5Gクライシス

¥ 1,800 (税別)

書籍内容

加藤やすこ[著]
四六判並製/188頁/1800円+税
ISBN978-4-8461-2010-8 C0036

2020年3月から5G=第5世代移動通信システムが運用され始めた。大容量・超高速通信と多数機同時接続という特徴から、高解像度の映像のスマホから自動運転、セキュリティへの利用への期待が高まっている。しかし、欧米では5Gから発生する強力な電磁波による電磁波過敏症をはじめとする健康への影響が懸念され、反対運動が高まり、導入を停止する国や自治体も出てきている。
本書は、5Gのイロハから懸念される健康影響、海外での反対運動と規制の取り組みを詳述、5G導入をこのまま進めていいのかを問う。また5G電磁波の防ぎ方も具体的に解説する。(2020.6)

■内容構成
第1章 5Gの仕組みと利用分野
1 5Gとは何か
2 セキュリテイへの利用
3 事故や渋滞の解消に利用
3 列車の自動運転の導入
4 ドローンの活用も検討
第2章 5Gから発生する電磁波と各国の規制
1 無線周波数電磁波と5G
2 5Gと基地局の膨大化
3 欧州連合(EU)の導入状況
4 日本の電磁波規制
5 厳しい被曝規制を採用した国・地域
6 アジアの電磁波規制と対策
7 厳しい規制を行なってきた東欧
8 規制緩和を求める業界団体
9 健康を守るために規制緩和を拒否
第3章 懸念されている健康影響とは?
1 弱い電磁波でも影響が出る
2 人工的電磁波と細胞への影響
3 電磁波過敏症が増えている
4 医師会の診断・治療ガイドライン
5 携帯電話の長時間使用は危険
6 動物実験で示された発ガン性
7 携帯電話の安全検査の問題点
8 スマホで後頭部に骨の異常が発生・
第4章これまでに携帯電話基地局周辺で起きたこと
1 携帯電話基地局周辺の疫学調査
2 日本の基地局裁判
3 ドコモ基地局の撤去に成功
4 大規模な健康被害が発生
5 契約更新せずに撤去に成功
6 健康不安による地価下落の可能性
7 5G基地局で被害は拡大する?
第5章 動植物にも深刻な影響が
1 樹木の長期観察と電磁波測定を実施
2 携帯電話基地局に面した側に異常発生
3 電磁波被曝との関連性
4 トマトでストレスを示す物質が増加
5 野鳥と昆虫への影響
6 昆虫の生殖能力が減少
第6章 5万機の通信衛星が地球を覆う
1 宇宙にも5Gネットワーク
2 シューマン共振への影響
3 気象衛星との電波干渉
第7章 5G基地局の反対運動と規制条例
1 5Gがついに稼働
2 基地局設置後に体調不良が発生
3 自宅の隣二mの場所に基地局が
4 基地局規制条例の制定
第8章 電磁波問題をめぐる海外の規制と取り組み
1 条例で規制するアメリカ
2 アメリカの規制条例
3 アメリカ上院議員の懸念
4 連邦通信委員会を提訴
5 フランスの携帯電話基地局訴訟
6 携帯電話のパリ憲章
7 子どもの保護を求める政府
8 フランスの法規制
9 欧州評議会(CoE)も予防原則を採用
10 保険会社も電磁波のリスクを検討
第9章 5G電磁波を防ぐには
1 電磁波から住まいを守る
2 窓のシールド
3 天井・壁・床のシールド
4 シールドペンキ
5 5G電磁波の簡易測定器
第10章 5Gの運用開始とイギリスで破壊活動が起きた背景
1 アメリカの5G展開
2 ヨーロッパの導入状況
3 イギリスで二〇以上の基地局が破壊される
3 破壊活動が起きた背景とは?
4 科学的な証拠はあるのか?
5 「陰謀説の削除」を理由に検閲が始まる
第11章 このまま5G導入を進めていいのか
1 世界同時に5Gに反対
2 各国の抗議活動
3 日本では参議院議員会館で院内集会を開催
3 利益のために健康を犠牲にするのか

納品について

版種類

印刷製本版, 電子書籍版

書評

このまま導入を進めていいのか?!

5G(ファイブジー)とは何のことでしょうか。携帯電話など通信システムの第5世代のことです。
通信技術は、約 10 年ごとに更新されてきており、最近 30 年間で最大通信速度は、何と 10万倍にもなったと言われています。現在は4Gの段階ですが、今年の3月からは日本でも、この5Gの運用が開始されたのです。
5Gは大容量のデータを最高速で送受信でき、次世代携帯電話、自動車の自動運転、遠隔医療などに応用できると、いいことずくめで宣伝されています。新たな利益追求を狙う関連産業は実用化に大わらわです。しかし、使用電波の特性(高周波、高エネルギー)ゆえに、今までにも増して、健康障害など電磁波被害が飛躍的に増加することが予測されます。この点についてマスコミなどは、一切触れていません。
この本の著者は、自らが化学物質・電磁波による障害を体験された方です。環境病をテーマに、海外の研究成果や被害実態についても詳しく研究を重ねてこられました。今回、5Gによる「電磁波汚染と健康被害」について、豊富な事例を根拠として具体的に問題提起しています。
人工的な電磁波、特に携帯などのマイクロ波(波長が非常に短い)が、ごく微量でも人間の細胞内外のイオン濃度を狂わせ、多様な神経系と内分泌系を撹乱するメカニズムが丁寧に解説されています。5Gの電波は短い波長なので、電波の到達領域が狭いために中継局の大量増設が避けられず、電磁波曝露の危険が一層拡大します。
目下、日本とアメリカの規制基準が一番緩いという憂慮すべき事態です。それでも米国のいくつかの州は厳しい基準作成に乗り出しています。欧州では5G推進は、はるかに慎重で彼我の差を感じさせます。

【池上明・日消連監査委員】
◉『消費者レポート』2020年8月20日号より抜粋。

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