書籍内容
石見尚、野村かつ子[著]
四六判上製/180頁/1800円+税
ISBN4-8461-0404-4 C0036
欧米を中心とする多国籍企業に牛耳られているWTOは、多角的貿易交渉を新ラウンドとして合意に導くとの予定に反し、宣言すら出せないまま紛糾を続けている。特に1999年の第3回閣僚会議が開かれたシアトルでは、アンチ・グローバリゼーションを掲げた人々が、世界中から集結し、激しい反対運動を繰り広げ、WTOにひとつの転換点をもたらした。WTOはなぜかくも紛糾するのか?
本書は特に、シアトル以後の会議を通して、WTOの問題点を掘り下げるとともに、下からのグローバリゼーションの運動に焦点を当てて、今後の展望を打ち出している。(2004.4)
■目次
はじめに
第一章 WTOの予想された行き詰まり
1 WTOの発足
2 農業交渉──ウルグァイ・ラウンドからWTOへ
(1)市場アクセス (2)輸出補助金 (3)国内助成 (4)動植物衛生規則の適用に関する合意
3 日本の対応について
4 アメリカの農民・市民の反対運動
(1)関税化 (2)デカップリング (3)ハーモニゼーション
5 行き詰まりを打開するには
第二章 何のためのWTOか
1 産軍複合体国家がゆがめた農業構造
2 アメリカの心のふるさと──農業・農村の点描
(1)ニューイングランドと中部大西洋岸
(2)五大湖地方と大草原地方
(3)南部
(4)ウェストヴァージニアとケンタッキー州
(5)マウンテン・ウエスト
(6)カリフォルニア州
3 貿易自由化の推進者たち
(1)多国籍アグリビジネス (2)日本の多国籍企業
第三章 閣僚会議──そして「緑のグループ」と南の反乱
1 第一回閣僚会議(シンガポール、一九九六年一二月九日~一三日)
(1)途上国、後発途上国へ広げた市場開放要求と紛争処理手続の民主化
(2)アメリカ消費者運動の分かれた評価
2 第二回閣僚会議(ジュネーブ、一九九八年五月一八日~二〇日)
(1)ガット創立五〇周年 (2)最初の抗議行動
3 第三回閣僚会議(シアトル、一九九九年一一月三〇日~一二月三日)
(1)深い対立を抱えたまま閉幕 (2)シアトル閣僚会議へのラルフ・ネーダーの勧告
(3)世界労働運動の転換 (4)識者の評価
(5)TOES二〇〇〇 ピープルズ・サミット(那覇、二〇〇〇年七月二一日~二三日)
(6) パブリック・シティズン主催の国際シアトル連合集会
──WTOの方向転換の要求(シンシナティ、二〇〇〇年一一月一六日)
4 第四回閣僚会議(ドーハ、二〇〇一年一一月九日~一三日)
(1)慎重な論議と結論の先送り (2)G―77サミット(ハバナ、二〇〇〇年四月一〇日~一四日)
5 第五回閣僚会議(カンクン、二〇〇三年九月一〇日~一四日)
(1) 再び閣僚会議宣言のない閉幕
(2) ワールド・ソーシャル・フォーラム
(ポート・アレグロ、二〇〇一年一月二五日~三〇日)
第四章 ポストWTOの経済原理と実現方策
資 料
付録1 TOES/JAPAN アジェンダ
「超国家企業の支配下のクローバリゼーションに対するNGOによる
地球的規模での秩序づけの提案」
付録2 TOES/JAPAN声明
付表 WTOに関する略年表
参考文献
あとがき
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