書籍内容
大久保貞利[編著]
四六判並製/224頁/2000円+税
ISBN978-4-8461-1015-4 C0054
目に見えず臭いもしない電磁波が、国の甘い規制で生活空間に充満し、花粉症のように許容量を超えた人から発症する、電磁波過敏症と呼ばれる症状が急増している。携帯電話やオール電化でガンや脳腫瘍を含めさまざまな健康被害も出ている。こうした電磁波の危険性が明らかになるにつれて、全国で電磁波の規制を求める市民の声が高まっている。
本書は、基地局(携帯電話中継基地局、アンテナ)、携帯電話、変電所、電磁波過敏症、IH調理器、リニアモーターカー、無線LAN、等々の問題を、最新のデータに基づき、詳しくかつ具体的に紹介し、特に基地局問題を徹底的に明らかにする。また、電磁波問題における市民運動のノウハウ、必勝法も解説する。(2010.11)
■目次
はじめに
第Ⅰ章 基地局問題とは何か
■日本で起こっている事例
1 高校の校舎屋上に基地局を設置しようとした~都立豊多摩高校
屋上に約三トンの基地局設置計画/なんでまた学校に?
2 日本で初の「実際の健康被害を争う裁判」~宮崎県延岡市大貫町
のどかな一三万人都市に降ってわいた事件/不誠実なKDDIの対応に怒り提訴へ
3 医師一家全員が健康被害に遭う~沖縄県那覇市
まさか屋上の基地局が原因とは思ってもいなかった
マンションに戻り、基地局撤去に取り組んだ/撤去したら症例が八分の一以下に減った
■海外で起こっている事例
1 欧州では三人のうち二人が基地局に不安感~EU公式調査が示す
2 「基地局撤去」命じる画期的判決~フランス・ベルサイユ高裁判決
ベルサイユ高等裁判所が原告(住民)側を支持
3 チリでも基地局撤去の高裁判決出る~ランカグア高裁判決
■基地局の影響について
1 オランダTNOの基地局電磁波影響調査
2 基地局から三〇〇m以内と以遠との比較
■基地局問題への取り組みノウハウ
1 あなたの近くに基地局が建つ、さあどうする?
携帯電話会社への「要望書」例/行政への「要望書」例
2 基地局はここが問題だ
1 健康問題─微弱だが、二四時間マイクロ波を浴び続けることが問題
2 景観問題─いきなりニョキっと基地局が建って気持がいいはずがない
3 資産価値下落問題─将来的に周辺の地価、資産価値が下がるおそれ
4 アンテナ倒壊の危険性─すでに倒壊事故は起こっている
5 落雷─アンテナが雷を呼び込む
6 極低周波問題─電源装置からは極低周波が出る
7 リスクコミュニケーションの欠如─周辺住民への事前説明がない
3 すでに建っている基地局の場合~兵庫県川西市
のどかな一戸建て団地を襲った一本の基地局/ついに阪急バス(地主)が白旗あげる
4 住民運動に役立つ情報
1 疫学調査(研究)は動物研究(実験)や細胞研究より優先する
2 基地局から発信される電磁波データは「一週間連続測定値」を出さすべきだ
3 「ここは電波事情が悪い」というのならば「基地局の所在、出力等」すべて公表すべきだ
4 高周波基準の国際比較/5 福岡県篠栗町の基地局規制条例を全国に広めよう
第Ⅱ章 携帯電話を巡る問題について
1 精子への影響
2 レフレックス研究~EU(欧州連合)の公式研究
携帯電話の電磁波はDNAを切断する
3 保険会社も携帯電話による病気は保険対象外に~オーストリアのAUVAレポート
AUVAレポートは非熱作用を認めた
4 WHO主導のインターフォン研究~携帯電話と脳腫瘍の関係をみる国際疫学調査
インターフォン研究とは/一〇年以上携帯電話を使うと脳腫瘍リスク増大
最終報告(第一弾)の問題点/リスクを小さく見せるカラクリ
5 「脳腫瘍の原因は携帯電話」の判決出る~イタリア・ブレッシア労働高裁判決─
6 携帯電話使用に警告を発する三つの情報
1 ドイツの医師たちによる電磁波危機アピール「フライブルグ宣言」
2 ロシア非電離放射線防護委員会委員長声明(二〇〇八年四月)
3 ピッツバーグ大学がん研究所の「携帯電話使用のための一〇の予防策」
第Ⅲ章 変電所はなぜ危ないのか─極低周波発生源の問題
1 寝耳に水、駅構内に変電所ができる~田園都市線すずかけ台駅問題
「駅構内に変電所を建てる」という張り紙がきっかけ
東急はその一年八カ月前から計画していた/東急を包囲する陣営の構築
企業の社会的責任を問う闘い/東急はコンプライアンスを守っていない企業だ
創意と工夫こらした住民の取り組みが東急を追い詰めた/ついに変電所建設計画白紙撤回に
2 巨大無人コンピュータビルが住宅街に建つ~文京区千駄木
地上八階のビルなのに、高さはなんと四九メートルもある
「電磁波は出ない」というが徹頭徹尾秘密主義で資料を出さないNTT
住民が不安に思うこと/住民の反対の声を無視し、工事着工する
3 変電所の問題点~変電所の周辺は全体的に磁場が高い
変電所の仕組み/どんな電磁波が変電所から出るのか
変電所のある地域は、地域全体の電磁波量が高くなる傾向がある
4 WHOの極低周波環境保健基準~日本でどのように受けとめるべきか
環境保健基準を市民はどのように活かすべきか
「環境保健基準(EHC)」と「ファクトシート№三二二」について
5 EUが評価したバイオイニシアティブレポート~思い切った提言をした独立専門家たちのレポート
イントロダクション/現行基準の問題点/新曝露基準の定義/結論
第Ⅳ章 電磁波過敏症って何だ
1 セガベックさん(有名な過敏症患者)のその後
2 世界中で「電磁波過敏症」認知が進んでいる
3 WHOの電磁波過敏症に対する見解~「症状は確かに存在する」
4 日本初の「医・歯一体化」病院~佐賀市の矢山クリニック
ホロトロピックセンターという聞き慣れぬ病院/矢山クリニックの基本方針
五つある病因の一つとして電磁波がある/バイオレゾナンス(生体共鳴)について
歯科と医科の一体/食事の重要さ
5 そよ風クリニック~宮田幹夫医師が開業したクリニック
6 歯科医からみた電磁波過敏症~藤井佳朗新神戸歯科院長
咬み合わせ治療が最初/ある時から電磁波の悪影響に気づき始めた
口の中の歯科金属がアンテナとして電磁波を集める/“テロリスト”診断法
インプラントは要注意
7 「禁ケータイ」ゾーンをつくるべき~第二のタバコである電磁波
1 「禁ケータイ車両」の導入/2 公共の場でも「携帯電話使用禁止の論議」を始めよう
3 病院、学校(小、中、高)等での携帯電話使用禁止
4 電磁波過敏症対策として、基地局設置全面禁止ゾーンの設定
第Ⅴ章 リニアモーターカー、オール電化(IH調理器)、無線LAN、スカパーアンテナ
1 リニアモーターカー~電磁波だけではない、問題だらけ
森田千葉県知事のとんでもない推進策/総事業費約三兆円の金食い虫に疑問の声
リニアの最大の問題は電磁波公害だ/他にも騒音、事故対策、等々問題は山積
経済的にペイできるのか/では本命リニア中央新幹線はどうか
リニア中央新幹線の問題点はなにか/本当にリニア新幹線って必要なの?
上海リニア新線、住民の猛反発で暗礁に乗り上げる
2 オール電化(IH調理器)の問題点
ある主婦からの手紙/オール電化住宅とIH調理器/原発の夜間電力と関係するエコキュート
本当にフェアにオール電化は進められているのか
3 無線LAN~イギリスでは学校への導入を巡って論争になっている
ザルツブルグでは学校・保育園への導入禁止/英国の小学校での論争
4 スカパー巨大アンテナ問題~江東区東陽町のマンション街につくる
おわりに~電磁波に予防原則を
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