がれき処理・除染はこれでよいのか

¥ 1,900 (税別)

書籍内容

熊本一規、辻 芳徳[共著]
四六判上製/200頁/1900円+税
ISBN978-4-8461-1211-0 C0036

「東北がんばれ! それってただ言葉だけだったのか? 東北のがれきが処理されないのは他府県が搬入を拒否しているからだ」「放射能が怖いという無知から来る身勝手な言い分。自分だけ良ければいいのか」――震災がれきの広域処理で、反対する市民に投げつけられる政府・マスコミの非難のことば……。はたして本当にそうなのか?
IAEA(国際原子力機関)の安全基準に照らしても80倍も甘く基準緩和し、放射性廃棄物として厳格に保管・隔離されなければならない物を日本全国にばらまく広域処理は、国民の健康に脅威をもたらすだけだ。
そして、避難区域への住民の帰還推進で進められる除染事業。しかし放射性物質は除染によって減少することはない。がれき利権と除染利権に群がるゼネコンや原発関連業者。いま必要なのは放射性物質の隔離と住民の避難なのだ。本書は、問題点をていねいに解き明かす。(2012.6)

■内容構成
はじめに

第1章 がれき広域処理とその仕組みづくり
一 がれき広域処理は疑問だらけ
1 広域処理の遅れが復興を妨げているのか
2 広域処理されるのは「通常の廃棄物」か
二 広域処理の仕組みはいかにつくられたか
1 災害廃棄物は一般廃棄物か
2 誰が費用負担するのか
3 復興予算が産廃処理業者に流れる仕組み
4 「産廃を一廃として処理する」ための特例

第2章 がれき焼却は放射能汚染をもたらすか
一 焼却に伴う有害物質はどのように規制されているか
二 セシウムはバグフィルターで除去できるか
1 国はセシウムについて知らない
2 バグフィルターとは何か
3 災害廃棄物安全評価検討会における不透明な審議
4 バグフィルターでは気体状・液体状のセシウムは捕捉困難

第3章 放射性物質を汚染循環に入れる愚策
一 放射性廃棄物はいかに処理されてきたか
1 放射性廃棄物の種類
2 放射性廃棄物の処分方法
3 クリアランスレベル基準値はいかに決められているか
二 がれき処理の基準値はIAEA安全指針に反する
1 八〇〇〇ベクレル/㎏の基準値は八〇倍の基準緩和
2 八〇〇〇ベクレル/㎏の根拠は何か
3 単位重量当たり濃度を表面の汚染密度から導くカラクリ
4 ガイガーカウンターではベクレルを測れない
5 基準緩和は何のためか
三 産廃はいかに処理・リサイクルされているか
1 地下水汚染をもたらす処分場
2 不法投棄が横行する産廃処理市場
3 リサイクルは最も危険
4 日本は汚染循環型社会
四 放射性物質が汚染循環に含まれる

第4章 誰のための広域処理か
一 拡散は「処理の大原則」に反する
二 「広域処理」の意味転換
1 当初の「広域処理」は「地元連携型広域処理」
2 仙谷発言が「全国的広域処理」の契機
3 災害廃棄物処理特措法の制定
4 「県の代行」による「全国的広域処理」と「地元処理」
三 仙台市のがれき処理はいかに行なわれているか
1 自区内処理・地域経済復興が基本方針
2 仙台市のがれき処理がスムーズに進んだ要因
3 仙台方式が示唆するもの
四 がれき利権の配分としての全国的広域処理
1 「県の代行」や「国の代行」は必要だったのか
2 震災がれきは垂涎の的
3 徳島県・札幌市長の見解

第5章 地元主体・被災者救済の復興を
一 震災がれきを誰がいかに処理するか
1 福島第一原発周辺に集中させる
2 東電が処理費を負担すべき
二 誰のための除染か
1 放射性物質汚染対処特措法による処理及び除染の仕組み
2 除染はどこでいかに進められるのか
3 除染は「移染」
4 巨額の除染利権
三 避難と隔離を柱とした対策を
1 チェルノブイリでは住民が「避難の権利」を持つ
2 チェルノブイリと福島
3 がれき利権と除染利権と帰還推進はセットになっている
4 四号機問題が続くのに帰還推進とは
5 福島県は何故「帰還推進」か
四 農水産物こそ浄化と復興の鍵
1 汚染物質は資源物質
2 農水産物は大地や海を浄化する
3 農産物からバイオエネルギーを
4 農水産物による浄化とバイオエネルギーで農漁民の救済を

付論 漁業権は誰のためにあるか(初出『季刊地域』Winter 二〇一二)
漁業権の免許の仕組み
特定区画漁業権の免許の優先順位
復興特区における「漁業法の特例」の内容
総有の権利は持続的社会の基盤
地域が地域資源を握り活用することが持続的社会の鍵

あとがき
資料
参考文献・参考資料

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

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