アイヌ民族の尊厳を守るために何が必要か
◉『出版ニュース』2015年10月中旬号
1977年、北海道大学でアイヌ民族を差別、冒涜する内容の講義に対し、学生たちは教授に自己批判を求めるという事態が発生した。後に教授は警官隊によって救出され、学生数名が逮捕された。本書は、このアイヌ民族差別講義事件がたまたま起きたのではなく、背後に北海道大学の根幹ともいえる植民学があることを示し、その系譜を辿る。自らも研究者である著者は特に内国植民論に着目し、これが現住民族を滅ぼし、自民族の経済的繁栄をめざすもので、具体的にはアイヌモシリを和人支配下の北海道に転換する政策であったことを確認し、アイヌ民族の尊厳を守るために何が必要かを考える。
- 植民学の記憶─アイヌ差別と学問の責任¥ 2,400 (税別)