動物の権利・人間の不正─道徳哲学入門

¥ 2,500 (税別)

書籍内容

トム・レーガン[著]井上太一[訳]
四六判上製/244頁/2500円+税
ISBN978-4-8461-2206-5 C0036

「私が動物の権利を信じるのは、その権利を認める道徳理論が、それを認めない理論よりも、理性的に考えてより満足のいくものだからである。もしこの確信が当たっているなら、私たちはどのような生き方をすれば他の動物の権利を尊重できるのか」「私たちが食事の席に就くたびに、あるいは新しいコートを買いに行くたびに、何をすべきかを問う」
動物の権利否定派は、肯定派を不合理・感情的・反科学・人間嫌いなどと語ることが多いが、本書はその否定派の議論に一つ一つ反駁する。動物の権利の問題について道徳哲学から説き起こした入門書。(2022.4)

■内容構成
謝辞
序論
第一章 無関心から擁護へ
初めの一歩
さらなる一貫性
先を見据えて
第二章 動物搾取
食品にされる動物たち
工場式畜産
衣服にされる動物たち
毛皮工場の毛皮
罠猟
道具にされる動物たち
LD50
第三章 権利の性質と重要性
積極的権利と消極的権利
消極的道徳権の侵害─一つの例
積極的道徳権の侵害─一つの例
道徳的完全性─立入禁止
道徳的重要性─切り札
道徳的地位─平等
道徳的要求─正義
道徳的権利─妥当な要求
道徳的統一性─尊重
動物の権利?
第四章 間接義務論
二種類の利益
デカルト主義の昔と今
科学と動物の心
単純な契約論
単純な契約論の評価
ロールズ流の契約論
ロールズ流の契約論の評価
種差別
第五章 直接義務論
残酷・親切論
残酷・親切論の評価
功利主義
功利主義の強み
功利主義の価値
選好功利主義の評価
功利主義と動物の扱い
第六章 人間の権利
価値の概念を改める
タスキギー梅毒実験
尊重義務
道徳的エリート主義
道徳的権利
人間にはどのような権利があるか
人格
非人格と尊重義務
ウィローブルックの子供たち
生の主体
権利論への反論
権利論の強み
第七章 動物の権利
事実の問い
価値の問い
論理の問い
実践の問い
第八章 反論と回答
一般的反論
「動物は人間じゃない」
「動物の権利を信じるなんてバカげている」
「アメーバの権利!」
「植物はどうなのか」
「動物は権利を理解しない」
「動物は私たちの権利を尊重しない」
「動物は他の動物を食べる」
「どこで線を引くのか」
宗教的反論
「動物は魂を持たない」
「神は人間だけに権利を与えた」
「でも、少なくとも神は私たちに支配権を与えた」
哲学的反論
コーエンによる第一の反論
コーエンによる第二の反論
コーエンによる第三の反論
結論
第九章 道徳理論と課題
不整合の甘受
変革
希望の根拠
原註
解題

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

著者紹介

著者紹介
トム・レーガン(Tom Regan)
ノースカロライナ州立大学哲学名誉教授。1938年、ペンシルベニア州ピッツバーグに生まれる。『動物の権利擁護論』『空の檻』をはじめ、20冊を超える著書と数百の論文を発表し、動物の権利運動の知的牽引者となる。1985年、妻ナンシーとともに文化・動物財団を共同創設。全米および海外で数百の講演を行ない、2本の映画の脚本執筆と監督で主要な国際アワードを受賞。2001年に教員を引退した後、ノースカロライナ州立大学で最高の栄誉となるウィリアム・クォールズ・ホリデイ・メダルを授与される。同じ年、同大学はレーガンの論文と膨大な蔵書をもとに「トム・レーガン動物の権利アーカイブ」を設立。同コレクションは動物の権利研究における世界最高峰の資料館となる。2017年、肺炎で逝去。享年78歳。英・ビーガン協会はレーガンを「間違いなく世界で最も影響力のある動物の権利の理論家の一人」と称える。

井上太一(いのうえ・たいち)
翻訳家・執筆家。人間中心主義を超えた倫理を発展させるべく、執筆・講演活動ならびに関連文献の翻訳に従事。語学力を活かして国内外の動物擁護団体との連携活動も行なう。ゲイリー・L・フランシオン『動物の権利入門』(緑風出版、2018年)、ディネシュ・J・ワディウェル『現代思想からの動物論』(人文書院、2019年)、ジェイシー・リース『肉食の終わり』(原書房、2021年)ほか、訳書多数。
ホームページ:「ペンと非暴力」 https://vegan-translator.themedia.jp/
researchmap: https://researchmap.jp/vegan-oohime

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