川崎 在日コリアンの歴史——共に生きるまちを築いた人びと

¥ 2,700 (税別)

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書籍内容

山田貴夫・服部あさこ・橋本みゆき・中山拓憲・加藤恵美[編著]
四六判並製/224頁/2700円+税
ISBN978-4-8461-2506-6 C0021

川崎は日本有数の在日コリアンの集住地であるばかりではなく、厳しい差別社会を助け合いながら逞しく生きてきた歴史があります。在日一世が日本社会に根を下ろし、二世・三世が反差別、人権活動を日本人と共に担い、いまヘイト街宣を市全体で跳ね返しています。さらに新たに国境を越えて暮らすエスニックルーツの市民と出会い、多民族・多文化が共生する地域社会を創り出そうとする運動があります。
本書を通じて、多民族が差別なく、人権が尊重され、共に生きることこそ、地域社会を豊かにするものだという川崎の地域活動の意気込みを感じていただけたらと思います。
(2025.8)

■内容構成

はじめに
凡例
第1章
工業都市川崎の誕生と在日朝鮮人
―1900年代~1945年―

概要――在日朝鮮人社会の形成
第1節 川崎の町の変遷と朝鮮人の移住
1 川崎市の発展──工場誘致と労働者の移住──
2 沖縄、朝鮮からも海を越えて
第2節 朝鮮人労働者の仕事と暮らし
1 土木建築業と川崎社会館
2 多摩川の砂利採取業
3 団結する朝鮮人 神奈川朝労川崎支部の健闘
第3節 関東大震災と川崎の朝鮮人――虐殺と保護収容
1 事件の概要
2 川崎の被災状況
3 朝鮮人に対する虐殺・暴行
4 田島町 新田神社における朝鮮人の保護収容
第4節 皇⺠化政策の時代――管理・同化圧⼒と抵抗
1 関東大震災時の朝鮮人虐殺の隠蔽と内鮮融和
2 1934年 「朝鮮人移住対策の件」閣議決定
3 協和会
4 協和会川崎支部の活動
5 定着化と家族の形成
6 川崎における民族的コミュニティ
第5節 川崎における朝鮮人徴用工の労働と暮らし
1 朝鮮人戦時労働動員の経過
2 徴用工と学校教育 川崎市立大島夜学校
3 徴用工と日本人指導員
4 日本人徴用工との関係
5 日本鋼管と「半島技能工」問題
コラム1 富士瓦斯紡績の沖縄出身女工と関東大震災
コラム2 「川崎の在日朝鮮人女性の戦時中の仕事と暮らし」

第2章
占領下・戦後復興期の在⽇朝鮮人
―1945〜1952年対日平和条約[講和条約]発効まで―

概要――日本の「外国人」政策の中で
第1節 戦後川崎における在日朝鮮人の再出発
1 帰国と人口増
2 ⺠族団体の結成
3 朝鮮戦争の衝撃
第2節 在日朝鮮人の仕事と暮らし
1 不安定な仕事
2 密造酒と⽣活防衛
第3節 川崎事件──命をつなぐドブロクをめぐって
1 事件の経過
2 事件が意味すること
3 大阪・多奈川事件裁判からの示唆
コラム1 ⽇本⼈の逆恨みを恐れて川崎へ:李粉祚さん
コラム2 子守と買い出しに奔走した戦前戦後:⾦道禮さん
第4節 川崎の民族学校の歴史
1 民族教育のはじまり
2 1948年1月24日の文部省通達とその後の処遇
3 1949年10月、朝鮮人学校閉鎖から桜本小学校分校へ
4 桜本小学校分校から各種学校として川崎朝鮮初級学校に-1950年代以降-

第3章
在日朝鮮人社会の分断と定住化
―平和条約から1960年代末まで―

概要——分断と差別の深まりのなかで
第1節 戦後の池上町の変遷-⽴退き問題 、市議会への陳情、人口変動など
1 敗戦時の混乱でよみがえる恐怖
2 池上町に住み始めた人々
3 池上町の人口変動
第2節 仕事と暮らし、生活保護適用を求めて
1 対日平和条約後の在日朝鮮人の生活の困窮――生活保護を求めて
2 在日朝鮮人の生活保護受給──神奈川・川崎の実態
3 住宅事情
4 川崎市南部の朝鮮人の商工業者
第3節 中留地域と北朝鮮への帰国運動
1 「中留」地域とは
2 川崎の帰国運動
第4節 1970年当時の池上町のコリアン住民の暮らし――「ばい煙下の朝鮮人」から
はじめに
1 「公害告発時代」
2 「ものいわぬ」理由①:生活上の理由
3 「ものいわぬ」理由②:在日コリアン社会の「分断」
4 二世が抱える問題
コラム 医療にみる共生

第4章
反差別と人権保障への歩み
─1970年頃から現在まで─

概要——市民の力で共生社会を拓く
第1節 日立就職差別裁判闘争から民族差別と闘う運動(民闘連)へ
1 日立就職差別裁判の発端
2 裁判支援組織「朴君を囲む会」の設立
3 日立闘争の意義
4 市民運動としての民族差別撤廃運動
5 変わらない差別構造
6 民族差別と闘う連絡協議会(民闘連)の結成――個別闘争から民族差別との闘いへ
第2節 地域活動のはじまり(1970年から2000年)
1 川崎教会の奉仕活動と「日立闘争」の合流:青丘社の設立
2 行政との関係をつくる:「外国人教育基本方針」の策定
3 「共生する地域社会」をつくる:公共施設「ふれあい館」の設立
第3節 地域活動の展開(2000年から現在まで)
1 在日コリアン人口の変化
2 新しい課題①:子どもの人権
3 新しい課題②:高齢者の人権
川崎市ふれあい館識字学級の考え方

参考文献・資料(川崎を中心に)
川崎の在日コリアン関連年表
おわりに

 

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

著者紹介

著者紹介

山田貴夫(やまだ たかお)
1970年、日立就職差別裁判支援組織「朴君を囲む会」に参加し72年川崎市入所。2010年退職後、フェリス女学院大、法政大学で非常勤講師。川崎在日コリアン生活・文化・歴史研究会代表。主著に『新 在日韓国・朝鮮人読本』(共著、緑風出版、2014)、『根絶!ヘイトとの闘い─共生の街・川崎から』(共著、緑風出版、2017)、『在日外国人の住民自治─川崎と京都から考える』(共著、新幹社、2007)、江橋崇編『外国人は住民です』(学陽書房、1993)等。執筆担当は第1章3・4・5節、コラム2、第2章4節(共著)、第3章1・2・3節、第4章1節、はじめに、おわりに。

服部あさこ(はっとり あさこ)
日本女子大学ほか兼任講師。在日コリアンのほか、被差別部落出身者、沖縄の平和運動家などへのライフストーリー・インタビューを行っている。川崎在日コリアン生活・文化・歴史研究会会員。主著に『マイノリティ女性のアイデンティティ戦略─「母親性」の役割』(専修大学出版局、2010)、『わたしたちはここにいる マイノリティが、集まり、語り合う』(人権ネットワーク東京編著、解放出版、2023)など。執筆担当は第1章1・2節、コラム1。

橋本みゆき(はしもと みゆき)
立教大学ほか兼任講師。川崎在日コリアン生活・文化・歴史研究会会員。多文化共生をめざす川崎歴史ミュージアム設立委員会役員。2007年から在日高齢者識字学級ウリハッキョ、現ウリマダン共同学習者。主著に『二世に聴く在日コリアンの生活文化──「継承」の語り』(共編著、社会評論社、2021年)、「공생하기 위한‘가와사키 코리아타운’:‘오오힌 지구’의 지역적문맥」(재외한인학회문맥」(재외한인학회『재외한인연구』28、2012年)など。執筆担当は第2章1・2・3節、コラム1・2。

中山拓憲(なかやま たくのり)
神奈川県立大和高等学校教頭。川崎在日コリアン生活・文化・歴史研究会会員。2012年から神奈川県立神奈川工業、舞岡、湘南高等学校で世界史の教員。主著、教科書『歴史総合 わたしたちの歴史 日本から世界へ』(共著、山川出版社、2021)、『神奈川から考える世界史』(共著、えにし書房、2021年)、『歴史総合をどう学ぶか』(共著、山川出版社、2024年)。執筆担当は第2章4節(共著)。

加藤恵美(かとう えみ)
帝京大学外国語学部国際日本学科教員。川崎在日コリアン生活・文化・歴史研究会会員。主著に『川崎市政の研究』(共著、敬文堂、2006年)、『和解をめぐる市民運動の取り組み:その意義と課題』(共著、明石書店、2022年)、「民族差別と闘う新しい社会運動の創発:1970年代の民闘連の研究」(『コリアン・スタディーズ』第13号所収、2025年)。執筆担当は第3章4節、コラム、第4章2・3節。

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