書籍内容
ルーカス・シュトラウマン[著]鶴田由紀[訳]
四六判上製/352頁/2800円+税
ISBN978-4-8461-1719-1 C0036
ボルネオの熱帯雨林ほど美しいものはないという。その地球上で最も豊かな生態系を、マレーシア・サラワク州の独裁政権が、乱伐し、どのように破壊していったのか? 抵抗するリーダーや内部告発したものは抹殺され、先住民族の森の民はブルドーザーに追われ、伝統的な生活手段を奪われた。
本書は、汚職と不正乱伐で肥え太り、マネーロンダリングで不動産投資に明け暮れる〈マレーシア木材マフィア〉=タイブ帝国の驚くべき実態を暴露する。(2017.10)
■内容構成
序文 ムタン・ウルド
第一章 金の動きを追え
タイブの知られざる不動産帝国/アメリカン・ドリーム
トップシークレット タイブ一族とFBI
政略結婚 または「人生は自分次第」/ファミリー・ビジネス
リストラ/被害妄想/スカンクの攻撃/深い悲しみの涙
第二章 失われた楽園
首長の回想/ボルネオの雨林/気高き未開人
ハンターの中のベジタリアン/ペナン人の悲劇
ボルネオ最後のノマド
第三章 ホワイト・ラジャ
私有王国/領地の拡大/ブルック一族支配の終焉
政治 抵抗運動/そして一つの殺人/首長の長い演説
ボルネオに派遣されたイギリス人銀行家
第四章 サラワクのマキャヴェリ
コネとカネ/愛するアデレードよ/サラワクへの帰国
サラワク州内閣の若輩者/騒動/伐採王/木材の呪い
大波乱/クアラルンプールに流れるオイルマネー/サラワクの王
第五章 吹き矢とブルドーザー
兄弟愛/熱帯木材という金鉱脈/コカコーラ接待
吹き矢でブルドーザーに立ち向かう/ブルーノ・マンサー ラケイ・ペナン
ラーマン引退/サラワク・モノポリー/雨林を巡る戦争
ペナン人の新たな抵抗文化/マンサー最後の旅
第六章 ブルーノ・マンサーの遺産
法廷での快挙/歴史の力/ブルーノ・マンサーのサゴヤシ/雨林の地図
ケレサウの失踪/ペナン人女性への性的暴行
第七章 オフショア・ビジネス
クレディ・スイス前の記念碑/UBSの小切手/木材マフィアに極上のサービスを
ドイツ銀行の闇/熱帯の島のオフショア・ビジネス/ペクニア・ノン・オレット
小さなフランクフルト・ソーセージ/スイス・コネクション?
第八章 森林破壊を追って
雨林の首長 バーンホーフシュトラーセに立つ/森林破壊の震源地サラワク
聖書とチェーンソー/パプアへの進出/アフリカから/クメール人の国への侵略
オーストラリアの縁故主義/コア・ビジネス 環境破壊
第九章 緑の荒廃地
恐怖のハイウェイ/持続可能なパームオイル?/土地収奪プロジェクト
タイブの汚職回廊/雨林を水没させたノルウェー人/タイブの海外支援者たち
失われるサラワクの川
第十章 汚職なき熱帯雨林
岐路に立つサラワク/なぜサラワクの問題に関心を持たなければならないのか
及び腰の国際社会/違法伐採への近年の取り組み/ペナン人の最後の希望
謝辞
サラワク年表
原注
訳者解説
サラワクの民族について
マレー人について
ペナン人のカタカナ表記について
オリンピックに向けた日本の対応について
訳者あとがき
レビュー
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