トリチウムの危険性を探る

¥ 2,200 (税別)

書籍内容

アルジュン・マクジャニ[著]、天野 光、崎山比早子、高垣洋太郎[訳]
四六判並製/176頁/2200円+税
ISBNN978-4-8461-2410-6 C0042

トリチウムについては、これまで「あまり危険な放射性核種ではない」、ということが、まことしやかに国や電力、アカデミズムの学会や学者などからも言われ続けてきた。国際社会においても同様で、排水などに関する国際的な基準値も非常に緩い。本当にそうなのだろうか、危険性は低いのだろうか、という素朴な疑問が、本書翻訳の動機のひとつである。
本書ではトリチウムの「危険性」について詳述し、汚染水の海洋投棄がいかにトリチウムの危険性を無視したものかを明らかにしている。またトリチウムを始め放射性核種に関してこれまで、ほとんど注目されることのなかった胎盤を通じて胎児に移行するという危険性なども指摘している。(2024.10)

■内容構成

本書で引用されている報告書の発表団体リスト
序文

第1章 今なぜトリチウムなのか?

第2章 トリチウムの物理的、放射化学的な特 徴
a 物理的な特徴
b 原子炉以外のトリチウム源
c 原子炉におけるトリチウムの生成
d トリチウムの2次的な発生源

第3章 環境へのトリチウム放出と環境中トリ チウム濃度
a 原子力発電所からの大気放出と降雨降雪中のトリチウム汚染
b 水域への排出と地表水及び飲料水中の濃度
c 土壌中のトリチウム
d トリチウム放出のモニタリング

第4章 トリチウムの移行経路と体内における 残留時間について
a 移行経路
b 滞留時間
c 有機結合型トリチウム(OBT)

第5章 内部被ばくの危険性
a 人体を袋に入れた水とするモデル
b 生物学的効果比(RBE)
c ミトコンドリアに対する影響
d トリチウムの危険性と生物影響

第6章 胎芽(胚)と胎児への催奇形性影響
a 放射性核種の胎芽および胎児への移行
b 催奇形性影響の既成概念
c 既成概念に対するある側面からの再検討
d 多世代への影響

第7章 飲料水の摂取基準

第8章 まとめと考察

参考文献
日本語版へのあとがき
翻訳者あとがきⅠ
生態系を含めたトリチウム生物影響研究を(天野 光)
翻訳者あとがきⅡ
事実を知って身を守る(崎山比早子)
翻訳者あとがきⅢ
放射能汚染は、いつも後の祭り(高垣洋太郎)

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

著者紹介

著者紹介
アルジュン・マクジャニ Arjun Makhijani
米国カリフォルニア大学バークレイ校で学位取得(工学博士、核融合分野)。
40年以上にわたり、核兵器製造や核実験、原子力発電、放射性廃棄物のインパクトについて著述。
科学の民主化と、より安全で健康的な環境を促進するために、正確な科学的情報を一般の人々に提供しているエネルギー環境研究所の所長。
太平洋諸島フォーラムの専門家パネルの構成員。

訳者紹介
天野 光(あまの ひかる)
工学博士、日本原子力研究所で、長年にわたりトリチウムなどの環境放射能の測定や挙動解析に従事、1986年から1987年に米国オークリッジ国立研究所環境科学部で客員研究員として、廃棄物処分場周辺環境でのトリチウムの挙動解析に従事。現在は、いわき放射能市民測定室たらちねベータラボアドバイザー、いばらき環境放射線モニタリングプロジェクト、東海第二原発周辺科学者・技術者の会に所属。

崎山比早子(さきやま ひさこ)
医学博士、千葉大学医学部医学研究科で微生物学を学び、マサチューセツ工科大学生物学部で研究員としてがん細胞生物学の研究に3年半従事。帰国後放射線医学総合研究所で放射線発がん、がん細胞生物学、主にがん細胞の転移のメカニズムを研究。1999年から故高木仁三郎氏が設立した市民科学者を育成する高木学校のメンバー、国会福島第一原子力発電所事故調査委員会委員、3・11甲状腺がん子ども基金代表理事。

高垣洋太郎(たかがき ようたろう)
農学博士、東大応用微生物研究所、阪大タンパク質研究所、国立遺伝学研究所で生化学と遺伝学を学んだ後、マサチューセッツ工科大学で13年間、組換えDNA技術の開発と分子免疫学を研究。帰国後、三菱化学生命科学研究所、北里大学医学部、東京女子医科大学で、分子遺伝学、免疫学とミトコンドリアの研究に従事。

 

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