書籍内容
特定非営利活動法人ピースデポ[編著]
A5判並製/356頁/2000円+税
ISBN978-4-8461-1418-3 C0036
2013年は、10年核不拡散条約(NPT)再検討会議の最終文書に核兵器の非人道性と国際人道法の遵守が初めて盛り込まれたことの効力が表面化した年であった。それは、核兵器を禁止する法的枠組みの検討を求める声へと展開した。しかし核抑止に固執する核兵器国の姿勢により、核ゼロの世界への道筋は未だ見えていない。
本書は、核軍縮問題に力点を置きながら、日本の平和と安全保障の動向を、市民や自治体の視点から整理し、解説することをめざす。
(2014.10)
■内容構成
発刊にあたって(刊行委員会代表・湯浅一郎)
●イアブック「核軍縮・平和2014」発刊によせて
(日本非核宣言自治体協議会会長 田上富久 長崎市長)
第1章 核軍縮:2013年の概観(2013年1月~12月)
延命する核抑止論、遠のく「核兵器のない世界」
─広範な国際世論の持続が重要(梅林宏道)
第2章 特別記事
1.「安保政策の大転換」にどう向き合うか(吉田 遼)
2.民主主義の主体と情報(梅林宏道)
3.非人道性から核兵器禁止の法的枠組みへ パトリシア・オブライエン
第3章 核軍縮・平和:2013年のキーワード
A.特集 核兵器:非人道性から禁止の法的枠組みへ
A1. オスロで初開催、「核兵器の人道的影響」国際会議
A2.「 核兵器の不使用」共同声明─4回目で日本もようやく賛同
A3. オーストラリア共同声明、「非人道性」アプローチを牽制
A4. 多国間核軍縮交渉の新しい展開、OEWG(国連公開作業部会)
A5. 第68回国連総会─淀む核軍縮の流れ
★データシート1:第68回国連総会決議投票結果
A6. 核軍縮に関するラテンアメリカ・カリブ諸国共同体宣言
A7. 北東アジア非核兵器地帯へ─国連軍縮諮問委員会が画期的勧告
A8. 国際赤十字・赤新月、核廃絶へ4か年行動計画
A9. 多様化するNGOの主張
─ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)、バーゼル平和事務所など
B.核軍縮・不拡散外交
B1. 失望の結果に終わるNPT(核不拡散条約)再検討会議第3回準備委
B2. 中東非WMD(大量破壊兵器)地帯会議─13年中も開催されず
★データシート2:世界に広がる非核の傘
B3. NPDI(不拡散・軍縮イニシャチブ)、参加国が2か国増加し12か国に
B4. 政権交替したイランの核問題、合意で危機回避
B5. 北朝鮮「衛星発射」に対し、安保理が制裁強化
B6. 北朝鮮、3度目の核実験─安保理は制裁決議
★データシート3:CTBT(包括的核実験禁止条約)の署名・批准状況
B7. 米DOD(国防総省)、北朝鮮軍事情勢で初の議会報告
B8. シリア、化学兵器廃棄に合意し、化学兵器禁止条約に加盟
B9. 武器貿易条約(ATT)、国連総会で採択─実効性には多くの課題
B10. イラク保健省のDU(劣化ウラン)報告書─懸念される影響の過小評価
C.各国の核・安保政策
C1. オバマ政権、13年中に2回の新型核実験を実施
★データシート4:米国のZマシン核実験及び未臨界核実験
C2. 米核兵器の維持管理予算、緊縮財政でも続く特別扱い
C3. オバマ大統領、ベルリンで演説─配備核弾頭の削減を提案
C4. オバマ政権、核兵器に関する初の大統領指針を策定
C5. 米ミサイル防衛計画に変化─西海岸などでGBI(地上配備迎撃体)を増強
★データシート5:日本のミサイル防衛関連施設・部隊
C6. 米、欧州配備核爆弾に公約違反の精密誘導機能
C7. ロシア、核戦力近代化を推進
C8. 中国軍近代化、際立つ海洋進出─日米の軍事的対抗も加速
★データシート6:地球上の核弾頭全データ
C9.「 非核スコットランド」なるか─独立住民投票へ向けた攻防
C10. 無人機攻撃に国際法規制を─国連特別報告者が中間報告
D.日本の核・安保政策
D1. 国連総会の「日本決議」─核兵器国に甘い主張が続く
D2. 安倍政権、初の「国家安全保障戦略」策定
D3. 武器輸出三原則にまた例外化措置
D4. 日米「2プラス2」、「防衛協力の指針」見直し協議進める
D5. 日米政府、嘉手納以南の6基地統合計画で合意
★データシート7:再編実施のための日米ロードマップ
★データシート8:アジア太平洋における米軍再編マップ
D6. 在沖海兵隊グアム移転─米国内議論の影響で遅延
D7. オスプレイ普天間に追加配備─日本も購入を決定
★データシート9:オスプレイの機体情報と運用計画
D8. 繰り返される米兵犯罪─求められる地位協定改定
★データシート10:国内の基地騒音訴訟一覧
★データシート11:思いやり予算の動向
D9. 横須賀の原子力空母の交代─15年に「R・レーガン」へ
★データシート12:横須賀母港米艦船の変遷
★データシート13:佐世保母港米艦船の変遷
★データシート14:原子力艦の寄港状況
★データシート15:民間港への米軍艦入港状況
★データシート16:北東アジア情勢を考えるための周辺地図
D10. 一転、核燃料サイクル推進へ
E.自治体とNGO
E1.北東アジア非核兵器地帯署名、首長543名分を国連事務総長へ提出
★データシート17:北東アジア非核兵器地帯を支持する自治体首長署名
E2. 非核協、「核の不使用声明」不賛同の政府を批判
E3. 平和市長会議が平和首長会議に名称変更
E4. PNND(核軍縮・不拡散議員連盟)、「列国議会同盟(IPU)」との関係を強化
E5. 第5回地球市民集会ナガサキ─「核兵器の非人道性」に焦点
E6. レクナ核弾頭追跡チーム、データとポスターを公表
E7.「 継承する会」、ヒバクシャ記憶遺産継承センター構想を発表
E8.「 ユース非核特使」、始まる
E9. 日弁連、「国防軍」の創設に反対決議
E10. 限定的地域核戦争で20億人が「核の飢饉」
★データシート18:米軍機・艦船による事故
★データシート19:米軍人による刑法犯検挙状況
★データシート20:自衛隊機・艦船の事故
F.核軍縮日誌(2013年1月1日~12月31日)
第4章 市民と自治体にできること
■市民と自治体にできる9つのこと
★データシート21:非核宣言自治体の現状
★データシート22:日本国内の「平和市長会議」加盟自治体
★データシート23:非核宣言自治体の活動と事業 228
◇用語の説明
◇略語集
◇資料
1.基礎資料
1─1 核不拡散条約(NPT) 第4条1、第6条
1─2 国連憲章第7章 第39~42条、第51条
1─3 国際司法裁判所(ICJ)勧告的意見(1996年7月8日)
1─4 95年NPT再検討会議「中東決議」(95年5月11日)
1─5 国連軍縮委員会による非核兵器地帯に関する報告書(99年4月30日)
1─6 2000年NPT再検討会議最終文書・(13+2)項目(00年5月19日)
1─7 2010年NPT再検討会議最終文書「 行動勧告」(10年5月28日)
1─8 キッシンジャーらの「核兵器のない世界」提言(07年1月4日)
1─9 潘基文国連事務総長の核軍縮5項目提案(08年10月24日)
1─10 オバマ米大統領・プラハ演説(09年4月5日)
1─11 米核態勢見直し(NPR)報告書(10年4月6日)
1─12 日本国憲法 前文、第9条(47年5月3日施行)
1─13 日米安全保障条約 第5条、第6条(60年6月23日発効)
1─14 日本の核基本政策(68年1月30日)
1─15 日朝平壌宣言(02年9月17日)
1─16 朝鮮半島の非核化に関する共同宣言(92年2月19日)
1─17 9.19「 6か国協議共同声明」(05年9月19日)
1─18 核兵器・核軍縮年表(1945年~2013年)
2.特集資料 核兵器:非人道性から禁止の法的枠組みへ
2─1 ノルウェー外相によるオスロ会議開会演説(13年3月4日)
2─2 核兵器の人道的影響に関する125か国共同声明(13年10月21日)
2─3 核兵器の人道的結果に関するオーストラリア等の共同声明(13年10月21日)
2─4 核軍縮に関する国連公開作業部会(OEWG)報告書(13年9月3日)
2─5 第68回国連総会・オーストリア等の決議(13年12月5日)
2─6 第68回国連総会・非同盟運動(NAM)決議(13年12月5日)
2─7 国連総会ハイレベル会合・モンゴル大統領演説(13年9月26日)
2─8 核軍縮に関するラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)宣言(13年8月20日)
2─9 国連軍縮諮問委員会の勧告(13年7月26日)
2─10 国際赤十字・赤新月2013年核廃絶決議・4か年行動計画(13年11月18日)
3.その他の資料
3─1 第68回国連総会・新アジェンダ連合決議(13年12月5日)
3─2 第68回国連総会・日本決議(13年12月5日)
3─3 2014年NPT第3回準備委員会・議長勧告(14年5月8日)
3─4 2014年NPT第3回準備委員会・新アジェンダ連合作業文書(14年4月2日)
3─5 中東会議に関するファシリテーター報告(13年4月29日)
3─6 イラン・「P5+1」共同行動計画(13年11月24日)
3─7 国連安保理・北朝鮮制裁決議2087(13年1月23日)
3─8 国連安保理・北朝鮮制裁決議2094(13年3月7日)
3─9 シリアの化学兵器廃棄のための米ロ枠組み合意(13年9月14日)
3─10 武器貿易条約(ATT)(13年4月2日)
3─11 オバマ大統領のベルリン演説(13年6月19日)
3─12 米国核政策指針(13年6月19日)
3─13 米国防総省のミサイル防衛に関する発表(13年3月15日)
3─14 無人機に関する国連特別報告者の中間報告(13年9月13日、18日)
3─15 武器輸出に関する官房長官談話(13年3月1日)
3─16 日弁連の「国防軍」の創設に反対する決議(13年10月4日)
3─17 自民党憲法改正草案(12年4月27日)
3─18 モデル北東アジア非核兵器地帯条約(案)(草案5)(08年12月13日)
3─19 第5回地球市民集会ナガサキ「長崎アピール2013」(13年11月4日)
3─20 広島・長崎の2013年平和宣言
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