書籍内容
アヴィ・シュライム[著]神尾賢二[訳]
四六判上製/584頁/3500円+税
ISBN978-4-8461-1311-7 C0031
パレスチナに平和がおとずれるのは、いつの日か。戦争、武力衝突、テロの報復と連鎖。守られぬ和平協定。イスラエルとパレスチナの対立は、ユダヤ人とアラブ人の民族の宿命のようだ。
第一次中東紛争にはじまり、今日まで続く戦火の元凶は、アラブの非妥協性であると、シオニストは主張してきた。しかしこの考え方は今、イスラエル史を再検証するユダヤ人歴史学者グループによって批判的に検証されている。著者、アヴィ・シュライムもその一人である。
著者はイラク生まれのユダヤ人で、オックスフォード大学で教鞭をとる歴史学者である。本書は、公開されたイスラエル政府の機密資料や、故ヨルダン王フセイン、シモン・ペレス現大統領など多数の重要人物とのインタビューを駆使して、公平な歴史的評価を下し、歴史の真実を真摯に追求する。内外に国家主義史観が復活しつつある現在、必読の中東紛争史である。(2013.06)
■内容構成
日本語版に寄せて/初版まえがき/年表
プロローグ シオニズムの成立
シオニズムとアラブ問題/ハイム・ヴァイツマンと英国コネクション
ゼエヴ・ジャボチンスキーと修正主義シオニズム・
ダヴィド・ベン=グリオンとプラグマティズムの勝利/建国闘争
第1章 イスラエルの出現 一九四七年~一九四九年
非公式の戦争/独立戦争/休戦協定/実現困難な和平
第2章 強化の時代 一九四九年~一九五三年
現状(ステータス・クオ)/ヨルダンとの和平会談/対シリア紛争
エジプト革命/潜入と報復
第3章 和解の試み 一九五三年~一九五五年
人物と政策/実力行動派のシャレット攻撃/不測の事態/ナセルとの対話
ガザ襲撃/連携/ある穏健主義者の試練と苦難
第4章 スエズへの道 一九五五年~一九五七年
モシェ・ダヤンは戦争がしたい/キネレット作戦/アンダーソン・ミッション
シャレットの失脚/フレンチ・コネクション/対エジプト連合作戦計画
シナイ作戦
第5章 周辺国との同盟 一九五七年~一九六三年
再評価と再編成/周辺国との同盟/五八年危機/ベン=グリオンと爆弾
ベン=グリオン時代の終焉
第6章 哀れな小男のサムソン 一九六三年~一九六九年
人物と政策/シリア・シンドローム/戦争への道/六日戦争/戦後外交
第7章 現状維持主義 一九六九年~一九七四年
非妥協ゴルダ/消耗戦争/ヤーリング博士への回答/暫定合意/消耗外交
ヨム・キプール戦争
第8章 兵力引き離し 一九七四年~一九七七年
謎なきスフィンクス/ヨルダンとパレスチナ人/シナイ合意Ⅱ
シリアとレバノン/膠着状態、そして敗北・
原注/索引(五十音順)/インタビュー・リスト
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