世界の環境問題─第７巻・中国

書籍内容

川名英之［著］
四六判上製／388頁／3500円＋税
ISBN978-4-8461-1110-6　C0336

世界で３番目に広い国土と世界１の人口をもつ中国。西欧列強による支配下から人民中国の成立、改革開放に至る今日の中国までの歴史を辿りながら、中国の環境問題の歴史と現状を総括する第７巻！
森林伐採・砂漠化と砂漠緑化、自然破壊と稀少動物の減少、黄土高原と砂漠化・黄砂の頻発、日本の毒ガス・細菌兵器と環境汚染、一人っ子政策と環境問題、灌漑用水・飲料水不足と黄河断流、大気汚染や酸性雨の激化、水質汚染と「ガン村」の多発─など、毛沢東の大躍進政策、文化大革命から鄧小平の改革・開放時代を経た現代まで、中国における環境問題と環境政策を追う。（2011.9）

■内容構成
第１章　中国の国土と損われ行く自然
国土と自然環境
希少動物と、その生息地
森林減少・洪水から大規模植林へ
激化傾向にある土壌の浸食・流出
黄砂発生頻度の増加と砂漠化
【コラム】中国の砂漠緑化に半生を捧げた日本人研究者、遠山正瑛

第２章　深刻化する灌漑・飲料水不足
黄河の断流、最長六〇〇キロ
灌漑用水・飲料水不足の深刻化
地下水汲上げと地盤沈下
降水量減少は地球温暖化の影響か
北部の水不足解決狙い超大規模工事
生態環境の保全計画を実施
【コラム】二〇二五年に世界で一八億人が水不足に

第３章　新中国誕生までの略史と環境問題
中国三千年の歴史の歩み
日本の中国侵略と抗日戦争
時代とともに減り続けた中国の森林
黄土高原の砂漠化
日本の毒ガス・細菌兵器と環境汚染
【コラム】人体実験の戦犯逃れ狙った陸軍の秘密対米協力

第４章　毛沢東の政治と環境問題
中華人民共和国の成立
「大躍進政策」と、その失敗
文化大革命
周恩来外交の展開
周、毛の死去と鄧小平時代の開幕
毛沢東時代の環境政策・環境問題
【コラム】中国・環境行政の生え抜き曲格平
【コラム】贈呈パンダの日中親善

第５章　一人っ子政策と環境問題
人口抑制論者、馬寅初を追放
一人っ子政策の実施　環境にプラスした出生率の低下
【コラム】人口抑制を生涯、唱え続けた馬寅初

第６章　改革・開放時代の政治と環境問題
鄧小平の実権掌握と政治運営
天安門事件と、その処理
改革開放政策の本格化
鄧小平・江沢民時代の環境政策・環境問題
胡錦濤時代の環境問題・環境政策

第７章　大気汚染・酸性雨の激化
呼吸器疾患の多発と農作物被害
褐炭由来の汚染物質による健康被害
脱硫装置未使用が公害を激化
郷鎮企業が農村の公害発生源
自動車排出ガス汚染の新たな負荷
大気汚染物質の越境移動

第８章　水質汚染と「ガン村」の多発
中国の水質汚染と対策の歩み
湖沼の富栄養化と対策
水質汚染によって多発する「ガン村」
【コラム】被害者のため奮闘する環境法専門家、王燦発

終章　中国環境問題の総括
中国環境問題の特質
深刻化の一途たどった大気汚染
中国を脅かす水不足、水汚染、砂漠化
地球環境問題への中国の対応
中国の環境政策に求められるもの

出典注記
参考文献