書籍内容
上岡直見[著]
四六判上製/228頁/2500円+税
ISBN978-4-8461-1610-1 C0036
日本の鉄道の混雑は、異常である。大都市圏の通勤、通学は、不快であるだけでなく、危険もあり、混雑ゆえのトラブル、乗客同士のいさかいも多発している。鉄道事業者は、マナーを呼びかけ、秩序を維持しようと必死だが、それで問題が解決するわけではない。混雑を解消するために必要なことは、第1に鉄道事業者の姿勢の問い直しであり、第2は、交通政策、政治の転換である。
本書は、混雑の本質的な原因を指摘すると共に、鉄道が本来持っている存在価値、特にローカル線の存在価値を再確認すると共に、リニア新幹線の負の側面についても言及する。
(2016.6)
■内容構成
はじめに
第1章 なぜ電車は混むか
なぜ電車は混むか/戦前のままのインフラ/今も尾を引く戦争の影響
インフラ整備の費用/「ガラアキ」こそサービス/「混雑」を数字で捉える
首都圏各線の実態/都市圏の人の動き/「立席」の経済的損失は年に九兆円
「着席」の経済価値/東京都市圏の鉄道の存在価値は年に四五兆円
第2章 交通は人権である
憲法と交通/交通の「格差」増大/割高な日本の鉄道運賃
なぜ日本は割高なのか/長距離移動も割高/交通事故も大きな人権侵害
高齢者の交通事故/「平和」こそ公共交通のセキュリティ/形式だけの警戒
監視システムの危険性
第3章 電車から見える日本社会
「日本は世界一」の幻想/新幹線でさえも投げやりサービス
JRでも変わらぬ「お役所」体質/マニュアル化はサービスか
「コンピュータ日の丸」になったJR/歪んだ電子システム
自動改札はゆっくり?/サービスは「ローテク」が重要/コミュニケーション
余裕のないサービス/座れない「待合室」
第4章 「マナー」にご注意
沢山の目が光ってる/「迷惑」とは何か/迷惑行為アンケート
マナーは日本の伝統か/さまざまなトラブル/さっさとつめておしまい!
鉄道自殺に関して
第5章 ローカル線が日本を守る
日本の「シンガポール化」/縮小を続ける地方鉄道/ローカル線は「赤字」か
日本列島が消える/鉄道の社会的価値/格差の増大
「廃線商法」より普通列車の尊重を/サービスレベルの劣化
地域の持続性に必要な鉄道/バス転換は地域消滅への道
第6章 鉄道はエコでなくてよい
山手線放火事件/ 鉄道はエコと言えなくなる事情/電車の冷房削減は省エネか?
奇妙な「節電」
第7章 リニアより詰め込み解消を
技術的合理性のないリニア/手探りで人体実験/早くも経営破綻のおそれ
リニアによる環境影響/リニア建設より新幹線値下げと在来線改善を
便益は地方に回らず
あとがき
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