アベノメディアに抗う

¥ 2,000 (税別)

書籍内容

臺宏士[著]
四六判並製/272頁/2000円+税
ISBN978-4-8461-1821-1 C0036

報道機関への「恫喝」と「懐柔」によってマスコミを支配しつつある状況は, ますます深刻化している。嘘と強弁が罷り通り、道理が引っ込む「アベノメディア」状況にありながら、安倍政権のマスコミ支配や情報隠しに抗う人たちがまだまだ大勢いる。
本書は、ジャーナリストや市民の抵抗を活写し、安倍政権と保守メディアの腐敗を曝く。(2018.12)

■内容構成
序 章 安倍首相VSメディア
安倍首相の朝日批判
「森友・加計問題」でスクープ相次ぐ
第1章 菅さん!トウキョウ、モチヅキです〈望月衣塑子〉
突然の会見打ち切り
「望月封じ」の新ルール
憎悪に歪むメディア
菅氏「質問に答える場でない」
あなたがすることのほとんどは無意味であるが……
第2章 私は捏造記者ではない〈植村隆〉
家族までバッシング
発端は『週刊文春』記事
産経は「強制連行」を使用
『産経』『WiLL』が訂正記事
「言論で勝って判決で負けた」
第3章 その公文書扱い、問題です〈三木由希子〉
信頼できる政府に
法改正進まず
不審DM、行政機関が情報源
「負けて勝つ」
もう一つの顔
四件の裁判
法改正で監視に対抗
森友決裁文書改竄をどう見るか
第4章 元「慰安婦」に寄り添う〈池田恵理子〉
日本人の無関心に憤り
「ふざけるな」と拒絶され
爆破予告も
NHK「慰安婦」番組改変
文学少女がNHKに就職
元徴用工判決に批判一色
第5章 セクハラを許さない〈松元千枝〉
セクハラ被害でネットワーク結成
前財務次官問題が発端
「警察幹部に無理やりキス」
新聞協会が決議
セクハラ防止法整備を
「偽装請負」と朝日を提訴
メディアが変わることで社会が変わる
第6章 現場が語るジャーナリズム〈報道実務家フォーラム〉
調査報道と記者の連携
大阪府警の過少計上を追及──読売新聞
富山市議の辞職ドミノ──北日本新聞、チューリップテレビ
東芝粉飾決算、内部告発で暴く──日経ビジネス
「総理のご意向」の舞台裏──朝日新聞
犯罪被害者取材を深めるには──NHK、朝日新聞
パナマ文書を追いかける──ICIJ
第7章 メディアが煽るヘイト 『産経新聞』『ニュース女子』『新潮45』
産経が大誤報
MX、「ニュース女子」打ち切り『新潮45』が休刊
第8章 匿名発表を考える 相模原障害者殺傷事件から
追悼式、一九人の名前なく
近所の住民「安否分からぬ」
報道機関はどう対応したのか
社会を動かす遺族の言葉
第9章 悼む 吉永春子 むのたけじ 原寿雄
『七三一』、戦争責任を問い続け──吉永春子氏
反戦訴え『たいまつ』創刊──むのたけじ氏
ジャーナリズムの自律呼びかけ──原寿雄氏
終 章 抗う
朝日論説委員「みんなの疑念が膨らんでいる」
官邸の放送制度改革
国連特別報告者「政府から独立していない機関は決定する立場にない」
沖縄タイムス記者「歴史を記録していく」
安田純平氏「紛争地取材は絶対必要」
外国人記者「謝罪の必要あるのか」
新聞労連委員長「記者同士のネットワークをつくりたい」
あとがき

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

書評

立場を異にしたとしても読むべきもの

(…) 新元号の祝賀ムードの陰に隠れて、「平成」末期に世間を騒がせた政治問題をなかったことにしてはならないだろう。
著者は長年、メディアを取り巻く問題を取材するジャーナリスト。同じ版元の前著『検証アベノメディア 安倍政権のマスコミ支配』の続編となる本書では、日本の表現・報道の自由への懸念を一層示している。「アベノメディア」とは、「恫喝」と「懐柔」によってマスコミを「支配」しつつある実態を指す造語。「森友・加計問題」であらわになった政府の情報隠しや、一部メディアがあおるヘイト問題、ネガティブキャンペーンも同根にあるという。
本書はそうした状況に抗おうとするジャーナリストや市民の言動を活写した記録。登場するのは、官房長官会見で堂々巡りの質疑を繰り返した新聞記者や、慰安婦問題に絡んでバッシングされた元新聞記者らである。氾濫する情報から「事実」を見極めるのは至難の業だが、時系列を丁寧に追った著者の冷静な筆致は、言論・思想などの立場を異にしたとしても読むべきものがある。

◉『毎日新聞』2019年5月5日

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