スマートシティの脅威

¥ 1,800 (税別)

書籍内容

加藤やすこ[著]
四六判並製/192頁/1800円+税
ISBN978-4-8461-2118-1 C0036

現在、政府はIoT(モノのインターネット)やビッグデータ、AI(人工知能)などの先端技術を利用して、少子高齢化や人口減少などの社会的な課題を解決し、経済発展も目指す新しい社会、スマートシティ=「ソサエティ5.0」の実現を目指しています。
ソサエティ5.0 では、現実空間のIoTが情報を集め、AIが集約された情報を分析することになります。自動走行車で移動し、AIが分析した結果を人間に提案し、工場ではロボットが自動的に製造します。これまでになかった新たな価値が産業や社会にもたらされ、多様なニーズに対応できるようになる、と考えられています。 政府は「これは一人一人の人間が中心となる社会であり、決してAIやロボットに支配され、監視されるような未来ではありません」と述べていますが、中国のようなデジタル全体主義につながるリスクも孕んでいるのではないでしょうか。本書ではスマートシティの問題点をさまざまな角度から分析し、その危険性を考えます。

■内容構成
第1章 スマートシティとは
IoTとAIを活用したまちづくり
政府はスマートシティを推進
Wi‐Fiもスマートシティのインフラ
東京のスマートシティ計画
西新宿にスマートポールを設置
スーパーシティ構想と監視社会
全体主義的な思考
誰のための「丸ごと未来都市」
個人情報は保護されるのか?
ビッグデータから特定される個人
欧州の個人情報保護
選定の不透明性・不公正
公的サービスが衰退するリスク
挫折したスマートシティ
カナダ政府と州、市を提訴
透明性の欠如
AIや5Gも活用
健康への影響は?
河内長野市議会でも要望書について質疑
スーパーシティ構想と個人情報
第2章 5G電磁波は安全か? 環境・健康への影響
5Gは必須のインフラ
5Gで基地局とデバイスが増加
基地局増加と近距離での被曝
各国の被曝規制値との比較
医師会が発表した厳しい指針
熱効果に基づくICNIRP指針値
ガイドラインの問題点
利益相反─企業と研究者の関係性─
日本の審議会でも利益相反が起きている
マネーロンダリング
科学的な妥当性
SCENIHR報告書にも問題が
欧州議会も5Gの有害影響を指摘
ミリ波の研究は圧倒的に不足
動植物にも悪影響が
被曝を減らす必要性
5G電磁波は「おそらく発がん性がある」
研究の八七%が昆虫への影響を報告
5Gで使われるミリ波の影響
第3章 宇宙に広がる通信ネットワークと環境汚染
通信衛星の環境影響
高高度無人機(HAPS)
大規模な通信衛星群
衛星コンステレーション
リモートセンシング衛星の増加
地上局と被曝量増加
衛星群による環境破壊
スペースデブリの増加
衛星破壊実験
スペースデブリの除去技術
流星群のリスク
サイバー攻撃とジャミング
衛星のメガコンステレーションでリスク増加
スマートシティの脆弱性と安全保障
「地方政府は容易なターゲット」
宇宙が戦場になる?
衛星攻撃兵器(ASAT)
地上の重要インフラへのサイバー攻撃
加熱する宇宙開発競争
マーズサインスシティ
第4章 遠隔医療と医薬品配送ドローンの課題
遠隔医療のリスク
インスリンポンプへのハッキング
病院のセキュリティは万全か?
医薬品をドローンで運ぶ計画も
ドローン物流は現実的なのか?
ドローンを攻撃する猛禽類
第5章 GIGAスクールと各国の規制
GIGAスクール構想とは
学校での無線利用を規制する諸外国
集団訴訟が起きたイスラエルの対応
パソコンの利用で成績が下がる?
学習への効果は?
集中力・記憶力が低下する?
学校無線LANで被曝量が増加
無線LAN被曝で確認された七つの影響
学校無線LANのしくみと対策
学校無線LANガイドラインを定めた自治体
デジタルメディアと子どもの健康
電磁波過敏症への配慮も求める
アメリカの学校無線LAN裁判
新型コロナ流行中の自宅学習
文部科学省の指針は不十分
子どもの健康管理とプライバシー侵害
新型コロナウィルスと消毒のリスク
学校にあふれる化学物質のリスク
海外での香料規制
政府が香害のポスターを制作
化学物質過敏症の子どもが増えている
第6章 各国で進む電磁波対策
5G導入に反対する自治体
ミリ波を禁止したオランダ
保険会社も電磁波のリスクに注目
過敏症患者のアクセシビリティ
規制条例をつくる自治体も増加
条例で規制するアメリカ
市街地の電磁波モニタリング
5G導入エリアの電磁波を測定
人口の少ない町は被曝量が少ない傾向
時間帯による変動も
予防原則の重要性

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

著者紹介

著者紹介加藤やすこ(かとう やすこ)
1966年北海道生まれ。環境ジャーナリスト。化学物質過敏症、電磁波過敏症発症後は、これらの環境病をテーマに執筆。訳書にザミール・P・シャリタ博士著『電磁波汚染と健康』、著書に『電磁波による健康被害』、『電磁波過敏症を治すには』、『シックスクール問題と対策』、『危ないオール電化住宅(増補改訂版)』、『ユビキタス社会と電磁波』(いずれも緑風出版)、『電磁波から家族を守る』(企業組合建築ジャーナル)。共著に『新電磁波・化学物質過敏症対策 ─克服するためのアドバイス』(緑風出版)、『本当に怖い電磁波の話 身を守るにはどうする?』(金曜日)など。電磁波過敏症の研究の第一人者、オーレ・ヨハンソン博士(カロリンスカ研究所、スウェーデン)との共著論文も発表。電磁波過敏症の患者会『いのち環境ネットワーク(https://www.ehsmcs-jp.com、旧・VOC-電磁波対策研究会)』代表。同会サイトでは海外の文献の訳文なども紹介し、ダウンロードできる。

書評

予防原則の大切さをとく

(…)政府が導入をめざす都市計画、スマートシティ。街中に設置された機器を通じて、消費者の属性や行動、天候などを集めて分析。公共交通などの運営を最適化して「利便性の向上をめざす」というものですが、さまざまな懸念が指摘されています。
同書では(…)多岐にわたる問題点を分析。その危険性を考えます。

◉『しんぶん赤旗』2021年12月28日付より。

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