書籍内容
ジョン・ソレンソン[著]井上太一[訳]
 四六判上製/468頁/3200円+税
 ISBN978-4-8461-1711-5 C0036
本書は米国、英国やカナダにおける国家と企業による市民運動・社会運動の弾圧、とりわけ、環境保護運動や動物擁護運動を「エコテロリズム」なる汚名を着せて迫害するという近年の現象について、批判的見地から考察した書である。世界各国の実例によって明らかにされる活動家弾圧の実態からは、搾取と抑圧の上に成り立つ現代社会が市民の管理統制へと向かうさまを窺い知ることができ、慄然とさせられるものがある。
 同時に、本書はその抑圧の背景に存在する企業や国家の代理人たちの犯罪を明らかにし、暴力と破壊のネットワーク、巨大企業が牛耳る行政・立法・司法・警察・産業複合体の全体像に迫る。(2017.7)
■目次
 謝辞
第1章 幻想の世界
 恐怖の操作/テロリズムとは何か/つくられた脅威
 種差別主義/幻想の構築/動物産業複合体
 資本主義に対抗する動物の権利/「印象的な映像」
 エコ狩り、アカ狩り/モノ扱いか思いやりか/気候変動
 第2章 実在するテロリズム
 思いやりの言論/不誠実/業界教祖/素朴な庶民
 制度化された暴力を擁護する/「動物福祉」
 腐ったリンゴ/標準業務/人間例外主義
 第3章 テロリズム事業者
 テロリズム産業/「エコテロリズム」/業界の拡大
 テロリズム産業は「テロ」を必要とする/エコテロリズムを売り込む
 動物の権利テロ/ロビー団体と宣伝者/包囲網内の産業
 AETAのロビー活動/テロリストの構築
 第4章 暴力の捏造
 思いやりを打ち砕く/暴力の枠組み/動物福祉団体を過激派に
 過激派の創出/「ただの狂気」/つくられた関係性
 暴力的な活動家?/暴力の標的となる活動家たち/非暴力
 警察の反応
 第5章 活動家をテロリストに
 市民活動の監視/COINTELPROの遺産/カナダにおける
 「任務の泥沼化」/イデオロギーに駆られた取り締まり
 「我が国における今日最大のテロ脅威」/思想警察/監視と弾圧
 エコ狩り/スパイ活動──イギリス編
 スパイ活動──ニュージーランド/オーストラリア編/企業のスパイ
 囮工作/路上の煽動者/組織的事業創出/厳刑化
 テロリストは至るところに/動物関連企業テロリズム
 第6章 恐怖の政治学
 恐怖の利用/看過される右翼の暴力──ヨーロッパ編
 看過される右翼の暴力──アメリカ編/白人至上主義者
 限定された標的/放牧地戦争
 第7章 猿轡
 潜入調査/虐待調査の犯罪指定/「食品安全」/構造的暴力の暴露
 「生きるに値しない命」/サディズムと構造的暴力/虐待と殺害の擁護
 「活動家は我々にいささかの知識を与えてくれるのかもしれない」
 抑圧の交差性と人間労働者の搾取/矛盾思考と危機管理広報
 カナダにおける調査/「信頼の確立」/ALECと猿轡
 弁護できないものを弁護する/「食品スキャンダル」
 第8章 カナダにおけるエコテロリズムの捏造
 警戒/タールサンドと環境破壊/漏洩/不可避の災害
 環境保護の過激派とテロリスト/エコテロリズムと国家安全保障
 民主主義の侮辱/気候変動の否定/魔女狩り/スパイ宮からの眺望
 カナダにおける恐怖の文化/エコテロリストのカナダ企業/宣伝戦略
 法案C
略称一覧/参照/索引/訳者あとがき






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