新東京タワー─地デジとボクらと、ドキドキ電磁波

¥ 2,000 (税別)

書籍内容

網代太郎[著]
四六判並製/272頁/2000円+税
ISBN978-4-8461-0711-6 C0036

東京・墨田区の「押上・業平橋地区」に新東京タワーが建設されようとしている。高さ610メートル、「世界一」といわれる新タワーは、アナログ放送が終了するとされる2011年7月以後の地上デジタル放送のため、というのが建設の理由だ。だが、地デジはすでに東京タワーから発信されているし、タワーからの電磁波が健康に及ぼす影響が懸念される。
本書は、建設予定地近くに住むジャーナリストが、新東京タワーの問題点を総ざらえし、本当に必要か、安全か、そして地域の活性化に役立つのかを総点検し、地上デジタル化はどこが問題かを明らかにする。(2007.8)

■目次
はじめに

第1部 新東京タワーとは
第1章 新東京タワーの概要
地上デジタル放送の電波塔/事業主体は東武鉄道の子会社
東京都墨田区「業平橋・押上地区」に建設/新タワーのデザインと設備
新タワー周辺の開発
第2章 新東京タワーの経緯
地デジ開始と新タワー構想/東京タワーを使用することに
テレビ各社が「秋葉原タワー」を希望/新タワーで電子機器に電波障害の恐れ
テレビ各社が都へ要望書/地デジ開始と誘致合戦再開
第一候補に墨田区、第二候補さいたま市/墨田区に付けられた条件
現タワーも含めて検討/航空法による規制の見直し
一年かかって「最終候補地」に/なぜ墨田区が選ばれた?
新タワーへ動き出した墨田区と東武/テレビ各社とさらに交渉
拙速な建設地の決定/「タワー賛成」でなければ区民にあらず?

第2部 新東京タワーの電波は大丈夫か?
第1章 電磁波による健康影響の研究報告
電磁波とは/電場と磁場/電磁波の種類/刺激作用、熱作用、非熱作用
基準値は熱作用のみを考慮/「危険」「安全」どちらが本当?
WHOの「国際電磁界プロジェクト」/極低周波による影響―小児白血病
極低周波による影響―成人脳腫瘍、ALS、流産/高周波による影響の報告例
細胞への影響
第2章 電磁波過敏症
電磁波に苦しむ人々/電磁波過敏症の症例/WHO元事務局長は電磁波過敏症
WHOも電磁波過敏症を認識/東京タワーの地デジ電波で過敏症に
第3章 電磁波問題への対応
各国の電磁波対策/送電線や携帯電話への対策/日本は無策
第4章 放送タワーからの電磁波
オーストラリアでの研究/英国での研究/イタリアで「放送タワー有罪」
北京では放送タワーを移動へ/米国の新タワー反対運動
名古屋の新タワー反対運動/瀬戸市の新タワー反対運動
北向きのヒマワリ/東京タワーからの電波
第5章 電磁波安全論
経済産業省/電力会社/総務省/総務省「委員会」メンバーの研究者
因果関係の証明は疫学が決め手/葬られかけた疫学調査
WHOの “威光” を利用/携帯基地局についてWHOの見解
WHOへの批判/WHOと電磁波過敏症/化学物質過敏症も「気のせい」だったが
スポンサーによって研究結果に大きな差/総務省「委員会」の報告書要旨
総務省「委員会」の公平性に疑問/国民の不安を解消?
第6章 新タワーの電磁波をどう考えるか
新東京タワーからの電磁波の強さは/人口密集地に建てるタワー
新タワーからの電波は地デジだけではない? /アナログテレビ放送の「跡地利用」
「ユビキタスネット社会」/ユビキタスネット社会の中の地デジ
デジタル変調のほうが影響大?/電波の変調/UHFは人体が吸収しやすい
予防原則の考え方を/幅広い関係者の関与/電磁波とうまくつきあう
他人の健康にも配慮を

第3部 新東京タワーで地域はどうなる?
第1章 経済的リスク
新タワーで「地域活性化」/大勢の観光客が来る?/地元商店などに打撃
区は建設費を出さないというが/周辺整備には出費
新タワーの経営が苦しくなったら/テレビ各社は責任なし
第2章 新タワーによる環境悪化
景観への影響・圧迫感/住民に景観利益/眺望権/耐風性・風害/電波障害
新タワーの環境アセスメント</環境アセスメントの限界
第3章 新タワーと災害
大地震に対応可能というが/新タワーが防災拠点?

第4部 新東京タワーは不要
東京タワーから地デジ送信中/受信障害を新タワーで解決?
新タワーとエリアカバーは無関係/テレビ各社による説明
新タワーはワンセグのため/関東以外では
国も「不可欠ではない」。放送各社にも不要論/タワー&電波でなくても

第5部 地上デジタル化の問題点
第1章 視聴者不在の地上デジタル化
テレビデジタル化の経緯/視聴者だけが蚊帳の外
第2章 地上デジタル化のメリットは本当か?
「ゴースト解消」/「高画質・高音質」/「マルチ編成」/「データ放送」
「番組表と録画予約」/「双方向性」/「高齢者、障害者へのサービスの充実」
「ワンセグ」
第3章 地上デジタル化の問題点
テレビなどの購入を強いられる/地方へのしわ寄せ/集合住宅の共聴施設
地方テレビ局の質の低下/「アナアナ変換」に巨費/コピーワンス
第4章 海外の地上デジタル化
日本とは違う海外の地デジ/海外の地上デジタル化も順調ではない
各国では視聴者への公的支援を実施
第5章 なぜ地上デジタル化?
総務省などによる説明/新たな通信放送産業のため/電波が足りない?
政官財の利権のため?/NHKの受信料確保のため?
マスメディア集中排除原則の緩和/規制緩和と業界再編の果ては
放送の寡占化が招くもの/二〇一一年のアナログテレビ放送終了は困難

最終部 新東京タワーをどうするか
なくても良いものによるデメリット/新タワー、電磁波、地デジの共通点
市民不在の仕組みを「あるべき姿」へ/スケジュールの見直し
幅広い関係者の参加/環境アセスメントと電磁波や健康状況の監視

参照文献
関連年表

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

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