書籍内容
纐纈 厚[著]
四六判並製/240頁/2700円+税
ISBN978-4-8461-2413-7 C0031
戦争や紛争がトレンドとなってしまったかのような現代の世界。年間100兆円に達する武器が世界中で売買されている。それが戦争や紛争を引き起こし、拡散させる一大要因ともなっている。
本書は、日本敗戦直後に解体されたはずの軍需産業が復活を遂げ、やがて武器生産大国化していく過程を追う。同時に武器の輸出と輸入の現状を「武器移転」の用語で一括して検証し、批判の俎上に挙げる。
日本は平和憲法の下、戦争放棄と戦力不保持を掲げ、非武装国家として出発したはず。だが、平和憲法を基軸とする平和実現は遠のき、重武装国家日本に変貌を遂げてしまう。「武器移転」の現状を明らかにしつつ、いま一度平和国家とは何か、を問い直す。(2024.11)
■内容構成
はじめに
序章 再軍備の開始と軍需産業の復活
1 戦前期武器生産体制の解体と再編
解体される戦前の軍需産業
武器生産の開始
再軍備案の登場と帰結
MSA協定をめぐる対立
MSA協定と日本の軍需産業
2 武器輸出の本格化
戦後武器輸出促進の理由
防衛生産委員会の発足
防衛力整備案
アメリカの意向
武器輸出市場の開拓
再軍備との連携
第一章 武器輸出規制強化と「佐藤三原則」
1 武器輸出をめぐる政府と企業の攻防
武器輸出の方途
「佐藤三原則」
2 本格化する武器輸出
日本の「対外軍事販売」
「輸出貿易管理法」
第二章 武器輸出をめぐる内圧と外圧
1 規制強化と輸出違反事例
日工展訴訟事件
「武器」の定義
C1輸送機は「武器」か否か
輸出貿易管理令「別表」
2 武器輸出三原則をめぐる内圧と外圧
「三木三原則」をめぐって
韓国へのレーダー輸出問題
C1輸送機とUS1多用途飛行艇輸出問題
汎用性の高さが武器輸出の抜け道に
「武器輸出三原則」の変容
法制化されなかった「武器輸出三原則」
第三章 空洞化する武器輸出規制
1 武器輸出の歯止めと相次ぐ違反事例
武器輸出禁止法案の国会提出
堀田ハガネ事件が引き金
対米武器技術供与
顕在化する日本政府の積極支援
武器供与の例外規定
2 外圧としての装備拡充
日米ガイドライン
『一九八三年度版 防衛白書』
軍需産業への参入
第四章 国際武器管理体制の実相
1 武器管理体制の実相
一九八〇年代の武器生産
武器生産の飛躍的向上
武器輸出事件と武器輸出三原則をめぐる攻防
不誠実な対応
ココム違反の背景と違反事例
2 国際武器輸出管理体制
武器輸出の新たな段階
対米以外の武器輸出事例
武器輸出の国際管理体制
「武器輸出三原則」と「別表」
輸出管理体制の実相
第五章 国際武器移転の本格化
1 なぜ、武器輸出を許すのか
平和外交と武器輸出禁止
武器移転を後押しする日本政府
着々と進む武器共同開発
「防衛装備移転三原則」の運用指針改正
SIPRIの報告書から
2 武器輸出の巧妙な手口
第三国への武器輸出解禁
巧妙な武器輸出の実態
武器輸出先としてのフィリピン
「死の商人」論をめぐって
日本版FMSの創設
迂回輸出
第六章 二〇二〇年以降の武器輸出問題
1 武器輸出規制なき時代に
逆輸出
武器輸出緩和政策への反応
「兵器工場国家」日本
2 拍車かかる国際武器移転のなかで
活発化する国際武器移転
不透明な武器輸出の条件
フィリピンへの武器援助
相次ぐ防衛装備品・技術移転協定の締結
終章 国際武器移転の実相
1 国際武器ネットワークのなかで
国際武器移転の現状
膨張続ける世界の軍事費
日本の武器輸入問題
2 武器輸出支援に舵を切った日本政府
目立つ日本政府の支援強化
海外移転許可数
防衛装備品生産基盤強化法
注
あとがき
関連資料
関連年表
レビュー
レビューはまだありません。