ODAダムが沈めた村と森─コトパンジャン・ダム反対25年の記録

¥ 2,400 (税別)

商品コード: 1903-4 カテゴリー: , , ,

書籍内容

コトパンジャン・ダム被害者住民を支援する会[編]
四六判上製/248頁/2400円+税
ISBN978-4-8461-1903-4 C0036

政府開発援助(ODA)は、途上国を助けてあげる良いことだと宣伝されてきた。まさか援助国の日本が裁判で訴えられる事態となることは、多くの人々には意外であった。ODAは、無駄遣いや役立たない援助とか、汚職・わいろの温床、途上国の借金漬けなどの問題が指摘されることはあっても、深刻な被害がおきていることは日本国内に知らされていなかった。
インドネシアのコトパンジャン・ダム裁判は、強制立ち退きを強いられた2 万人以上の被害者と自然環境破壊が大量に生み出され、多くの人々が苦しんでいることを白日の下にさらけ出すことになった。
本書は、8396 人という日本の裁判史上最大の原告団と日本での裁判を支援する支援者・弁護団によって闘われたコトパンジャン・ダム裁判の全記録である。(2019.2)

■内容構成
はじめに──コトパンジャン裁判が示したもの
第1章 コトパンジャン・ダムと被害の実態
1 コトパンジャンはどんなところか・
2 コトパンジャン裁判の背景
3 コトパンジャン・ダムプロジェクト
4 住民移転の実相
5 ダム本体工事の開始
6 ダム工事の進行
7 OECFの委託による住民調査
ア 土地収用及び住民移転の手続きについて
イ 社会的・経済的影響の調査
8 湛水の実行
第2章 裁判では何が問われたのか
1 コトパンジャン裁判の経緯
2 住民たちが提起した争点
3 明らかになった事実経緯と国・JBICらの責任
(1) 詳細設計について
(2) 融資審査について
(3) 第一次円借款契約の締結について
(4) 現地住民への説明等
(5) インドネシア現地からの告発
(6) 日本政府の対応
(7) 付された条件を無視したコンサルタント契約締結への同意
4 移転後の住民たちが置かれた状況
5 移転の問題点
6 裁判闘争の意義
第3章 さまざまな壁を乗り越えてきた裁判支援
1 相互の交流で達成された提訴
2 「村ぐるみ」の決起
3 招請の意義
4 画期的な住民の闘い
5 日本の国会議員の現地調査
6 被害者住民に寄り添った弁護団
7 次々と現れた通訳者
8 「何とかする、何とかなる」で乗り切った事務局
9 「意見対立」を乗り越えて
第4章 現地の困窮は引き継がれている
1 母系社会の崩壊がもたらしたもの
2 移転経過の概要
3 タンジュン・パウ村の移転前後
4 ムアラ・タクス村の移転前後
5 新世帯へのインタビュー
6 調査結果をどう見るか
(1) タンジュン・パウ村
(2) ムアラ・タクス村
7 新世帯の生活安定が課題
第5章 ODAの本質とは何か
1 ODAとは
2 ODAの本質
3 戦後賠償の実態
4 一九九二年ODA大綱
5 二〇〇三年ODA大綱
6 開発協力大綱とは
7 ODAと安全保障の結びつき
8 ODAの廃止へ
第6章 コトパンジャン裁判に関わって
コトパンジャン・ダム問題との関わり
ジュビリー関西ネットワークとコトパンジャン・ダム
赤道を越えた、これが?/十五年前の取材から
地域に根づいた支援を取り組んで
自然の権利について
〝情けは人の為ならず〟
インドネシア現地訪問、来日者のアテンド、キャンペーン行動を重ねて
問題は何も解決していない──原告の声
あとがき
資 料
1 コトパンジャン裁判関連年表
2 訴状(第1次)より
3 東京高裁判決要旨
3 東京高裁判決要旨
4 高裁判決への抗議声明(「支援する会」)
5 高裁判決への抗議声明(弁護団)
6 最高裁判決への抗議声明(「支援する会」)
7 最高裁判決への抗議声明(弁護団)

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

書評

ODAの名のもとに行われた自然破壊

2002年、東京地裁にインドネシア・コトパンジャン・ダム被害者住民の損害賠償請求裁判が提訴された。(…)独裁体制を敷いていたスハルト政権は、開発を推し進めていた。(…)1992年、ダム建設のために政府は軍隊を動員し、銃で脅して住民を移転させた。移住先には粗末な家屋と水の出ない井戸、荒れ地のような農地しかなく、ゴム園用の苗木は枯死した。補償金も満額はもらえなかった。
ODAという名のもとに行われた自然破壊と住民の生活破壊の責任を問う裁判の全記録。

◉『日刊ゲンダイ』2019年3月21日付より。

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