書籍内容
ロール・ヌアラ[著]/及川美枝[訳]
四六判上製/232頁/2300円+税
ISBN978-4-8461-1206-6 C0036
チェルノブイリが一つだけではなく、いくつもあることをあなたは知っているだろうか? また、過去に汚染された地域が何千年もの間、汚染されたままであること、使用済み核燃料の「再処理」は事実上存在しないこと、原子力産業は放射能汚染を「浄化」できないのにそれを隠していることを知っているだろうか?
本書は私たちを、原子爆弾誕生の地=米国ハンフォードから、フランスのラ・アーグ再処理工場、ビュール廃棄物埋設処理施設、シベリアの果ての露天廃棄場など、世界の核のゴミ捨て場を巡る不安な旅に誘う。この長い旅の過程で、私たちが驚きと共に発見するのは、原子力産業が常に、原子力について議論する機会を、そして廃棄物を拒否する権利を、市民たちから奪ってきたという事実である。市民の意見を聞くなら原子力は生き延びられない。原子力は民主主義と共存できるだろうか?(2012.4)
■内容構成
日本語版へのまえがき フクシマを経験しつつある日本の友人たちへ
宇宙物理学者、ユベール・リーヴズの序文
まえがき
チェルノブイリとエモーショナルな原子力
第一部 原子力産業、長期にわたる汚染
ハンフォード、原子力誕生の地
ハンフォード、原爆の製造競走
リッチランド、キノコ雲の町
現状の確認
放射能の釣り
ヤカマ・インディアンから没収された土地
ロシア、露天のゴミ捨て場
マヤーク、ウラルの秘密の町
放射能のスポンジ(吸収)
爆発
死の湖
現在の汚染
汚染地域における生活
第二部 不満足な技術的解決法
再処理の実態調査
フランス原子力半島の中心で
再処理、あるいは、薪の補給方法
理論と実際の違い
四〇㎏の最終廃棄物(全体の四%)
一〇㎏のプルトニウム(全体の一%)
九五〇㎏の再処理ウラン(全体の九五%)
再処理ウランの一五%、つまり、最初の一トンのうちのちょうど一四二・五㎏
廃棄物の再処理は本当に必要なのか?
ラ・アーグと大量の汚染
アメリカ、フランスの再処理技術の展望
第三部 封じこめられた民主主義
ユッカ、蛇の山
ユッカ、法律に封じ込められた場所
ラスベガスと軍資金
ビュール、法律にもり込まれた選択
大理石のように冷たい法律
レジスタンス
問題の原子力ルネッサンス
問題は人間?
原子力産業のネック
結論
エピローグ
補遺
用語リスト(本文中に*印で示されている用語)
参考文献
図表1 アレバによる核燃料のサイクル
図表2 廃棄物の分類
図表3 世界の原子力発電所
謝辞
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