由

2 ダムサイトの安全性
浅川ダム地すべり等技術検討委員会の設立/技術検討委は学識経験者?
技術検討委の運営について/答申に記載された「安全を疑問とする意見」

3 基本高水の選択
基本高水はなぜ過大に設定されているか/ケーススタディ(飽和雨量と有効貯留量)
浅川ダムのその後/大仏ダム(薄川流域)の基本高水の変更について

第2章 首都圏のダム
第一節 八ツ場ダム
1 計画の概要
八ツ場ダム計画の始まり/反対派町長の誕生/反対から賛成へ/新たな反対運動
八ツ場ダム建設事業の概要/品木ダムの概要

2 推進する理由
八ツ場ダムの治水計画/八ツ場ダムの利水計画/八ツ場ダムの費用対効果
生活再建対策

3 反対する理由
住民による反対(長野原町報より)/ダムの安全性について/治水について
過大な基本高水/利水について/環境問題について/生活再建について/総括

第二節 東大芦川ダム
1 計画の概要
東大芦川ダムの経緯/栃木県知事選挙とその後の展開
東大芦川ダム建設事業検討会の審議について
大芦川流域住民協議会の発足と経過/東大芦川ダム建設事業の概要
大芦川流域の概況

2 推進する理由
洪水と災害――基本高水/鹿沼市の水道用水について

3 反対する理由
治水について――治水安全/治水について――基本高水/利水について
環境について/費用対効果について/地域振興について

おわりに
あとがき

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

レビュー

レビューはまだありません。

“なぜダムはいらないのか” の口コミを投稿します