書籍内容
矢ヶ﨑克馬[著]
A5判上製/284頁/3200円+税
ISBN978-4-8461-2109-9 C0036
原水爆や原発による放射線被曝は、ヒロシマ・ナガサキからチェルノブイリ・フクシマまで、これまで一貫して被曝防護の基準を核推進の国家や企業に有利になるように制定し、事実を隠蔽し、市民の健康を無視し、被害を拡大してきた。その推進勢力こそが国際原子力機関(IAEA)・国際放射線防護委員会(ICRP)・原子放射線の影響に関する科学委員会(UNSCEAR)・世界保健機関(WHO)などの国際・国内原子力ロビーであり、エセ科学とエセ科学者を総動員し安全神話を捏造し、人びとを欺瞞してきた。本書は、国際放射線防護委員会などの防護の考え方や防護基準を科学の目で批判し、どうすれば放射線被曝から市民のいのちと暮らしを守れるかを考える。(2021.4)
■内容構成
はじめに
第1部 東電原発事故で住民は保護されたのか?
§1 住民保護か? 原発擁護のための「住民保護せず」か?
§2 ICRPの防護の哲学は人権を否定する「功利主義」
§3 東電原発事故処理にいかにIAEA方針が具体化されたか?
─原子力災害対策特措法に従わない「原子力緊急事態宣言」─
§4 東電事故とチェルノブイリ事故の住民保護の違い
§5 不当なモニタリングポストの数値─実際の半分しかない─
§6 日本の放射能汚染の危険な現状
§7 原発事故の真の原因が明らかにされているのか?
§8 日本の人口激減について─厚労省人口動態調査データを分析─
§9 2011年以降の危惧される健康問題
§10 福島被曝─チェルノブイリでは現れなかった福島独特の被害─
§11 核戦略推進者と放射線被曝管理者が同一人物となっている
§12 政治権力により事実は曲げられてきた
第2部 科学を踏まえた放射線防護の考え方
─ICRPは科学体系ではない
§1 科学的方法の原理
§2 吸収線量から照射線量への恣意的移行
§3 具体性の捨象は何を意味するか?
§4 因果律の無視─似非科学に転落させる道─
§5 多重過誤により生まれた架空物理量─実効線量
§6 放射線測定に関するテクニカルな定義(国際基準)─一切が吸収線量定義違反─
§7 科学の原理─科学の目で放射線防護学を見るために─
第3部 放射線の本質・定性
§1 放射線
§2 放射線の電離作用─分子切断の機構─
§3 進化の歴史で獲得した修復力と人工放射能の健康被害
§4 抗酸化力・免疫力の強弱
第4部 内部被曝と外部被曝
§1 内部被曝
§2 内部被曝と外部被曝はどのように違うか?
─分子切断の局所的集中性と時間的継続性の違い─
§3 電離を被る局所評価と臓器ごとの評価の差
第5部 知られざる核戦争─内部被曝被害は隠されてきた─
§1 原爆投下直後
§2 戦後の展開
第6部 原子雲の構造・生成原理
§1 高度4㎞程度以下に広がる水平原子雲の存在
§2 原子雲に関わる状況
§3 米軍撮影の写真から何が読み取れるか
§4 原子雲はどのようにしてできたか?─解析のプロセス
§5 浮力について
§6 きのこ雲(頭部と中心軸)の形成─熱と放射能が中心軸に集積─
§7 高温気塊内部の温度分布
§8 水平原子雲の形成─「逆転層」の存在─
§9 広島・長崎原子雲写真の分析からわかったこと
§10 水平原子雲と被爆地域との関わり─「黒い雨」雨域と長崎被曝地域見直し区域は水平原子雲で説明できる─
§11 多湿空間中の放射性微粒子と雲
§12 黒い雨に関する専門家会議の誤り
§13 長崎被曝体験者
§14 誤った「科学」により真実が抑圧されてきた歴史
第7部 物性物理学者が何故被曝研究に?
§1 物性専門家が放射線被曝市民研究者に─学術シンポジウム名:フクシマの問いにどう応えるか─東アジア現代史の中で─
§2 我が妻・故沖本八重美は広島胎内被爆者だった
§3 個人体験─福島入り2年後の突然の体調不良と勝手に決めた治療方法─
§4 つなごう命の会
むすびに─我々は勇気を持って応えられるだろうか
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