書籍内容
加藤やすこ[著]
四六判並製/208頁/1700円+税
ISBN978-4-8461-1115-1 C0036
携帯電話や無線通信技術の発展と普及によって、環境中を電磁波が飛び交い、電磁波過敏症の患者が世界的に急増しています。ところが、その認知度はまだまだ低く、マスコミも取り上げようとはしません。
電磁波過敏症は環境因子が原因なので、個人でできることと、社会全体で取り組まねばいけないことがあります。次世代の子どもを守り、よりよい環境と社会システムを作るための働きかけが必要です。
本書は、電磁波過敏症の当事者からの体験談も含め、どうすれば治すことができるかを具体的に提案しています。(2011.12)
■内容構成
第一章 過敏症ってどんな病気?
1 引き金は生活環境の中に
どのくらいの人が発症している?/海外では過敏症を障害として認定/国によって異なる被曝規則
2 過敏症に関する海外の動向
因果関係を認めないWHOの見解に批判/規制をめざす欧州/EU諸国の対応
屋内環境の改善をめざすアメリカ/サンフランシスコ市の「携帯電話知る権利条例」
フランスでは法律でSAR値公開を義務づけ/電磁波過敏症を知らせるために
3 過敏症専門医の見解
有機リンと電磁波の影響/子どもへの影響は?/過敏症患者の治療
第二章 電磁波による子どもへの影響
1 電磁波による胎児への影響
不妊症・流産の増加/考えられるメカニズム/携帯電話電磁波と精子の損傷
胎児を守る被曝基準を
2 電磁波と化学物質─発達障害への影響
増加する発達障害/有機リンと発達障害/電磁波と発達障害/研究者も子どもへの影響を懸念
電磁波と化学物質の複合影響
3 脳神経科学から見た発達障害
脳の発達を妨げる化学物質/脳の働きと電磁波/証明することの難しさ
4 原発事故の影響と基準値の欺瞞
電磁波過敏症への影響/CT検査でガンのリスクが増加/チェルノブイリ事故の影響
ドイツの原発周辺で白血病増加/状況次第で変わる「限度値」
第三章 八人の過敏症体験
1 発症して患者会を設立……著者・加藤やすこの経験
処方薬で化学物質過敏症に/電磁波過敏症を併発/うつと不眠、食欲不信に
転居せずに回復をめざす/過敏症の現状を伝えるために
2 電磁波過敏症の一家の闘い……塩田さん家族の経験
長野から東京まで二二〇キロをピースウォーク/ドコモと行政の不誠実な対応
電磁波を浴びながらウォークを敢行/三枝子さんの思い
3 働きながら過敏症から回復……佐藤祐子さんの経験
ホルマリン・化学実験の影響/内装工事のトラブル/働きながらの治療/電磁波過敏症の発症
学校の環境も改善/前向きな気持ちが回復のカギ
4 発達障害と過敏症が改善……小山ゆみさんの経験
シックハウスから過敏症に/ADHDを発症/発達障害と化学物質対策/環境によって症状が悪化
学校側はモンスターペアレント扱い/中学校へ進学し将来の夢も
5 化学物質の少ない環境で子どもを保育……木村洋子さんの経験
複合汚染で化学物質過敏症に/サウナとジョギングで体質改善/化学物質の少ない環境で保育を
6 過敏症を克服し運送会社で働く……北島宏子さんの経験
子どもの頃から病気がち/大学で電磁波過敏症に?/過敏症を改善するために
自分で自分を傷つけない/一〇年遅れで社会人に
7 化学物質/電磁波過敏症と難病を併発……鹿島豊子さんの経験
電磁波過敏症の発症原因はMRI?/医師の無理解と暴言/RSDも発症し左半身麻痺に
化学物質/電磁波過敏症でも手術/麻痺して気づいたこと/ヒーリングハープとの出会い
やりたいことができる幸せ
8 歯科治療で過敏症の症状が悪化…太田智子さんの経験
バイク事故から過敏症に/マンションの塗装・工事で車中生活に/過敏症患者を受け入れる歯科医院
電磁波被曝にも配慮/治療後に肩や首の凝りが解消
第四章 症状を改善するために
1 自分で出来る対策
環境因子を避ける/電磁波を測定し記録をつける/症状と気持ちを日記に残す
精神的なケアの重要性/瞑想と深呼吸/代替医療
2 交通機関の携帯電話電磁波
六五%が体調不良の経験あり/鉄道会社各社の反応/形骸化したルールをどうするのか
電源オフをお願いするために
3 携帯電話基地局の規制が必要
これまでの撤去・中止事例/自治体で条例制定の動き/鎌倉市条例ができた背景
企業保護のため位置情報を非公開/「公開することが妥当」/健康被害を体験した議員たち
宇都宮市議会で電磁波対策を求める質問と陳情/増え続ける電磁波
あとがき
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