世界の核を巡る動き 年鑑創刊

◉『東京新聞』2020年7月7 日付

 核兵器を巡る国際情勢について調べているNPO法人「ピースデポ」(横浜市)が核軍縮の動きや核保有国の政策などをまとめた年鑑「ピース・アルマナック」(緑風出版)を創刊した。昨年まで発行していた年鑑を一新し、解説を充実させて専門的な知識がない読者にも親しみやすくした。
 ピースデポは 1998 年の設立以来、毎年「イアブック」として年鑑を発行。地球上の核弾頭の数のデータや、核政策に関する主な出来事を資料と統計で紹介してきた。
 「ピース・アルマナック」の創刊号では、2019 年までの国連など国際機関における核軍縮の動向や、米中ロなどの核政策、日本国内の自治体や市民団体の主な活動などを計8章で紹介。各章の冒頭で、中村桂子・長崎大核兵器廃絶研究センター准教授らによる解説を載せ、各テーマの背景や展望が把握できるようにした。
 新たな内容として核兵器だけではなく、人工知能(AI)を使った通常兵器の問題も取り上げた。また、日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書を採択した地方議会のリストなど、ピースデポが独自に調査した資料もある。
 ピースデポ特別顧問の梅林宏道さんは「平和や核軍縮に関心を持つ人の座右の書にしてもらいたい」と話す。 (木谷孝洋)