書籍内容
ベラ&ロジェ・ベルベオーク[著]/桜井醇児[訳]
四六判上製/224頁/2400円+税
ISBN978-4-8461-1106-9 C0036
1986年のチェルノブイリ原発事故が忘れ去られようとしている。だが、現地では30キロ圏の立ち入り禁止区域住民以外に100万人の住民避難が必要とされたにもかかわらず、さまざまな理由付けによって一向に避難が行われなかった。避難対象汚染地域は、300キロも離れた地域にまで及んでいた。その結果、子どもたちを中心に甲状腺ガン、白血病が激増し、先天性異常が増大、死亡者は増え続けている。そして将来これら被爆者のうち少なくとも40万人以上がガンなどで死亡するといわれている。しかも政府の無責任と国際原子力機関(IAEA)の被害隠しによって、深刻な事態が増幅されているのである。
本書は、フランスの反核・反原発の2 人の物理学者が、事故から1993年までの恐るべき事態の進行を克明に分析した告発の書である。 そして2011年3月11日、日本でチェルノブイリの惨事を上回る恐るべき事態が始まった……。(2011.4、旧版1994.12)
■目次
日本語版への序文
第一章 原子力社会の発端
広島からチェルノブイリまで
専門家、メディア、チェルノブイリ
映像の舞台に上がったチェルノブイリ
チェルノブイリの影響――放射線による罹病率の増加
放射線恐怖症――事故後の状況を経済管理するための方策
国際的な企み
ソ連における災害管理
チェルノブイリはよそで起こったことだ
チェルノブイリ原子力発電所は典型的なソ連型であった
ソビエトの官僚責任者たち
ビデオゲームによる将来の矮小化
第二章 チェルノブイリ原子力発電所大災害の記録
一九八六年以前――フランス専門家の見たソ連の原子力産業
一九八六年四月――大事故
一九八六年八月のウィーン会議――最初の事故評価報告書
一九八七年から一九八八年――初期の事故評価のやり直し
一九八八年レガソフの自殺
一九八九年――チェルノブイリから二〇〇キロ以上も離れた汚染地域
新たな避難計画
汚染に関する最近のデータ
独立以前の諸共和国の住民保護対策案
許容線量基準の策定に向けて
恐るべき正常化案
石棺
第三章 チェルノブイリ災害評価報告の試み
一九九一年五月――IAEAにとってチェルノブイリ事故はすでに決裁済みである
癌死亡者数の見積もり
原子力エネルギーか? 確立死か?
放射線被曝によって誘発された癌を区別する方法はない
第四章 チェルノブイリ一九九三年
石棺にも掛け小屋を
黒海も汚染を免れないであろう
チェルノブイリ原子力発電所の閉鎖
フランス専門家が汚染地域除洗のための草を発見する
「連合」と未来の核事故管理
清掃労働者のストレスと健康状態
汚染地域
最近の避難
健康問題、放射線恐怖症の破綻
警告――ベラルーシの子供達にみられる甲状腺癌の症例増加
変わらざる者の再来
結論
証言
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