書籍内容
竹原あき子[著]
四六判上製/204頁/2500円+税
ISBN978-4-8461-1609-5 C0036
パリ郊外のモダンな公営住宅は移民や低所得層で占められ、「火薬庫」と呼ばれる。この社会矛盾を克服するため、貧しい人とそうでない人が一緒のアパートに住めば暴動もテロも減るだろう──との思想で、地域や住宅での社会的混在を目指すミキシテ・ソシアル政策が進められている。
2001年にパリにドラノエ市長が生まれると、パリは大規模開発から環境重視へと舵をきる。中心部に低所得者住宅を建設し、自転車が走る職住接近のエコの街、街角の空き地の坪庭、セーヌ河岸の浜辺など、セーヌ川を核に緑化・エコ・福祉の街へ再改造されつつある。またルーブル美術館別館を廃鉱の街に建設するなど、フランスの最新の都市デザイン政策を現地レポート!
(2016.6)
■内容構成
1 はじめに─惨敗の五十年
「憎しみ」の公団住宅/遅すぎたミキシテ─テロを育てた公団住宅
天国から地獄へ/階級差は水平と垂直/過去に戻るかミキシテ・ソシアル
「モダニズム建築は死んだ」
2 パリエコ政策:前ドラノエ市長
市長不在のパリ・26/ドラノエ市長・27
3 パリの坪庭
隙間緑化は絆か?/デジタル樹木
4 エコから減災のデザイン
エコと福祉と観光のパリプラージュ/セノグラフィー/貧しい子供に
協力企業、サポーター/パリプラージュはリサイクルで
すべてタダ、これが人気の原点。/仮設、可逆であること(réversibilité)
5 ベルジュ・ド・セーヌ(BergedeSeine)
すべては可逆だ(réversibilité、元に戻す)/二十四時間以内に解体移動の橋
水位八メートルに耐える浮き庭/パリの広場のベルジュ・ド・セーヌ
6 ショブレは語る
増水を迎え撃つ減災都市計画/困ったことはいくつもありました
福島に提案する/愛される街の条件は?
7 ユースホステルが発電所
パリ・イヴ・ロベール(YvesRobert)/エキナカじゃないユースホステル
記憶を消さない/省エネと水と庭/カフェ、レ・プチット・グット「雫」
(Lespetitesgouttes)/ZAC計画/ZACパジョール・
8 パリの子供公園は大人目線で
合い言葉は「外で遊ぼう」/管理はパリ市職員/安全は一歩さがった入り口の柵
見張りベンチと保護者/ふわふわ地面と年齢指定/環境に負担をかけない
公園にエコラベル/「分かち合いの庭」ブランマントー公園/隠れ公園
美術館に「野菜庭園、ポタジェー」/庭祭り(FêtedesJardins)
9 野生の側に立つ
人間の実寸から/「緑」は「自然」ではない/三層重ね、三スタイル住宅
柔らかいダウンコートのアパート/パリではじめて、空に緑を描く
竹の公団住宅/「成長する家」森になる集合住宅/高価なチタンを使って
パリの長屋(エデン・ビオ)/ペーパー建築家だった
バリエール・フーケ・ホテル:一九世紀を二一世紀に翻訳
高さは皆のため、太陽は皆のグリーン・クラウド・
10 世界遺産パドカレ炭鉱盆地
ルーブル美術館別館:炭鉱の竪坑/炭鉱盆地を遺跡に/快適が炭鉱住宅の戦略
フランス風ぼた山緑化/自然が工業都市をむしばむ、逆転の発想
11 廃墟から名所へ「プール美術館」
「ラ・ピシーヌ(LaPiscine)」/水がテーマ/テキスタイル産業遺産
あとがき
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