書籍内容
リニア・市民ネット[編著]
四六判上製/304頁/2400円+税
ISBN978-4-8461-1315-5 C0036
実験線を走らせるだけで宙に浮いていたリニア計画が、JR東海によるリニア中央新幹線計画の浮上で現実味を帯びてきた。しかし、建設費だけでも5兆4000億円を超え、リニア特有の電磁波の健康影響問題や、中央構造線のトンネル貫通の危険性、地震の時の安全対策など問題が山積している。また電力も膨大に必要になり、自然破壊も問題だ。時間短縮も都心間では在来新幹線と比べてさほどではなく、採算性は極めて怪しいという。
本書は、こうした様々な問題点を、専門家が詳しく分析し、リニア中央新幹線の必要性を考える素材を提供する。(2013.07)
■内容構成
はじめに──知られざるリニアの実体── 川村晃生
リニアの経済性
リニアと環境破壊
電磁波、地震、事故
経済効果はあるのか
第1章 リニア新幹線に未来はあるか? 梅原淳
東海道新幹線のバイパスとしてのリニア中央新幹線
リニアモーターカーの仕組み
難航必至、未知の大深度トンネル工事
JR東海は重い財政負担に耐えられない
第2章 南海トラフ巨大地震とリニア中央新幹線 松島信幸
予想される南海トラフ巨大地震
南海トラフ地震をどうみるか
リニア新幹線と浜岡原発
地震による赤石山地の山体崩壊/南海トラフは駿河トラフから富士川へ
地質境界の糸―静線は大丈夫か
トンネルは遺れないか/トンネル屋の情熱/トンネルが抜ける
トンネルが潰れた
赤石山地の劇的な成立
塩見岳―悪沢岳の間に注視せよ/崩壊が最も激しい主稜線/蛇紋
岩帯に穴を開けてはいけない/大鹿村には石器・土器が見当たらない
中央構造線をどう見ているのか/大鹿村は変動地域だ
南アルプストンネルは泥質メランジュに翻弄される
第3章 リニア中央新幹線の電磁波問題 荻野晃也
1 電磁波とは
はじめに/電磁波の種類/地球環境問題としての電磁波
科学技術の進展と電磁波問題
2 電磁波に関する単位
3 自然界・電磁波の波形・周波数など
4 身の回りで使用する電磁波・発生源
5 リニアの電磁波
はじめに/リニアの構造/リニア電磁波の波形と周波数
6 リニアの電磁波強度
静磁界の場合/極低周波の場合/中間周波数の場合/高周波の場合
7 リニア電磁波の健康影響
リニア電磁波の特徴/JR東海などの影響研究結果
健康影響について
8 電磁波の脳への影響
9 極低周波・電磁波の危険性
10 中間周波数・電磁波の危険性
11 高周波・電磁波の危険性
12 電磁波問題の今後
13 地球環境問題としての電磁波と予防原則・思想
主な参考文献
第4章 リニア中央新幹線の採算性 橋山禮治郎
はじめに
計画目的は妥当か
計画目的と評価/なぜ採算性が重要か
リニア新幹線の採算性を考える
収入/建設コスト/維持運営費/プロジェクト収支試算
採算性から見たリニア計画の問題点/採算性から見た総合評価
第5章 スピードの原罪──文明論としてのリニア── 川村晃生
はじめに
夏目漱石の苦悩
人間と時間
幸福って何?
文明の落し穴(一)
文明の落し穴(二)
第6章 リニアのジレンマ 懸樋哲夫
事故のリスク
リニア宮崎実験線炎上/暴走の原因は/フェイルセイフ
ドイツトランスラピッド事故
原発とリニアの深い関係
高圧線が結ぶ原発とリニア/リニア用高圧線建設の問題
国交省がリニアの電力浪費を検証せず/「新幹線の三倍」はほんとうか?
新幹線の二八倍・乗客一人当たりの場合/超伝導と常伝導・その電力の違いは
シールドの重さと電力のジレンマ
シールドの磁場遮蔽の効果は/隠された測定値
第7章 計画沿線の市民の声
実験線現地の山梨 山梨県甲府市 川村晃生
リニア計画が進む山梨/リニア完成後の山梨/リニア計画を懸念する県民
大鹿村リニア騒動記 長野県大鹿村 河本明代
釜沢・水平ボーリング調査/中央新幹線小委員会/村の対応
南アルプスにトンネルは要らない・
浮上 飯田市 片桐晴夫
リニア計画が浮上/伊那谷の美し柔肌切り刻むリニア恐ろし文明の華
東京・神奈川の市民運動 東京・神奈川 天野捷一
都市圏間のアクセスの利便性を向上させれば、地域は過疎化し寂れて行く
環境アセスメントは「環境合わすメント」
風は変わり、あらたな市民運動の広がりを実感
相模原、橋本にリニアの駅が? 相模原 浅賀きみ江
リニア計画を問う/「リニア新幹線を考える相模原連絡会」の結成と今後の活動
リニア新幹線建設と相模原市/これからの取り組み
夢のリニアは本当か! 中津川市の現実 中津川 原重雄・266
リニア中央新幹線を考える学習会開催とJR東海の動向
地域独自の問題/ウラン残土について/シデコブシ、ハナノキを守れ
最近の動向と今後について
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