書籍内容
竹原あき子[著]
A5判並製/224頁/3600円+税
ISBN978-4-8461-1912-6 C0070
着物の袖は、日本の平安時代には床に届くほど華麗で長かったが、近代になるにつれ筒袖が世界のスタンダードになった。その袖に導かれて奈良、長安、サマルカンド、コンスタンチノーブル、ローマ、フィレンツェに旅した。直線でできたアジアの「T」の字をつくるこの袖の時空を超える旅に終わりはない。日仏同時出版の着物の袖をめぐる注目の文化史!(2019.8)
■内容構成
はじめに
1章 直線の衣
1-1 < T の字>の着物
1-2 着物は動くアート
1-3 ポルトガル人が見た着物
1-4 袖巾が狭く、胡座をかいた
1-5 公家の経済破綻で長くなった袖
1-6 袖にゆとりの身八つ口
1-7 身八つ口とヨーロッパ細身モード:見えない穴と見せる穴
2章 イケメン遣唐使
2-1 帰国イケメンの唐ファッション
2-2 女性は唐ファッションを着たか?
2-3 漢代の女性俑:十二単の原型?
2-4 女房の垂髪の不思議
3章 胡人(ソグド)ペルシャ起源の長袖
3-1 カフタン:オリエントの長袖
3-2 カフタン:ヒルア(hil’at)恩寵の衣
3-3 カフタン: 絹の道 は馬の道
3-4 着物 はシルクロード経由で
4章 光源氏の袖
4-1 袖は調度か:館を飾る
4-2 家具調度になった平安衣裳
4-3 だれも見なかった唐の女性
4-4 座ったままでも権威の袖
4-5 経済破綻から生まれた強装束
4-6 イケメンファッションリーダー:源有仁
4-7 袖の膨らみはアコーデオン
4-8 十二単は仮名交じり漢字文学
4-9 十二単衣、強装束の装いかた
4-10 大げさな強装束:鎌倉
4-11 強装束だから「空蝉」
4-12 スルリと着てスルリと脱ぐ
4-13 火災で避難できた強装束
5章 唐のシルクロード : 椅子はどこから
5-1 唐(カラ)というブランド
5-2 椅子はペルシャから
5-3 椅子に馴染めなかった平安
5-4 床を掃く袖と裾
6章 人間不在の袖:打出
6-1 メッセージは袖に
6-2 駆け抜ける女を覗く女房:『北野天神縁起絵巻』
6-3 美談:打出の知恵
6-4 3点ワンセット:袖、几帳、御簾
6-5 儀式のマニュアル本:絵巻物
6-6 袖は美人がのりだすように
7章 男も打出
7-1 袖:牛車を飾る
7-2 袖:見せずに見せる
7-3 男も打出、裾の下襲
7-4 闇に沈めた衣裳
8章 襲の色はグラデーション
8-1 文様より色
8-2 グラデーション:「匂い」と「村濃」
8-3 染料の値段:グラデーション
8-4 袖は縫わない:ひねって糊ずけ
8-5 汚れる単衣の袖
9章 平安の縫い姫
9-1 衣は洗い張り
9-2 仕立ては正妻の誇り
9-3 4万8000 枚の袖:大仏建立職人の作業衣
10章 袖は恋
10-1 袖:涙の受け皿
10-2 さようならの袖
10-3 『万葉集』の領巾から袖へ
10-4 袖がぬれるだけ?
10-5 季節を映す袖
10-6 袖の涙を絞る男
11章 モナリザの袖
11-1 ダビンチが嫌った「ひらひら」袖
11-2 袖口2つ:オリエント起源
11-3 別部品だったモナリザの袖
12章 袖は戦う
12-1 袖の象形文字
12-2 袖はオリエントから
12-3 袖口のボタンと戦う
12-4 医者のボタン
12-5 アームホール革命
13章 袖の香
13-1 袖の香だけが命
13-2 0.16% の文化
14章 袖 : 東西のエピソード
14-1 片袖はもう一つを探す
14-2 袖は叫び
14-3 悲劇の袖
14-4 袖を断つ
14-5 袖もぎ神
14-6 袖:ヨーロッパも恋
15章 男も振り袖
15-1 振り袖火事
15-2 男女の差がない振り袖姿
15-3 健康の印の袖
15-4 振り袖:200 年で45cm から120cm に
15-5 女形の振り袖
15-6 節約の袖
16章 袖のエピソード
16-1 母衣:母の知恵
16-2 袖に何を入れる?
16-3 谷崎は袖に桜をいれた
17章 秀吉最後の袖
17-1 牡丹唐草とカルサン
17-2 椅子を担ぐ男女
18章 筒袖から筒袖の1300年
18-1 筒袖がつくった近代日本
18-2 安心と安堵の衣
参考文献
おわりに
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