書籍内容
御輿久美子[他著]
四六判並製/276頁/2200円+税
ISBN4-8461-0111-8 C0036
いわゆる「人クローン規制法」があわただしく立法化された。しかしこの法律は人へのクローン技術を規制しないばかりか、逆に促進する法との批判が高まっている。本書はその内容と問題点を分析し、クローン技術がもたらすさまざまな脅威を明らかにする。生命倫理、宗教、人権の視点から厳しい規制を課す欧米諸国の状況と比較して、日本の歯止めなき推進の実態を浮き彫りにする。 (2001.9)
■目次
はじめに 御輿久美子
第1章 人クローン規制法読解――御輿久美子
法律を読む前に/難解な人クローン規制法/人とヒト、ヒト性のちがい
三種類のクローン胚/体細胞のクローンのみが人クローン
キメラを集合胚と言い換え/ヒト性とは人の核と動物の細胞質
動物性とは人の除核卵に動物の核/子宮に戻さなければ胚つくりはOK
どういう研究がされるのか/遺伝子治療の一手法ともなる
治療目的なら個体つくりは認められる?/不妊治療の一環として
患者細胞株の樹立/欧米では……/忘れられている卵子の採取
議論なしの早急な立法化決定
第2章 人クローン規制法はなにをしたのか――福本英子
人クローン規制法の成立/「特定胚」というしかけ/「特定胚」のからくり
人の胚で工業製品を作る/ヒト胚論議は回避された
ヒトES細胞解禁に向けて/悪法
第3章 知られざるクローン小委員会の実態――西村浩一
きっかけはクローン羊ドリーの誕生/生命倫理委員会とクローン小委員会
唐突に出てきた論点整理メモ/国のガイドラインによる規制が妥当
流れを法規制に変えた町野報告/結論先にありきだったのか
第4章 国会で反対を表明――北川れん子
ブループリント/受精卵クローンは良くて体細胞クローンはいけないのか?
国会で何が議論されたのか/衆議院科学技術委員会
参考人質疑で問題点が指摘されたが……
第5章 胚は誰のものか……人クローン規制法と生殖医療――鈴木良子
不妊の立場から/子宮に戻さない限り、何をしてもいい?
胚ができるまで――不妊治療の現場で/胚に寄せる「祈り」
「余剰胚」など、ない/胚盤胞移植の影響/胚をめぐる未解決の問題
胚の五つの「使い道」/次に狙われるのは「卵」/人の「生殖」のゆくえ
第6章 技術推進がもたらすもの――再生医療の現状と危険性――粥川準二
再生医療とは何か?/ミレニアムプロジェクトとバイオ技術
国家戦略の中の再生医療/ES細胞とは何か?/ES細胞とクローン技術を組み合わせる
種の壁を越えた核移植/試験管から芽生える組織や臓器/揺るがされるES細胞の存在意義
ES細胞発見前史/未分化のES細胞が、がんを引き起こす/そしてヒトの生殖細胞は資源となった
第7章 ヒトクローン個体産生およびヒト胚研究への各国の対応――粥川準二
はじめに/「クローン人間」報道が隠すものとは?/アメリカ/イギリス
フランス/ドイツ/韓国/カナダ/ヨーロッパ連合/WHO(世界保健機関)
デンバーサミット/ユネスコ
第8章 指針案‐当面は、適当に、でも強引に――御輿久美子
形だけの意見公募/技術的能力へのすりかえ/作成してよい胚/胚未受精卵提供の問題点
認めたかった人クローン胚作成/人の卵子をどこからとるのか
資料1 ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律
資料2 特定胚の取扱いに関する指針案
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