メンタルヘルスの労働相談

¥ 1,800 (税別)

商品コード: 1112-0 カテゴリー: , , ,

書籍内容

メンタルヘルス・ケア研究会[著]
四六判上製/244頁/1800円+税
ISBN978-4-8461-1112-0 C0036

職場いじめ、パワハラ、セクハラ、うつ、自殺願望の労働相談が急増している。その背景には、リストラや倒産、サービス残業などの長時間労働、成果主義賃金などさまざまな要因が絡み合っている。個人的に起こっている問題は会社的、社会的な問題なのだ。
本書は、SOS を発している相談者に寄り添い、相談を受ける側の心構え、相談の仕方、会社との交渉、労災申請、会社の協力の下での職場復帰プロセス、アフターケアなどを具体的に分かりやすく解説。メンタルヘルス・ケアの労働相談マニュアルの決定版であるとともに、相談当事者・関係者必携の書!(2011.7)

■内容構成
用語解説

はじめに
問題提起
変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制が導入される
リストラされずに残った労働者が体調不良に
労働から「人格」が奪われ「人権」が消えた
お互いの無理解がトラブルを拡大させる
取り組みを開始させた「電通過労自殺裁判」

第一章 職場いじめの労働相談
労働相談
〝まさか〟が現実に
相談することは一歩踏み出したこと
話すこと、聞くことの意味
「いま人間として生きているんだなと感じています」

相談を受ける側の心構え
当事者の訴えから出発する
「相談者の心の扉は、外からは開かない」
「共感」と「同情」は違う
「事実」と「真実」は違う
待つことが自立を促す場合もある
わからないこと、できないことを誤魔化さない
意識と体調にはギャップがある
解決に向けた方針は相談者の「自己決定」
うつ病の症状は身体に出る
体調がいい時はきれいなものがきれいに見える
人間には本来「自己治療力」がある
相談活動は長期的問題解決の入口

第二章 職場いじめとは
〝いじめ〟にどう対処するか
はじめに
コペンハーゲン中央駅の職場環境改善例

差別という〝いじめ〟
差別は自分の〈存在証明〉を追いもとめること
人間関係の希薄さが差別の温床
『請負給やめて全部月給制にしたらヤマの事故の大半はなくなるよ』
違いの確認から平等感の追求を
「人の世に熱あれ人間に光あれ」
〝いじめ〟とは
「『いじめ』だなんてそんな敗北主義の言葉はいやだ」
職場で恒常的に〝いじめ〟が発生する構造に
誰もが〝いじめ〟の対象
職場が混とんとしている
〝いじめ〟の定義
評価面談による〝いじめ〟

長時間労働にどう対処するか
サービス残業が労働時間を長時間化させている
「勤務から解放される時間の不足が精神的健康破綻の発生原因」

過労自殺問題を輸出
「過重労働による健康障害防止のための総合対策」
「自主的行為は残業ではない」
「上司は業務量を適切に調整するための措置をとらなければならない」
「サービス残業 命の切り売り」

適正配置義務とは
使用者には適正配置義務がある
退職目的の配置転換は人事権の濫用
〝いじめ〟にも「防止対策ガイドライン」を

第三章 どう対処するか
紛争への対応
交渉に向けた対策
解決に向けて
紛争の解決とは何か
〝金は一時、健康は一生〟
労災申請や裁判提訴は慎重に
「ゆとり・なかま・決定権」

真のコミュニケーションは
コミュニケーション不足は個人の問題ではない
コミュニケーション不足が混乱をもたらしている
コミュニケーション不足は会社全体の問題

やはり「人は人から傷つけられ、人によって癒される」
「サトラレ」は「サトラセ」の裏返し
だれでも安心、信頼を探している
「一番信頼できる人に相談してみなさい」
〝いじめ〟で労働者はどのような状況に陥っているか
人格否定の〝いじめ〟 には他者との交流で再確認
本物の自尊心は
簡単に傷つかない
自分には全く非がない!
そこに〝隙〟があったのです。
憎しみを抱き続けることはつまらないこと

戦後補償運動の地平から受け継ぐもの
人間は好かれたい、愛されたい、自信をもって生きてゆきたい、と切望している
アメリカ軍はアメリカ兵を負傷させ、殺し続けている
トラウマ・『PTSD』から回復するには、他者の存在が重要
「生きていてよかった!」
生き残ったことは幸せだった
「今なお心もからだもおびやかされています」
泣くことが歓びになる

成果主義賃金制度の導入
「総合評価」は、評価を下げる手段
自己評価と上司の評価の落差が大きなストレスになる
成果主義は労働者の職場秩序、団結を破壊した
評価にはルールがある
低い評価にどう対抗するか
使用者は労働契約上の義務を負っている

第四章 社会的問題となったメンタルヘルス・ケア

より安心して働き続けるために
「労働安全衛生法」
法律、規定がないから「違法ではない」
使用者の安全配慮義務
「安全配慮義務」の判決
危険領域に業務命令
使用者と労働契約を結んでいることが労働者と奴隷の違い
「使用者の安全配慮義務」の確立
行政の進める労働安全衛生のモデルは軍隊
「電通過労自殺訴訟」が流れを変える
闘いを前進させたのは遺族
「労働契約法」に「労働者の安全への配慮」
ハインリッヒの法則

労働者の側からのケアとは
『心理的負担による精神障害等に係る業務上外の判断指針』
労働者にとっての四つのケア

第五章 精神疾患の労災認定と問題点
労災申請と認定
「判断指針」に基づいて判断
「判断指針」の内容
「判断指針」の限界を指摘
「いじめ」の認定基準が少し緩和
改正「指針」は前進
長時間労働以外でも労災認定
使い勝手の悪さの改善を
兵士の降格判断は精神科医ではなく陸軍
ストレスの要因は相乗的に作用している

セクハラ被害の相談にどう対応するか
「セクシャルハラスメント」の評価は事後の対応も対象
厚労省が「セクハラ指針」を告示
「男女雇用機会均等法」で事業主に雇用管理上の配慮を義務づけ
セクハラ相談者は被害者

労働者と自殺者問題
地方の製造工業地帯で多発
自殺は「危機要因」が連鎖して起こる
自殺は要因が連鎖している

第六章 職場復帰を成功させるには
労働者の職場復帰
「労働者の職場復帰支援の手引き」
「手引き」でのキーパーソンは管理監督者
産業医とは
改訂「手引き」は前進
会社は「プライバシーの保護」を口実に問題を隠す
「ゆっくり休んでください」は要注意
主治医の復職可能の診断は第二ステップ
期待する受け入れ体制を

復職を成功させるために
自己を大切にし、無理をしない
会社と一緒に復職プログラムを作る
主治医が「会社に行けそうだったら行ってみなさい」
「三カ月休むと仕事のことが忘れられるよ」
家族のための制度があるのになぜ本人は無視
制度の運用には会社に見合った独自の工夫と努力を
復職の職場は
先輩社員が「自分がフォローするからまかせてくれ」
ユニオンでのリハビリ
復職者からの要望
復職者も変わる!
自分を見つめ直す

第七章 自殺願望者・若者へのメンタルヘルス
自殺願望者との労働相談
森山直太朗の「生きていることが辛いなら」
自傷は「こころの痛み」を「からだの痛み」で抑えること
リストカットは自分を救って安心感を取り戻す自己防衛の行為
「絶対に死なないから」
自殺者の七二%はどこかに相談している
二〇〇九年の自殺概要は三十代が過去最多
自殺願望者には、援助希求行為を評価し、自殺のポジティブな面に「共感」する
本当は生きたいと思っている
「また来ていいんですか」

若者とメンタルヘルス
「有能な若手社員の離職もしくは病欠」が増えている
「僕にとって働くとは、自分を殺すことだった」
いわゆる「新型うつ」の傾向
いわゆる「新型うつ」の症状
若者は将来の宝
人間の成長の可能性に限界がない

第八章 労働相談のメンタルヘルス・ケア
労働相談とストレス
ハローワーク職員の五八・二%が「何らかの問題あり」
「労働負荷」と「対人葛藤」がストレスの大きな要因
相談を受ける側の「安全配慮義務」が無視されている
対人支援者のバーンアウト
ストレスの原因は人間関係
感情労働とは
自分が納得していない感情は統合性を失う
半数以上がケア・ハラを経験
営業は野蛮な『男の舞』が不可欠

労働相談を受ける側の自己防衛術
立場、権限、役割の違いをはっきりと確認させる
相談を受ける側が自己を維持するために
客室乗務員の自己主張訓練コース
ストレス解消のために

第九章 私の叫びを私たちの叫びに
集団から個の労働運動に
「個人の問題なので労働組合は関与しない」
権利紛争の喪失
労働者の安全・
安心は「自己責任」?
中高年の男性労働者が追い込まれると社会問題化
個性を抑えて集団的行為

集団の団結から個の団結へ
ヨーロッパではパワハラを法律で規制
労組の対応が早いフランス
権利紛争の復活を
「私の叫び」を「私たちの叫び」に
「共感」「理解」「解決にむけての行動」を共有する
労働組合を結成して仲間を守る
交渉の成果として「行動規定」を制定
「労働力は商品ではない」

第一〇章 メンタルヘルス・ケアの課題
使用者の責任
メンタルへルス・ケアに対する取り組み現状
保健師等の健闘で成功例
会社のメンタルヘルスケア研修会の実態
会社のリスク
対応遅れによる本当のリスクはどれくらい?
大きなリスク
トップから変わるのが一番早い解決策

実態解明の遅れ
精神疾患に罹患した労働者の実態は不明
経済的損失額は約二・七兆円
「よろけ撲滅は社長がやらねばならぬ仕事ではないか」
現在も労働者の困難はつづく

おわりに

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

レビュー

レビューはまだありません。

“メンタルヘルスの労働相談” の口コミを投稿します