書籍内容
中村尚樹[著]
四六判並製/256頁/2000円+税
ISBN978-4-8461-1714-6 C0031
民主主義をもたらした今の日本国憲法が占領下に起草され発効したという意味で、現代日本の起点は日本の敗戦と連合国軍の占領にあるのだが、それだけではない。本書は、原爆被爆を含む核問題をはじめ米軍基地と安保条約、奄美と沖縄、在日コリアン、それに占領軍と冤罪など、様々な論争が続けられている現代の課題について、「占領下」と、それに連なる出来事を切り口に、再検討する。(2017.8)
■目次
はじめに
第一章 原爆投下からフクシマへ
第一節 無責任の体系「永井隆現象」
ヒット曲とベストセラー/大きな試練/パウロとしての決断
原爆投下/長崎の鐘/神に感謝/永井批判の系譜
永井擁護論の系譜/人道主義の永井像/隠された軍国主義思想
軍服姿の永井/カトリック教会の戦争協力/永井の素顔
「永井隆現象」とフクシマ
第二節 言論統制に抗した一〇〇万人の原爆展
全国巡回展の謎/日本画家と洋画家の出会い/「原爆の図」三部作
検閲の想定外/一枚のビラ/丸木夫妻と共産党
全国巡回展のはじまり/反響呼ぶ全国巡回展/京都の綜合原爆展
不可視の圧力/国内で一〇〇万人 世界二〇ヵ国以上で展示
紙芝居としての「原爆の図」/対話の絵画
第三節 原爆から原発へと続く人体実験の系譜
史上空前の人体実験/人体実験データで安全基準
大規模な遺伝子解析計画
第二章 帝国主義者 吉田茂の思想と行動
第一節 吉田茂から安倍晋三に至る核武装論
戦争のできる国へ/吉田茂とは/吉田茂の核武装論
受け継がれる核武装論/絶望的に時代遅れな核武装論者たち
第二節 天皇最後の勅令
コリアン・タウンの思い出/朝鮮戸籍/GHQ方針の変遷
参政権の変遷/最後の勅令で使い分け/講和条約での対応
国籍選択権をめぐって/コリアン被爆者の人生
第三章 外圧と冤罪
第一節 福岡事件 死刑執行された冤罪事件の原点
冤罪再審運動の寺/福岡事件とは/中国人の怒号
GHQの圧力/冤罪と考えられる理由/再審請求運動
死刑確定者再審特例法案/日本の常識は、世界の非常識
第二節 帝銀事件 はめられた二人の人気作家
一三人目、一四人目、一五人目の犠牲者/「救う会」事務局長就任
父が無実の罪で処刑/「救う会」弾圧事件/一四人目の犠牲者
一五人目の犠牲者
第四章 日本文化とGHQ
第一節 危機の時代に甦る二宮金次郎
現代の怪談/米軍とGHQの金次郎観/金次郎とは何者か
金次郎伝説の構築/金次郎とマイクロクレジット/盲点突く節税
真の自由主義者/現代に生きる報徳思想
第二節 宮沢賢治と国粋主義とユートピア
「雨ニモマケズ」と「雨にもまけず」/宮沢賢治の生涯と文学
賢治批判/意外にリベラルな国柱会/多才な智学/魂の救済
対立を超えたユートピア
第五章 米軍の爪痕
第一節 日本の上海と呼ばれた街
クラブ進駐軍/キャンプドレイクとは/日本最古のジャズ喫茶
日本の上海/痛みの共同生活体/国民の命
第二節 米軍機墜落事故の衝撃
愛の母子像/横浜米軍機墜落事故/「安保の壁」に風穴
平和資料センター/第二の基地県/大学への墜落事故
パイロットの義務/日本人の命よりアメリカ人の命
第六章 琉球弧に見る非暴力抵抗運動
第一節 奄美の奇跡
非暴力抵抗運動/「復帰」と「返還」/孤島の碑
米軍政下の奄美/奄美の祖国復帰運動/奄美と沖縄
政治の言葉
第二節 沖縄の「鬼」たち
木の上の軍隊/ヌチドゥタカラの家/金城実の「鬼面」
辺野古と高江/基地報道の温度差/東アジア共同体構想
おわりに
初出一覧
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